創発教室 楽屋裏話 講義アフタートーク ファンベース ~マスメディアからマンメディアへ そして、幸せのKeyへ~ 講師:コミュニケーション・ディレクター 佐藤尚之氏

ブレインパッドは、2023年11月1日に、新人事戦略ストーリー「BrainPad HR Synapse Initiative」を発表しました。本記事では、この戦略の特長の一つである独自の研修体系の中から、研修の目玉の一つである「創発教室」の講師陣と、当社CHRO西田とのアフタートークをお届けしてまいります。今回の講師は、コミュニケーション・ディレクター 株式会社ファンベースカンパニー 取締役会長 佐藤尚之さんです。

ブレインパッドは、当社グループの中期経営計画を人的資本の側面から強力に推進する新人事戦略ストーリー「BrainPad HR Synapse Initiative」を発表しました。
多くの施策の中で目玉の一つとなるのが、この「BrainPad Liberal Arts Core(LAC)創発教室」です。
創発教室は、「本業を極めたければ異分野を学べ!」をコンセプトに、リベラルアーツを楽しみながら学び、「データ分析力に、哲学的思考力と、ビジネスでの実践力が掛け合わさった最強人材」の開発を目的として構成された全9回の育成プログラムです。
本記事は、そんな創発教室の講師陣にお話をお伺いするクロストークをお届けします。今回の講師は、コミュニケーション・ディレクター 株式会社ファンベースカンパニー 取締役会長 佐藤尚之さんです。

ー講師プロフィール
佐藤尚之(さとなお)
コミュニケーション・ディレクター。
(株)ファンベースカンパニー 取締役会長
(株)ツナグ代表。コミュニティGood Elders主宰。一般社団法人助けあいジャパン代表理事。一般社団法人アニサキスアレルギー協会代表。大阪芸術大学客員教授。花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・ディレクターとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。2011年に独立し(株)ツナグ設立、2019年(株)ファンベースカンパニーを設立。
最新刊は「ファンベースなひとたち」(日経BP社)。他に「ファンベース」(ちくま新書)、「明日の広告」(アスキー新書)など。“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(光文社文庫)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)などがある。

講義テーマ
「ファンベース ~マスメディアからマンメディアへ そして、幸せのKeyへ~」


データがあるからこそ、生声に耳を傾けよう

西田
改めて、素敵な講義をいただき、ありがとうございました。

佐藤さん
ありがとうございました。

西田
佐藤さんは、かつて私が受講したクリエイティブディレクター養成講座の講師を務めていらっしゃいました。時代を牽引する希代の講師陣の中で、佐藤さんの講義はズバ抜けて素晴らしく、受講後に突撃でご挨拶をさせていただいたのが、ご縁の始まりです。その後、在籍していた会社のCM戦略の検討や、前職でのマーケティング講義などにもお力をお借りしました。私個人としてもファンですし、マーケティングにおける師匠のような方です。

佐藤さん
ありがとうございます。今回は、データサイエンスを生業にされている優秀な方が多いブレインパッドの皆さんということで、少しプレッシャーを感じていました笑。

西田
佐藤さんの講義によって、ファンベースの理解が圧倒的に高まったと思います!
講義の中で、これからの時代は、マスメディアから、ファンである「人」がメディア(媒介)となるマンメディアの時代になる、そして、つながりが大切な時代になる、というお話をいただきました。ブレインパッドでも、デジタルマーケティング支援をしていますが、マンメディアの時代において、マーケティングでデータサイエンスを使っていくことについて、どう考えていらっしゃいますか?

佐藤さん
マンメディアの時代は、個人個人にインターネットやSNSを介して情報がどんどん届けられるようになっています。それが増えるほどデータは増えていきますし、マーケティングに扱えるデータも増えていくと思っています。そうなればなる程、人の「感情」が一層、重要になってくると考えています。

西田
データがあるからこそ、感情に目を向けるということでしょうか?

佐藤さん
そうです。人の感情は、時間の経過やコンディションによっても、変わっていきますよね。例えば、少女漫画のように、最初の出会いは最悪でも、時間が経つうちにいつの間にか恋に落ちているなんてこともあります。このように人間の感情は日々揺れ動いています。

そして、人間の意思決定は、理性ではなく、感情で決まるとも言われていますし、いわゆるAIDMAのように、認知して興味を持ち覚えて買うといった直線的に動く人はいないと言われています。

もちろんデータを分析して「あなたはこういう傾向だからこういう物がよい」というようなレコメンドはできるでしょうし、技術が進歩しAI時代を迎えると、感情自体をデータとして捉えることもできるようになると思います。

ですが、「これが好きだ!これが欲しい!」とピンとくるような瞬間を予測することは難しいでしょう。なので、AIやデータの時代になればなるほど、感情が伝わる「生声」の価値が出てくると思います。この生声にどれだけ耳を傾け、人の感情を捉えられるかが、マーケティングにおいて重要なポイントになるかと思います。

