新卒データサイエンティスト1年目の過ごし方 ーアンケート結果から見える入社後の働き方ー

2022年新卒入社のデータサイエンティストが、ブレインパッドの入社1年目の過ごし方について、同期にアンケートをとりその結果をまとめました。今回はその内容をブログでご紹介します!


はじめまして、2022年に新卒社員として入社しましたアナリティクス本部の見上です。
今回は「新卒データサイエンティストの1年目の過ごし方」をご紹介します。

ブレインパッドに新卒で入社した社員はまず、4~6月の3ケ月間でビジネス・技術系の研修およびミニプロ(※1)を実施し、それぞれの職種で仕事をするための基礎の基礎を学びます。
その後の約半年間はOJT(On-the-Job Training)期間です。この時期は、新卒社員も実案件に配属され、PM(プロジェクトマネジャー)や先輩方とともに仕事をしながら一人前になるための訓練を積みます。

本記事では、「データサイエンティストのOJT」に着目し、皆さんにいろいろな情報をお届けしたいと思います。OJTと言っても、配属案件が新卒社員ごとに異なるためそこでの学びもさまざまです。そこで今回はアンケートを実施し、22年入社の新卒データサイエンティストのOJTの様子をまとめてみました。

「ブレインパッドに入社すると最初にどんなお仕事を経験するの?」「データサイエンティストになるためにはどんなことを学べばいいの?」ーーそんなみなさんの疑問にお答えできればと思います。


〇本記事の執筆者:
22卒OJT共有会(※2)運営メンバー(アナリティクス本部 見上、北川、田中、丸山、杉山)

〇アンケート対象者:
2022年にデータサイエンティスト職として入社した新卒社員(22人、執筆者含む)

この記事はこんな方におすすめです:

  • ブレインパッドへの就職を検討する学生の方
  • データサイエンティストとしてのキャリアを検討している方


目次

新卒データサイエンティストってどんな人たち?

まずはじめに、今回アンケートに協力してもらった2022年卒のデータサイエンティストたちがどんな人たちなのかを簡単に紹介します。

メンバーの経歴は図1・2を見ていただけるとわかりますが、博士課程が約4割を占めており(図1)、研究で培った思考力を生かしてデータサイエンティストを目指す人が多く在籍しています。

学生時代の専攻は、情報系出身の人は全体の1/3とそれほど多くなく(図2)、入社後にデータ分析を基礎から勉強し始める人も少なくありません。個人的には意外と天文学専攻が多いことが意外でした。

図1:最終学歴
 
図2:学生時代の専攻

このように経歴はさまざまですが、共通する特徴として「学習意欲の高さ」という点が挙げられます。大学(院)で培ったスキルのみではなく、入社後も技術コンペへの参加(図3)や自主勉強会などを通してスキルアップを目指している人が大半です。


図3:入社後の技術コンペへの参加経験

数字で見るブレインパッドのOJT

ここからOJT期間の様子について、アンケートの結果をもとに紹介します。以降のアンケート結果はすべて、アンケート対象者のOJT期間(2022年7月~12月)についてのもので、会社全体の傾向ではないことは事前にお伝えしておきます!

働き方

受託分析という仕事上、最初に気になるのは「常駐かどうか」だと思いますが、これはちょうど半々でした(図4)。もっとも、常駐とはいえオンライン出勤が許されている案件の場合「あまり常駐感が無い」という人もいます。

図4:常駐の割合


現状、比較的多くの案件で在宅勤務が可能です。その場合、クライアントとのミーティングもほとんどがオンラインで完結するため、基本的には出社・在宅は任意です。

クライアントによっては勤務場所が限定されることもあるといった事情により、毎日在宅で仕事をしているという人もいます。(図5)。ちなみに私も在宅OKの案件で仕事をしていますが、毎日家にいるのは気が滅入るので気分転換も兼ねて出社したりしています。他にも、社員の方とご飯を食べる予定がある日と出社日を合わせるという人もいます。

