エンジニアに聞く、データ活用に欠かせない「データマネジメント」とは

こんにちは。人事部の後藤です。
今回は、ブレインパッドの自社プロダクトの開発エンジニアとして活躍し、このたびデータマネジメントに関する資格「CDMP」を取得した内山さんにインタビューを行いました。


お話を聞いたエンジニアプロフィール

内山 依里子
XaaSユニット プロダクト開発エンジニア

データ基盤システムの運用・開発の経験を経て、2020年にブレインパッドに入社。
プロダクト開発エンジニアとして活躍する一方、データマネジメントに関する社内勉強会などを主催。2023年にはデータマネジメントの国際資格「CDMP」Master認定を取得。

データマネジメントとは? ~重要性と課題感~

──はじめに、内山さんの現在の業務内容を教えてください。

ブレインパッドに中途入社してから4年目です。最初は、「Conomi(コノミ)」の開発・「Rtoaster(アールトースター)」のプリセールスに携わり、現在はプロダクト開発エンジニアとして「Rtoaster action+(アクションプラス)」の開発・運用に携わっています。具体的には機能開発、パフォーマンスの改善、お客様からのお問い合わせ内容の調査等が主な業務です。

また、所属グループ内には新卒入社のメンバーも多いので、全体のボトムアップにも取り組んでいます。メンバーそれぞれに得意分野があるので、講師として勉強会を企画してもらったり、技術だけではなくマネジメントの勉強会も開催したりしています。

──内山さんのこれまでのキャリアについても教えてください。

これまでもずっとエンジニアとしてのキャリアを積んできました。
新卒で入社した会社は、ハードウェアからサービス運用まで縦割りで担当していたので、関係することは全部やるような環境でしたが、途中からデータベース・ミドルウェア寄りにキャリアがシフトしていきました。

──どうしてデータに興味を持つようになったのですか?

当時、一緒にデータベースの業務を担当していた先輩が急遽入院することになり、担当者が私だけになってしまって。。(笑)どうにか1人でやり切るしかない状況で、必死に対応したことが始まりですかね。最初のきっかけはアクシデントでしたが、自分で学ぶうちに次第に興味を持つようになり、データに関わる仕事がしたいと思うようになりました。

──ブレインパッドへの入社の決め手は?

純粋にデータが好きで、どの業務であってもデータに関われる環境だと感じたからです。「データ活用を促進していく」という企業理念が、私の思い描くビジョンと合致していたことも魅力に感じました。

データ周りの仕事はバックエンドに関わる部分なので、エンジニアの仕事としては華やかさには欠けるところがあり、他の会社だとなかなか注目されなかったり、どうしても下請けのような立ち位置になりがちなところがありました。
その点、ブレインパッドの場合は、データ活用の事業を主軸にしているので「データが大事」という共通認識を社内で持つことができており、私にとっては大きな変化でした。

──今回のインタビューのテーマでもある「データマネジメント」について伺っていきたいと思いますが、そもそも「データマネジメント」とは?

一言でいえば、データを活用するために、データを正しく整理・管理することだと思います。データを扱う上で、必ず考えなければいけない要素です。

“Garbage In, Garbage Out”(ゴミを入れたら、ゴミが出てくる)と言いますが、どんなにハイテクな最新技術を使ったとしても、元のデータが間違っていたら間違った結果しか出てこない。これって当たり前のことなのですが、新しい技術にはみんな目が向くけれど、元となるデータは軽視されがちなんですよね。活用目的に合わせて、元のデータも整備してアップデートしていく必要がある。これが「データマネジメント」ということだと思います。

──なぜデータマネジメントが重要なのでしょう?

データマネジメントを考える上でいちばん大事なことは「何のためにデータを活用するのか」を決めることだと思いますが、それができていないケースが多いように感じます。

近年のデジタル化・IT化の流れから、とりあえずデータを溜めてはいるけれども活用しきれていなかったり、活用しようにも必要なデータが一部抜けたり、システムの不具合や勘違いで二重にデータが入っていて不具合が生じてしまったり、というようなご相談も多いです。
せっかく溜めてきたデータを活用できる状態にするために、データマネジメントが必要だと言われるケースは増えたように思います。

加えて、データを取り巻く環境が変化していることもあげられると思います。
例えば、ハッキングの技術進化によって、データを読み取られる危険性が高まってきています。データを守るために全てを暗号化できればもちろん良いですが、そのためには膨大なコスト・時間が掛かってしまいます。ですので、何が大事なデータで守らないといけないものなのかを選別して、適切な保護を行う必要がありますよね。
他にも、ここ数年でヨーロッパを中心にセキュリティ要件が厳しくなっており、個人情報に関するデータの取り扱いについて対応を整える必要が出てきています。
このように、データを取り巻く環境が急速に変化していることからも、データマネジメントを考える重要性がより一層高まっているのではないでしょうか。

──データマネジメントは、データを扱う上で欠かせない考え方なんですね。

そうですね。明示的に「データマネジメント」として触れていないだけで、データを扱っている人であれば、必ず携わっているはずで、意外と身近なものなんです。データマネジメントは存在しているものの、それが正しく機能していないだけなんですよね。