西田
人と人との意思疎通、特に、ぬくもりといった所は、生身の人間ではないと分からないでしょうから、感情を伴ったつながりの大切さがどんどん高まるでしょうね。

孤立ではなく、ちょうどよい孤独を

西田
講義の中でも、これからの時代は、マーケティングにおいても、人生においても、「つながり」が大切だというお話がありました。私は、先の読めないVUCAな時代において、勝ち筋が見えないからこそ、後悔しないために、自分の頭で考えることが求められる時代になったことを「一億総哲学者の時代」と表現しています。自分なりの哲学を築いていくためには、孤独による内省や自己探索が必要だと言われていますね。

佐藤さん
「孤独」と「孤立」は違いますよね。私は、「孤立」はしないほうがよいと考えています。「孤立」は、健康的にもメンタル的にも悪いというのは、研究データからも明らかになっています。ですが「ちょうどよい孤独」は大切だと考えています。一人になって情報から離れて、自ら内省や自己探索することは大切です。一方、つながりの中から他者との対話が生まれ、内省や自己探索が促される事も多くあります。なので、完全な「孤立」ではなく、ちょうどよい「孤独」がよいのではと思います。

西田
なるほど。自己中心的に一人で生きていけばよいというわけではく、他者との対話のある孤独ですね。

佐藤さん
今の時代においては、人とそれなりにつながり、ちょうどよい孤独をキープすることが大切だと思います。人間は、社会的動物なのでつながりがないと死んでしまう。森で集団生活を過ごしていた時代の、一番弱い個体にあわせて集団を形成していた事が多様性の始まりと言われています。そういう社会的包摂やセーフティーネットがないと、ちょうどよい孤独にもなれず、どんどん「孤立」していってしまうと思います。

西田
人口全体が減少していき、資本主義にほころびが見えてきた現代社会において、今までの資本主義的な競争社会から、ダンパーの法則のように150人程度の濃い繋がりを持った集団をベースとした互恵社会に回帰する流れも予感されますね。

佐藤さん
私も、集団のサイズ自体が小さくなっていき、お互いを相互補助するセーフティーネットのような社会になっていくと思っています。そして、その個人と個人、集団と集団をつなぐ役割をテクノロジーが担っていくのではないかと思っています。例えば、AIが思いもよらない新たな出会いを勧めてくれたり、時間や場所を問わずに個人がつながることもできます。それによって、昔の村のように一つにしか属することができないといった閉鎖的なつながりではなく、複数のつながりが持てるようになると思います。それによって、多様な個人や集団が、様々な刺激をお互いに与えあうこともできます。これは大変ポジティブな変化ですし、そうなることを期待したいと思っています。

先端になる事は、本当に幸せなのか?

西田
ネットやテクノロジーを使いこなして人とのつながりを増やしていく人がいる一方で、ネットで検索をしないような人もいて、進んでいる人と遅れている人の二極化が進んでいると言われていますね。これは社会にどのような影響があるのでしょうか。

佐藤さん
私自身は、ネットやテクノロジーを使いこなしているから、本当に幸せなのかは分からないなと思っています。テクノロジーはどんどんと進化していますが、そもそもそれは果たしてどこに向かって進んでいるんでしょう?何のために進めているんでしょうか?例えば、都会でネットやSNSに振り回されて疲弊することが「進んでいる」ということなのでしょうか?

なので、進んでいるかどうか、遅れているかどうかは、正直、ピンと来ない所があります。もしかしたら、遅れていると都会の人が言っている方向にこそ、幸せがあるかもしれません。私は、テクノロジーを使いこなしているか、進んでいるかどうかよりも、笑顔になってほしい人が本当に幸せに向かっているのか?が大切だと思いますし、テクノロジーもそれに向けて使われていくべきだと考えています。

西田
情報格差があると言われている地方にこそ、本来の幸せがあるのかもしれませんよね。

佐藤さん
そうですね。格差だと思っているのは、実は、都会にいる人だけかもしれません。もしかしたら、地方にいる人から見ると都会人は何をやっているんだろう?みたいなことかもしれません。

今回、ブレインパッドという最先端テクノロジーに触れ、日々、東京で働いている皆様にこそ、今自分たちがいるのが世界のすべてではないと、客観的に世の中を見て、私たちは誰を幸せにしたいのかを考えてほしいなと思ってお話ししました。

西田
なるほど。社会を善くしていこうと考え、だからこそ時代の最先端であろうとしている我々だからこそ、考えなくてはならない視点だと、あらためて感じました。本日は、講義をいただき、ありがとうございました!

佐藤さん
ありがとうございました!


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いかがでしたでしょうか。つながりの大切さを少しでも感じていただければ幸いです。

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