また在宅勤務が多くお客様を訪問することもまだ少ないため、出勤時にスーツを着るという人は稀です(図6)。

図5:在宅日数の分布
 
図6:スーツを着たことがあるか

次に勤務の時間帯ですが「10時出勤、19時退勤」というリズムを基本としつつも、各々の時間帯で働いています(図7)。コアタイム(11~16時)が設定されていますし、クライアントありきのお仕事ということで完全に自由とはいきませんが、あまり勤務時間の束縛も無い印象です。

図7:出退勤時刻の分布


残業も(少なくともOJT期間中は)それほど多くなく(図8)、退勤後は勉強に時間を充当できます。退勤後に、ここぞとばかりにKaggleに打ち込む人もいます。

図8:残業時間の分布

経験

データサイエンティストと聞くと「高度な分析技術とアイデアでイノベーションを起こす人」といったキラキラしたイメージを持たれる人も少なくないと思います。しかしその基礎にあるのはシンプルな集計とその可視化からの示唆出しという、一見地味にも見える仕事です。

実際、OJT期間中のタスクとして集計・可視化作業を経験している人が多いです(図9)。また資料作成の経験も全員が積んでいます(図10)。

図9:集計・可視化の経験
 
図10:資料作成の経験

学生時代に研究発表経験を重ねてきた人からすると、一見簡単そうにも見えるこれらのタスクは、意外と難しいものだとご理解いただけると思います。例えば「このスライドでお客さんに伝えたいメッセージは何だろう?」「そのメッセージとこの集計内容の可視化は対応しているのか?」などなど、考えるべきポイントがたくさんあります。そのため、PMや先輩からのフィードバックはパワーポイント・エクセルのテクニカルな部分だけにとどまりません。

また、クライアントとのコミュニケーションも仕事をするうえで不可欠です。OJT期間中に実際に分析報告を任されたという人や、クライアント先への往訪を経験したという人も少なくありません(図11)。

図11:クライアントコミュニケーションの経験


一口にコミュニケーションと言ってもその内容は多岐にわたります。たとえば「チャットで要点を簡潔に伝える」ことや「相手のふわっとしたコメントを整理する」、あるいは「エクセル資料を画面共有しながらMeetなどのオンライン会議で発表する」(案外これが難しく、要点がMeetの画面に収まらないがために資料をたくさんスクロールしてしまい、相手を画面酔いさせてしまうことも…)ことなどが挙げられるかと思います。このように、漠然と「コミュニケーションスキル」と捉えているものの解像度を上げていけることも、OJTの経験あってこそだと私は考えています。

ちなみに、1週間の平均ミーティング時間(社内PJメンバー間、対クライアント含む)の分布は図12のようになりました。クライアントと適切に会話するためにはまず社内PJメンバー内で認識をすり合わせておく必要があり、そのような理由からミーティングの場は多くなりがちです。時間を忘れて分析作業に没頭したいという思いもないわけではないですが、一方でミーティングの時間はPM(プロジェクトマネジャー)の会話術やファシリテーションスキルを間近で見ることができ、良い学習機会でもあります。

図12:平均MTG時間の分布

分析技術

続いて技術的な側面からOJT期間中の仕事を見ていきたいと思います。OJT期間中に用いた技術(複数回答可)についてのアンケート結果を図13に示します。

図13:OJT期間中に用いた技術

案件によって幅広い分析技術に触れることができます。具体的な仕事内容については記述形式で回答していただきましたので、そのうちのいくつかをピックアップしてご紹介します。

Q. 上の質問で回答した技術を一つ選択して具体的な内容を教えてください

  • 自然言語処理を用いて、契約書のテキスト解析を実施した
  • 画像処理・ResNetやDenseNetを作成し、画像の分類問題を解いた
  • 最適化ソルバーを用いた制約付き最適化
  • 自然言語処理・LDAを用いて文章のクラスタリングを実施した
  • LLM(Large Language Model)を使った文章生成・LightGBMを使ったコンバージョン予測