後程お話しするDMBOKの最初にも繰り返し書いてありますが、「データマネジメント」と聞くとエンジニアの仕事と思われがちで、ビジネス側が自分たちは関係ないと手を放してしまうことも、データマネジメントがうまく機能しない理由の1つだと思います。

データ自体はビジネス側で生まれるものなので、何のためにデータを活用して、何を実現したいのかの方針を考えるためには、ビジネス側の思考が必要になってきます。エンジニアはその方針を聞いた上で、技術的に何ができるのかを考える役割を担うわけです。

データをどう使いたいのか、最初の方針を定めて両者で連携することがとても重要ですし、目的やデータそのものは日々変化していくので、ビジネス側もエンジニア側も、データを使っている人達みんなでアップデートしながら進めていくことが大切です。
「たぶんこうじゃないかな」とか「とりあえず」で進めてしまうと、結局データが足りなかったとか、データのとり方がこれではダメだったとかで、後戻りできなくなってしまうんですよ。出だしを間違えるとみんなが不幸になっちゃうので、最初がとても肝心ですね。

データマネジメントに関する資格「CDMP」について

──たしかに「データ」と聞くと技術者側の仕事というイメージが強いですが、お互いに共通認識を持ちながらデータマネジメントを進めることが重要なんですね。
ちなみに、内山さんはデータマネジメントに関する資格「CDMP」を取得されていますが、資格にチャレンジしようと思ったきっかけを教えていただけますか?

データベースの業務に関わってきたので、データマネジメントは大事だとずっと思っていました。そんな中、開発部へ異動になった時に、ユニット統括ディレクターである山崎さんからデータマネジメントやDMBOKの話を伺って、実際に本を読んでみたらまさに自分が思っていたことが体系化されていて「面白い!」と思いました。

※DMBOK:国際的なデータ専門家で組織された非営利団体”DAMA International”が策定したデータマネジメントに関する知識を体系立ててまとめた書籍。DMBOKの中では「DAMAホイール図」でデータマネジメントの知識領域を定義している。

【DMBOK第2版の書誌引用】
出所:『データマネジメント知識体系ガイド 第二版』 DAMA International編著、DAMA日本支部、Metafindコンサルティング株式会社 監訳、日経BP
https://www.dama-japan.org/images/DMBOK2_wheel.png
https://www.dama-japan.org/Introduction.html

ただ、DMBOKはとても分厚くてさすがに全部は読み切れないな…と思っていたら、CDMP(Certified Data Management Professionals)というデータマネジメントに関する資格があるという話を聞いて、それなら頑張れるかもしれないと思い、試験を受けることにしました。

──どんな試験なのですか?

データマネジメントに関する国際資格で、DMBOKの内容に基づいて実施されます。
CDMPは4つの認定レベルに分かれていて、レベルによって資格要件や合格基準が異なります。
試験はオンラインで受験し、問題は全部で100問、全て選択形式でした。
制限時間は90分が基本ですが、英語が母国語でない場合は20分追加され110分で解答することになります。
これは余談ですが、、試験もリモートなので自宅で受験し、結果発表も試験後に即時で確認ができるので、まったく人と関わることなく受験を終えたことが印象的でした。

4つの認定レベルと合格基準
出展:https://cdmp.info/about/

──内山さんはMasterの資格を取得されていますが、世界でも140人(※2023年8月時点)しか取得していないということで、社内のデータサイエンティストやエンジニアからも「ほんとにすごい!」という声を良く聞きます。どのようにして勉強されましたか?

講座等もないし過去問もあまり出回っていないので、とにかくDMBOKの本を読んで勉強するしかないという状況でした。あとは、情報は少ないものの、勉強内容をWebで公開している人がいたりするので、直接質問したりして情報収集をしましたね。
申込をすればテスト試験を受験できるようになるので、資格を取得したいと思ってる方は、まず早めに申込をするのが良いと思います。

あとは、DAMAの公式サイトで試験の出題範囲・出題比率が公開されているので、要点を押さえて勉強を進めることが大切ですね。私が実際に勉強したのは3か月間程度だったかと思います。

──試験を取得して、良かったことや業務に活かせていることってありますか?

いちばん良かったことは、やはりDMBOKの内容を理解できたことですかね。
分量が多く手に取るにはハードルが高いかもしれませんが、データマネジメントを行う上で重要な内容を網羅的に勉強することができました。
プロダクト開発において必要な要素もたくさん含まれているので、実際に業務内で活きてくるのはこれからかなと思っています。

今後チャレンジしたいこと

──最後に、今後ブレインパッドの中でチャレンジしたいことを教えてください、

データマネジメントに興味を持っている人は社内にも複数いるので、その人達と連携しながら、まずは「社内のデータマネジメント」に取り組んでいきたいですね。
LLMの開発も進んで、データを利用する仕組みは発達してきていますが、元のデータが間違っていたらどうしようもないので「データを整備する」という点もセットで考えられるような仕組みづくりをしていきたいです。

それに加えて、私はプロダクト開発のチームに所属しているので、データマネジメントに関わるような製品の開発ができたらいいなとは考えています。
データマネジメントって難しいですし、企業にとっても直接収益に繋がるものではないので後回しになりがちなのですが、そこをカバーできるようなプロダクトを開発してデータマネジメントを進めていきたいです。

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