本ブログでは、生成AIによって、どんなマスコットキャラクターが生み出されたのか?はもちろん、真摯かつ楽しんで技術に向き合うブレインパッドのカルチャーをお伝えします。
河合 広樹 かわい ひろき |
木村 真也 きむら まさや |
安良岡 史行 やすらおか ふみゆき |
2022年新卒入社 データサイエンティスト :本コンペの上位入賞者 |
2022年新卒入社 データサイエンティスト :本コンペの主催者 |
2006年入社 常務執行役員CSO :本コンペを経営陣として応援 |
- 生成AI、マルチモーダルAI。先進技術と創意工夫がふんだんに用いられた社内イベント
- 同期や先輩、経営陣も一緒になって盛り上がってくれた
- 技術を学ぶ愉しみ、活用する喜び。
- 完成したマスコットキャラクターはこちら!
生成AI、マルチモーダルAI。先進技術と創意工夫がふんだんに用いられた社内イベント
今回の企画概要について教えてください。
木村
「生成AI技術を活用して、ブレインパッドのマスコットキャラクターを作ろう!」という企画です。生成AIを使うと、イラストレーターを使わなくても簡単にキャラクターを作れるので、コンペティション形式で開催したら盛り上がるのではないか?と考え、全社員から応募を募るコンペ形式で開催しました。
安良岡
どれくらいの応募が集まったんでしたっけ?
木村
最終的に200体を超えて、210体が集まりました!
安良岡
改めて見ると壮観ですね~。
河合
私が応募したキャラクターもあります! コンペでは負けてしまったけど、こうやって取り上げてもらえると嬉しいです。
木村
そう言ってもらえて嬉しいです。
今回のコンペには、生成AIになじみがあるデータサイエンティストやエンジニアの方々だけではなく、人事部門や総務部門などのバックオフィスの方々もたくさん応募してくれました。「社内全体の生成AIリテラシーの向上」もコンペの開催目的のひとつだったので、この点は非常に嬉しかったです。
河合
初心者向けには簡単に生成できる環境を用意してくれたり、本気で生成したい人には専用の環境を使えるようにしてくれたので、スキルや経験を問わずいろんな方が参加することができましたよね。私自身、画像の生成AIを使ってみたいなと思いつつ業務で触れる機会はなかったので、この機会に気軽に触れることができて、とてもありがたかったです。
木村
「ガゾハブ」(以下の画像を参照)はまさにそういった意図で用意しました。キッカケがないとトライできなかったり、スキルに不安があったりする人もいるだろうと考えていたので、オフライン(対面)で画像生成を試せる&レクチャーできる場を設けて、コンペへの参加のハードルを下げることができたらなと思って、定期的に「ガゾハブ」を開催しました。
安良岡
常務執行役員COOの西村さんも応募してましたね!
木村
そうですね! 西村さんには、まさにこの「ガゾハブ」で作ったキャラクターを応募していただきました。
安良岡
コンペの最終局面では8体にまで候補が絞り込まれ、その中から全社投票でグランプリを決定しましたけど、210体ものキャラクターから、どのように8体まで絞り込んだのでしょうか?
木村
生成AIによる出力を評価する仕組み作りは、この取り組みの中で一番技術的に難しいポイントでした。
今回は、マスコットを評価する基準をテキストベースで作り、マルチモーダルAI(※1)を活用して、応募されたマスコットの画像と評価基準のテキストを比較する仕組みを構築しました。
評価基準の作成にあたっては、さまざまな部署や職種の人へブレインパッドらしいエピソードに関するインタビューを実施した結果から、「ブレインパッドらしさを抽象化したテキスト」を利用しました。
そして、マルチモーダルAIで、その「ブレインパッドらしさを抽象化したテキスト」と、マスコットの画像がどれだけ類似しているか?を評価するモデルを作成し、類似度が高いマスコットのスコアが高くなるように設定しました。
ただ、AIによる評価のみを鵜呑みにしてはいけないと考え、最終的には全社投票という仕組みにしました。
ブレインパッドらしく技術を活用した評価手法を取り入れつつ、人による評価も加味されるようにした、という点がこのコンペの特長だと思います。
※1 マルチモーダルAIについて、気になる方は、以下の記事もご覧ください。
https://blog.brainpad.co.jp/entry/2024/02/09/113359
https://blog.brainpad.co.jp/entry/2023/10/18/153000
安良岡
評価にもAI技術を取り入れていたんですね! そのほかに考慮した点はありますか?
