こんにちは、ブレインパッド Crimson Hexagonチームの福江です。
今月10日(日)に投開票を迎える、第24回参議院議員通常選挙(2016年6月22日公示)。今回、選挙権年齢が18歳以上へ引き下げられたことなどから、若者の日常ツールとも言えるソーシャルメディアを利用した選挙活動が本格化しています。
今回の参院選では、ソーシャルメディア上において、どのくらいの数がつぶやかれ、どういった話題が注目を集めているのでしょうか?
そこで、Twitterの全量データ(*1)を対象に分析できる、当社提供のソーシャルリスニング・プラットフォーム「Crimson Hexagon ForSight™ Platform(クリムゾンヘキサゴン・フォーサイト・プラットフォーム)」を使って、今回の参院選と前回の参院選(2013年7月)における、Twitter上での反応を分析・比較してみました。
「Crimson Hexagon ForSight™ Platform」は、「センチメント分析」「時系列推移の分析」「インフルエンサー分析」「頻出ワード分析」「トピック分析」「ライブストリーミング分析」「アフィニティ分析」といった多種多様な分析機能を搭載しています。今回は、その中でも最も簡単に利用できる「関連性分析」の機能を利用して、参院選目前(2016年7月3日まで)のデータを対象に簡易的な分析を行いました。
■ネット解禁の2013年、選挙権が18歳以上に引き下げられた2016年
2013年の参院選は、公職選挙法改正(2013年4月)に伴い、国内においてもインターネットを利用した選挙活動、いわゆる「ネット選挙」が解禁された初の選挙として、各政党、候補者がTwitterやFacebookなどのソーシャルメディアを利用したさまざまな選挙活動を行い、話題となりました。
一方、話題とは対称的に、選挙の投票率は年々下がっており、2013年の参院選では「52.61%」と前々回(2010年7月)に比べて5.31%減となりました。
今回の参院選は、選挙権年齢が20歳以上から18歳以上に引き下げられてから初の国政選挙となり、各政党、候補者が若者の興味・関心をいかに惹きつけることができるかが焦点となっています。
■ソーシャルメディア上での参院選の注目度は?
それでは、まずは2013年の参院選から、分析結果を見ていきましょう。
選挙公示日にTwitter上の投稿数が一度増加し、投票前日から再び投稿数が大きく伸びているのがわかります。詳細に見ると、公示前の1週間は1日あたり2万~3万7千前後、公示日は1日あたり7万7千、公示後は1日あたり4万~7万9千、投票日には73万件以上の投稿があります。
次に、2013年の参院選ではどんな言葉に注目が集まったか、「Crimson Hexagon ForSight™ Platform」の「関連性分析」機能を使って、見てみましょう。
「関連性分析」は、Twitter上の投稿における共起(文において、ある文字列とある文字列が同時に出現すること)パターンを把握することができるというものです。2013年の参院選では、「原発」やネット選挙を表す「ネット」など、当時注目を集め選挙の争点となった言葉が関連キーワードとしてあがってきています。前回の参院選で初当選した「山本太郎」氏の名前もあがってきています。
次に、今回の参院選について、直近の分析結果を見てみましょう。
上記のグラフのとおり、今回も公示日にTwitter上の投稿数が増えています。公示前の1週間は1日あたり2万6千~4万2千件前後、公示日が8万6千件、公示後が現時点で1日あたり5万2千~7万5千件の投稿数となり、前回よりも多くの参院選関連キーワードがつぶやかれていることがわかります。
次に、今回の参院選ではどういった言葉が注目を集めているのか、「関連性分析」で見てみましょう。
「改憲」などの他に、18歳以上に選挙権が引き下げられたことにより「若者」という言葉が多くTwitter上でつぶやかれています。
今まで見てきた内容を整理してみると、以下のような結果となりました。
■はたして今回の参院選の投票率はどうなるのか!?
今回の参院選では、前回の選挙の際の同時期に比べて、Twitter上の参院選挙関連の投稿数は約1.34倍と増加しています。これだけ見ると、今回の選挙は、前回より注目度が上がっており投票率が上がるのではと推測できそうですが、以下の2つの点に留意する必要があります。
1.Twitterのアクティブユーザー数
2.選挙権が18歳以上になったことによる対象人数の増加
2015年12月に米国・Twitter, Incが初めて公表した、Twitterの日本国内MAU(月間アクティブユーザー数)は「3,500万人」。2013年時点の日本のMAUは発表されていませんが、全世界のMAUは、2015年第4四半期の全世界の3億2千万人に対し、2013年は2億4100万人だったため、約1.3倍に増加しています。
これらの点を考慮すると、今回のソーシャルメディア上での投稿数の増加は、ユーザー数の増加とほぼ同じか微増であり、ネット上の注目度は前回と大きな差はないと言えます。
また、選挙権が18歳以上に引き下げられたことで、投票人数は増加しても投票率は減少する可能性があります。
はたして、18歳からの新たな有権者層も増え、投票率はどのようになるのか?若者をターゲットとした、ソーシャルメディアを利用したネット選挙の効果はどの程度現れるのでしょうか?
■最後に
ソーシャルメディアは、現代の人々の日常ツールであり、考え方を写す鏡でもあります。また、今回ご紹介したように「Crimson Hexagon ForSight™ Platform」は、過去データを遡って、当時の人々の考え方を覗くこともできます。今回は、最も簡単に利用できる「関連性分析」の機能を利用して簡易的な分析を行いましたが、今後も引き続き「Crimson Hexagon ForSight™ Platform」の豊富な機能を使った分析結果をご紹介していく予定です。
「Crimson Hexagon ForSight™ Platform」は、米国・Twitter, IncおよびTwitter Japan株式会社で採用されているほか、株式会社朝日新聞社やキヤノン株式会社など世界中で150社以上の企業やブランドにご利用いただいております。
(*1)「Crimson Hexagon ForSight™ Platform」は、米国・Twitter, IncとのFirehose契約により、2010年7月以降の全ツイートを検索することが可能。
(*2)分析の際のキーワードとして、以下のキーワードを選定。
(参院選 OR 参議院議員選挙 OR 参議院議員通常選挙 OR 参議院選挙 OR 選挙)
また、分析時のノイズとなる可能性のある、同時期に投稿された以下のキーワードを除外設定。
AND -(総選挙 OR AKB OR AKB48 OR SKE OR SKE48 OR HKT OR HKT48 OR NGT OR NGT48 OR NMB OR NMB48)
AND -(衆院選 OR 衆議院議員選挙 OR 衆議院議員通常選挙 OR 衆院選選挙)
AND -都知事
AND -イギリス
AND -(EU OR EU離脱 OR 国民投票)
AND –RT