小学生にシゴトの楽しさを伝える! 「バイトルKidsプログラム」が元気にする日本の未来

ブレインパッドは、サステナビリティ活動の一環として、ディップ株式会社(以下、ディップ社)が主催する「バイトルKidsプログラム」に参加しています。

「バイトルKidsプログラム」は、参加する小学生、主催するディップ社、そしてお仕事紹介をさせていただく事業会社の3者それぞれが、夢と未来を感じることができる素晴らしいプログラムです。本記事では、ディップ社からお二方をお招きし、データサイエンティストのお仕事紹介に参加した当社メンバーとの対談を行いました。



写真左から、
・株式会社ブレインパッド アナリティクスコンサルティングユニット シニアリードデータサイエンティスト 田村 潤、
・同 シニアリードデータサイエンティスト 岡田 直樹、
・ディップ株式会社 人事総務本部 人材開発室 リーダー 佐藤 裕子様、
・同 執行役員CHO 人事総務本部 本部長 鬼頭 伸彰様、
・株式会社ブレインパッド 執行役員 IR/ESG担当 コーポレートユニット副統括ディレクター 新木 菜月、
・同 アナリティクスコンサルティングユニット 副統括ディレクター シニアリードデータサイエンティスト 原 真一郎

多様なキャリアに触れる機会が少ない日本の教育シーンに一石を投じる「バイトルKidsプログラム」

新木
本日は、よろしくお願いいたします。
まずは、ディップ社のお二人から「バイトルKidsプログラム」についてご紹介をお願いします。

鬼頭さん
「バイトルKidsプログラム」発起人の鬼頭です。
このプログラムは、子ども達がさまざまな仕事を知る機会をつくり、仕事に対する考え方や価値観の醸成に貢献することを目指す取り組みです。2019年から開始し、今回で5年目を迎えました。

佐藤さん
プログラム運営事務局の佐藤です。
私自身が小学校の教員免許を持っていることもあり、このプログラムに関わり始めました。
このプログラムでは、子ども達が協力企業の社員さんから仕事内容の説明を受けたり、社員さんに取材した結果を発表したりすることで、将来どんな大人になりたいか、どんな働き方をしたいかを考える機会を提供するものです。2020年度からの新学習指導要領にてキャリア教育が扱われるようになったこともあり、小学校の先生方からも好評をいただくプログラムとなっています。

バイトルKidsプログラムの詳細はこちら



新木
このプログラムは、どのような背景から始まったのでしょうか?

鬼頭さん
以前、高校生のキャリア相談に同席した際に遭遇した次のようなやりとりがきっかけの一つでした。

生徒:「なんとなく都会で働きたいんですよね」
先生:「君、何が好きなの?」
生徒:「焼肉が好きです」
先生:「東京の焼肉屋の求人があるけど興味あるかい?」
生徒:「いいかもしれません」

少しデフォルメしてはいますが、こんなやりとりからキャリアが決まっていくのを目にして本当に驚きました。ただ、生徒は、社会の仕事に触れる機会といえば学校の先生や両親の職業くらいのもので、働くことへのリアリティは乏しい状況にあります。一方、学校の先生は一般企業での仕事経験がないことがほとんどであり、職業や仕事内容や説明の幅も狭くなりがちです。このように情報が十分とは言えないもの同士がキャリアや進学先を相談し、結果として仕事が決まっていくのはおかしいと思うと同時に、「どうやって仕事を選ぶのか」という教育が確立されていない日本の課題を感じました。
これをきっかけに私は個人的にキャリア教育に関わる活動をしていたのですが、ディップ社としてさまざまな企業とコラボすることで、さらに大きな活動に進化させられるのではないかと思い、このプログラムを始めました。

新木
とても共感できます。
「データ活用の促進を通じて持続可能な未来をつくる」をPurposeに掲げるブレインパッドは、私たちが向き合う社会課題のひとつとして、日本における理系人材やIT人材の不足を挙げています。この解決には教育システムの工夫と、学生達への働きかけが必須です。私が担当するESG活動においても、この課題解決に向けてできることはないかと模索していた時に、御社から「データサイエンティスト」という仕事を小学生に紹介してほしいとお声がけをいただき、プログラムの主旨に賛同してご協力することにしました。