木村
生成AIで作られたマスコットキャラクターの権利関係については、特に気をつけました。
実は、現在の日本において(2024年2月時点)、生成AIが生成した画像やキャラクターには、人間が表現として創作したと明確に判断できない場合、基本的に著作権が生じないという認識なんです。(※2)なので、生成AIが作ったキャラクターをそのまま社外に公開して、仮に誰かがそれを真似したとしても、我々は権利を主張できません。面白く作って終わりではなくて、会社のマスコットキャラクターとして、採用サイトや公式SNSなどで活用されるようにしたかったので、この点は細かく調査しました。
※2 中央経済社 ビジネス法務2023年11月号 令和5年11月21日発行 AIによる生成表現の「著作物性」P36参照
河合
まだ日本での法整備は整っていないんですね。
木村
文化庁の資料「AI と著作権に関する考え方について(素案)」では「人間が、AI生成物に、創作的表現といえる加筆・修正を加えた部分については、通常、著作物性が認められると考えられる(※2)」との記載があります。
なので、今回、コンペで優勝したマスコットを参考にしたうえで、社内のデザイナーさんに書き起こし(仕上げの作業)をお願いしました。
※2 文化庁.“AI と著作権に関する考え方について(素案),令和6年1月 23 日時点版”. 文化庁. 2024-01-23.
https://www.bunka.go.jp/shinsei_boshu/public_comment/93997301.html, (2024-03-07)
同期や先輩、経営陣も一緒になって盛り上がってくれた
安良岡
企画や準備は、とても大変だったんじゃないですか?
木村
今回、入社年次が若いメンバーを中心にプロジェクトを運営していたのですが、この企画をどう全社規模の企画として成立させていくか、という点が大変でした。ですが、先輩や、役員の皆さん、他部署の方々が親身に相談に乗ってくれたので、本当に助かりましたし、何よりそのプロセスが面白かったです。
木村
ちなみに、役員の皆さんは、今回の企画をどのように捉えていたんですか?
安良岡
まず、会社のマスコットキャラクターを作るという取り組みを始めていただき、とても嬉しかったです! しかも、生成AIで作るというのもブレインパッドらしいと感じていました。
ただ当初は、いったいどういう経緯でこの取り組みが始まったのか、恥ずかしながら全く検知できていなかったんです。
せっかくなので、どうやってこのプロジェクトが始まったのかをご紹介ください。
木村
実は、今回のプロジェクトのメンバーとの雑談の中で、マスコットキャラクターがあったら面白くない?と話したのがキッカケで、それを先輩に相談したら「いいじゃん!」って乗ってくれて。具体的に取り組みを進めるために、「この人に相談したら?」と、関係しそうな社内の人脈をつなげてくれました。
河合
ブレインパッドの先輩方は、相談するとどんどん助けてくれますよね。新卒メンバーが勝手に企画していると、みんなが興味を持ってくれるだけでなく、親身に協力までしてくれるところに感動します。
木村
自分が所属する部門の先輩だけではなくて、マーケティング部門や広報部門の役員の方が「全社に告知していくにはどうしたらいいか」の相談に乗ってくれたり、人事部門の方々が生成されたマスコットをどう活用していくのかを一緒に検討してくれたりもしました。
でも、社内で名前をよく知られていない若手メンバーで運営していたので、実は「新卒2年目の若造が何してるんだろう」とならないか、正直不安だったんです。そんな中で、CEO関口さん、COO西村さん、CSO安良岡さんをはじめとする経営陣の方々からの応援がとても嬉しかったです。
安良岡
そうだったんですね!
実際に、全経営陣が「ぜひ盛り上げよう!応援しよう!」と盛り上がっていましたし、役員だけでなく、部門やポジション、新卒や中途関係なく盛り上がっていた印象です。
個人的には、「本当にいい会社だな~」と感じながら見守ってました。笑
河合
傍から見ていても、経営陣が心から応援してくれているんだなというのを感じました。この距離の近さはブレインパッドらしいなと感じます。あと、最後の表彰式で、経営陣も交えてみんなでワイワイしている感じがよかったですよね。
木村
月1回のオンライン全体会議の中での表彰式でしたが、あんなに盛り上がるとは思っていませんでした!
受賞マスコットが発表されるたびに、Slackのメッセージやスタンプが鳴り止まなかったのはとても嬉しかったです。リアル会場での「わー!」「きゃー」みたいな盛り上がりではなく、Slack上で盛り上がっているのも、ブレインパッドらしくて好きだな~と感じました。笑
技術を学ぶ愉しみ、活用する喜び。
今回の取り組みを振り返って、いかがでしたか?