知らないシゴトに触れれば触れるほど、子ども達の未来が広がる

新木
データサイエンティストという仕事をプログラムに取り入れていただいた理由を教えてください。

鬼頭さん
データサイエンティストは、小学生にとっては初めて聞く職業だと思いますし、その仕事内容を理解するのも難しいと思います。ただ最近は、毎日のようにChatGPTをはじめAI関連のニュースが報じられたりSNSで話題になることもあって、小学生でもなんとなくAIというモノを認識してきていると思います。
ただ、それらの技術が世の中でどのように役立っているのか、その技術を誰が作ってどんな人が使っているのか、というところまでは想像が及んでいません。なので、その裏側にどんな仕事があるのか、どんな人が働いているのかを知ってもらおうと思ったのです。
また、私自身も以前から、データサイエンティストはこれからの日本に必要な注目の職業だと思っていたので、このプログラムを始めた当初からお声がけしたいと思っていました。

佐藤さん
小学校の先生方にとってもデータサイエンティストという職業は新鮮なようで、とても大きな反響をいただいています。何人もの先生が熱心にブレインパッドさんの授業を聞いていました。

新木
そう言っていただけると、今回参加した意義を一層感じます。ブレインパッドは、まだデータの重要性が注目されていない約20年前に創業して以降、年月をかけて日本におけるデータサイエンティストという仕事の普及に一役買ってきたという自負もあるので、今回のプログラムを通じて、小学生や先生方にデータサイエンスの世界や、データサイエンティストという仕事のやりがいを伝えられて、本当に光栄です。

子ども達からのまっすぐな問いが、仕事への誇りを呼び起こしてくれる

新木
ここからはプログラムに参加した当社のデータサイエンティストにも登場してもらおうと思います。皆さん、プログラムに参加してどうでしたか?

田村
正直、普段のどんな業務よりも緊張しました。


自分もそうです。普段、後輩に対して「小学生でも理解できるくらい分かりやすく説明しよう」と言ったりしますけど、まさか本当に小学生に説明する日がくるとは思いませんでした。実際に子ども達への回答を準備してみると、自分の中で意外と言語化されていないことが見つかったりして、自分の仕事について改めて考え直す機会にもなりました。

岡田
データサイエンティストの仕事って、コンサルティング、エンジニアリングも含めて扱う範囲が幅広いので、その内容をそのまま伝えても小学生はピンとこないと思うので、伝え方には相当工夫しました。

新木
どんな工夫をしたんですか?

岡田
小学生にとって身近な事例を紹介するようにしました。例えば、バレーボールや野球などのスポーツにデータが使われているということや、ネットショッピングでのレコメンドなどを例に出しました。


細かいところまで説明していたら時間がいくらあっても足りないので、ネットショッピングのおすすめ商品はデータから決められているんだよ、とか、実際にデータを使ってその仕組みを作っているのがデータサイエンティストなんだよ、といった具合です。

田村
大人に説明するのも難しいくらいですから、相当の準備をして臨みました。それでも、はるか斜め上からの質問もたくさんもらいました。笑

岡田
確かに。笑
私は、「恐竜やドラゴンのデータは調べていますか?」という質問をもらいました。「化石の特徴と恐竜の種類の関係を導き出すのにデータサイエンスが使われている」、「ゲームに登場するドラゴンがどれだけ強いかも実はデータから決まっていて、データがあるからこそゲームに楽しさが生まれている」などと答えたのですが、子ども自身の興味に関連づけることで、データは面白い!と思ってもらえたならとても嬉しいです。


小学生ならではの純粋な質問も多かったですよね。「年収はいくらですか?」というストレートな質問には、「ニンテンドーSwitch何個分です」と答えたりしました。笑

田村
私は「なんでこの仕事を選んだんですか?」という質問をもらいました。自分自身がこの仕事を選んだのは10年も前なので、改めて、なんで自分はこの仕事を選んだんだろう、なんで今も続けているんだろう、と初心に帰って自分のキャリアを考える機会になりました。

新木
「データサイエンティストはどんな仕事ですか?」というフワッとした質問に対して、田村さんが「社会を変えることができる仕事です」と答えたのがとても印象的でした。カッコよかったし、子ども達にも響いたと思います。

田村
カッコいい大人だ!って、思ってもらいたいですしね。笑
真面目な話、自分はブレインパッドの「持続可能な未来をつくる」というミッションに共感して入社して、今現在も変わらず共感を抱きながら働いているので、子ども達にも「データサイエンスで社会を変えていくことはとても楽しいことだし、誇らしいことだよ」と感じてもらいたかったんです。

岡田
「楽しさ」という部分は大切ですよね。私は、仕事をしんどいものだとは思ってほしくないので、いかに仕事が楽しいものなのかを伝えられるように心がけました。

「楽しく働いていいんだ。」と思ってもらえるプログラムに

佐藤さん
皆さんからお話しいただいた「仕事の楽しさ」は、子ども達にちゃんと伝わっていました。
授業終了後に子ども達が、「楽しく働いていいんだ!」と話しながら教室から出てきたんです。この光景は、主催者の私たちにとっても本当に嬉しいものでした。
ただ、逆に言えば、普段子ども達は「仕事はしんどいものだ」という印象を持っているということなのかもしれません。

鬼頭さん
確かに、親御さんが仕事から帰ってくると、「疲れた〜」が第一声だったりしますよね。毎日その言葉を聞いたり、在宅で険しい顔で働いている様子を見ると、どうしても仕事はしんどいものだと思ってしまうのでしょう。

田村
家に帰って「仕事楽しかったな〜!」とはなかなか言わないですもんね。だからこそ、家族や先生以外の大人である私たちが楽しそうに仕事を語るというのは、小学生にとってはすごく良い機会だったんじゃないかなと思います。

鬼頭さん
まさにその通りです。「バイトルKidsプログラム」は、子ども達に「仕事はたしかに大変だけど、楽しい瞬間もある」と思ってもらうことが大切な役目だと思っています。
今の子ども達は、「働かないと貧乏になってしまう」とか「ツラいけれど働かなきゃならない」という恐怖や不安感のほうが大きいのではないかと思います。なので、プログラムを通じて楽しそうに働く大人と触れ合うことで、ポジティブな動機から仕事や進路を考えるようになってくれたら本望です。そして、その楽しい夢を実現するために勉強を頑張ろう!と思えると良いなと。それだけでも社会はよくなると思います。

新木
本当にそうですね。多くの子ども達が将来への不安や同調圧力から勉強や受験を迫られているように思います。そして、偏差値だけで勝手に比べられて、どこの学校だから自動的にこのあたりの企業に入社、というようなキャリアになっているのではないかと。
それに対して、このプログラムなどを通じて世の中のさまざまな仕事を知って、どんなことに自分の興味や関心が湧くかを体験したうえで、進路やキャリアを選べるようになるといいですよね。


その点でいうと、データサイエンティストって、まだまだ普通の人には知られていない仕事だと思います。自分自身も、就活時にたまたま調べてこの仕事を知りました。なので、小学生のうちからデータサイエンスを知ってもらえたのは、いちデータサイエンティストとしてとても感慨深かったです。もしかしたら、将来自分たちと一緒に働く人も出てくるかもしれないと思えるのも、本当に嬉しいです。

田村
そうですよね。社会を変える力があるデータサイエンスや、データサイエンティストという仕事を知ってもらえたことは、自分たちにとっても、これからの社会にとっても大きな意義があるなと思います。

岡田
社会人にとっては、子ども達の純粋さに触れられるのも、このプログラムの良いところだと思います。社会人として仕事をすればするほど、どうしても悩んだり考えすぎてしまうことがあります。まっすぐな子ども達とのやりとりでは、直感や感情に素直になるということの大切さにハッとさせられる瞬間があり、今も印象に残っています。そういった気付きが得られることも、プログラムへの参加価値だと思います。

新木
改めて自分の仕事の魅力や社会的な意義を言語化する良い機会になりましたよね。しかもそれらを小学生に伝えるのだから、こちらも自然とピュアに、そして真剣になります。このような貴重な体験をさせてもらえるので、企業にとっても本当に参画する意義があるプログラムだと思います。

鬼頭さん
そう言っていただき、本当に嬉しいです。
私としては、日本全体に「仕事に対する楽しさ」「働くことへの希望」をもっと広げていきたいと思っています。なので今後は、小学生に留まらず、高校生や社会人にまでプログラムを広げていって、こんな仕事をしたい、こうなりたいという希望の総量を高め、日本を元気にしていきたいと思っています。

新木
はい、私たちも一緒に、日本を元気にしていければと思います。
そして、次回の「バイトルKidsプログラム」にも、当社のデータサイエンティストが参加させていただく予定です。今後とも宜しくお願いいたします!