安良岡
新卒メンバー自らの発信で会社のマスコットキャラクターを作るというだけでも良い取り組みですが、それに留まらず、生成したマスコットをどのように活用するかまで見据えていて、こんなに素晴らしい取り組みはないと思います。改めて、運営メンバーには感謝しています。
木村
ありがとうございます!
今回、「楽しんで終わる」だけではなく、「学びにつなげること」や「マスコットが活用されること」につなげる部分には、こだわりを持って取り組みました。学びにつなげる部分でいうと、自分たちが、生成AI自体の理解を深めていくのはもちろん、権利関係といった実務的な部分を学ぶこともできました。これは、論文を読み解くだけでは得ることができない学びだったと思いますし、なによりとても楽しかったです。
河合
ブレインパッドにいる人は、技術への学びに対して積極的なのはもちろん、それらの技術を社会やビジネスにどうやったら活用・実装できるのかまでをセットで考えている人が多いですよね。
木村
その通りだと思います。加えて、今回のように、失敗してもある程度許容される「社内」という環境の中でチャレンジできたのは大きいなと感じます。ぶっつけ本番でお客様のプロジェクトに生成AI技術を提案・提供するのは当然にリスクがありますし、かといって、実験や論文を読むだけでは心許ないです。実際に技術を活用するまでの道筋を、リアルに体験できたのは、大きいなと思います。
安良岡
木村さんが言ってくれたように、先進技術を社会実装するには、いろいろと難しい部分があります。そのための研究開発活動(R&D)には、技術を扱うブレインパッドとして積極的に取り組んでいきたいですが、R&Dでは技術だけを追及してしまってビジネス成果までつながらなかったり、逆に、ビジネス成果を出すことに偏り過ぎてしまって小さくまとまってしまうケースがよくあります。
それに比べると今回の取り組みは、アウトプットをあらかじめ見据えつつ、さまざまな視点や役割を持った社内のキーパーソンを巻き込みながら多角的に進めることができていました。これは、新しいR&Dのモデルケースだと思います。
木村
今回の取り組みの成果が、お客様との具体的な案件やプロダクト開発につながったらとても嬉しいなと思います。
実はすでに、今回の知見を活かして、当社のお客様である株式会社りそなホールディングス様(以下、りそな様)のデータサイエンス部と、生成AIを使ったデザインコンペ(※3)を開催しています。
これは、りそな様と、DXの自走化組織の立ち上げやLLMを用いた共同研究(※4)を進めている一環として「りそな様社内の方々に生成AIに気軽に触れてもらいたい」という目的のもと開催に至りました。
ブレインパッドにおいてバックオフィスの方々が参加してくださったように、こういった企画を実施することで、実際に生成AIに触れたことがない部門の方々も参加してくださいました。
このように、ブレインパッド社内で試した技術や取り組みを、社外にも共有していきたいです。
(※3)りそな様データサイエンス部内でのデザインコンペの宣伝チラシ
(※4)株式会社りそなホールディング様との取り組みの一例
https://www.brainpad.co.jp/news/2021/03/12/14566
https://www.brainpad.co.jp/doors/contents/02_resona_llm_joint_research/
完成したマスコットキャラクターはこちら!
安良岡
ところで、マスコットキャラクターは、完成したの?
木村
はい! つい先日、社内のデザイナーの方の協力のもと、完成しました!!
名前も決まりました!
「ぱっどさん」です!!
The シンプルな名前になりました。
安良岡
「ぱっどさん」、親しみやすくていい名前ですね!
河合
かわいい!!頭のギザギザ具合や目のまるっとした感じが最高! PCに貼りたいです!
木村
ありがとうございます、そういってもらえると嬉しいです!
動画で動かしたり、3Dにしたりといったことにもチャレンジしていて、今はこの子をスキップさせたり喋らせたりしています。これもすべて技術的なアプローチによって達成できているので、いろんな技術を応用してこのマスコットを進化させていきたいです。
河合
これからもどんどん進化していくんですね、楽しみです!
そして、今後もこういった活動を増やしていきたいですね。私自身もどんどんやっていきたいし、新しく入ってきた新卒メンバーをサポートする側にも回れるようになっていきたいと思います。
安良岡
素敵な考えですね! ぜひブレインパッドのカルチャーとして、今回のような取り組みをどんどん増やしていきたいですね。今日は最高に楽しいお話でした。ありがとうございました。
河合・木村
ありがとうございました!
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www.brainpad.co.jp
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