ツール

最後に仕事で利用しているツールについて、まとめてみました。

まず、パワーポイント・エクセルは、やはり定番です(図14)。クライアントへの提案・報告資料作成にはやはりパワーポイントを用いることが多いです。エクセルについては、集計・可視化だけでなく、クライアントとの議論の際の論点整理などにも用いたりします。

これらのツールは意外と奥が深く、しっかり使いこなせるとクライアントとのコミュニケーションの大きな助けになります。

図14:パワポ・エクセルの使用割合


Dockerやgitなども配属案件によっては分析で使います(図15)。ちなみに私はどちらも入社後の研修ではじめて使い方を知りました(参考:過去のGit研修資料)。

図15:Docker, gitの使用割合


また、分析に用いる言語はやはりPythonとSQLが多いです(図16)。どちらも新卒研修中にみっちり学びます。とくにSQLについては、入社するまで未経験という人も少なくありませんが、研修が分かりやすいため入社後のキャッチアップは十分に可能です(参考資料:過去のSQL研修資料)。

図16:言語の使用割合

OJTの1週間スケジュール

ここまでアンケート結果からOJTの全体像をご紹介してきました。この章では視点を変え、新卒データサイエンティスト2名の仕事の様子にフォーカスしてみます。

ブレインパッドがスケジュール管理に用いているGoogleカレンダーを用いて、2人の1週間を深堀りしていきましょう。なお、ここでは案件情報についてはマスクしております。

1人目

  • T. Mさん
  • OJT案件:小売業
  • 好きな本:大崎善生『将棋の子』

T.Mさんのとある1週間

この週はクライアントとのMTGが多く、忙しそうな週ですね。先程のアンケート結果でもありましたが、週に1~2回位の出社の人が多いです。

その中でも、勉強会(※3)に参加したり肉会(※4)に行ったりと、プロジェクトの仕事だけでなく案件外での交流も活発に行っているようです。


2人目

  • M.Kさん
  • OJT案件:食料品関係
  • 好きな食べ物:インドカレー

M.Kさんのとある1週間

この週は案件の他にグループ会(※5)があり、そこでお互いの案件進捗の共有や、最近のマイブームなどについて語り合ったりしていたようです。また、案件によっては非稼働の日も存在するため、そういった日は資格勉強など自分の自習の時間に当てることもできます。

OJTを通して学んだこと・感じたこと

ここからは自由記述形式でご回答いただいた結果をピックアップして記載していきます。OJTを通してどんな学びがあったか、またどんな感想を抱いたか?生の声をご紹介します。

Q. ブレインパッドでの仕事でやりがいに感じることを教えてください。

  • (案件によるところは大きいが)お客様の内部に入り込んで仕事ができること。自分が関わった案件が世にリリースされると嬉しいし、やりがいを感じる。
  • 分析を行うことで新たな知見を見つけ、クライアントと共有できる点。
  • クライアントからのフィードバックコメントで、提案施策について喜んでもらえたとき。
  • 未知の問題に対し答えを出すこと。
  • 自身の機械学習の知識や分析の能力が向上すること。クライアントの求めているものを作成し喜ばれること。
  • 普段触れることができないデータに触れられること。
  • 誰かが求めているものを作ることができたとき。自分がこのプロジェクトに必要だと感じたとき。
  • 周りの人の勉強意識が高く、競争心を持ちながら仕事ができること。
  • 分析したことをお客様に報告したときに喜んでもらえるのは、素直に嬉しく思い、やりがいを感じます。
  • 成果報告や日常で、クライアントや同僚に喜んでもらった時。
  • 裁量の大きさ。

Q. PM(プロジェクトマネジャー)から教わったことで、もっとも業務に活きたと思うことを教えてください。

  • 報告時に期待値コントロールを意識すること。
  • 集計する前に予測・仮説を出す、出したいアウトプットのイメージを作る。
  • ただその技術を使用するのではなく、理論で理解して使用すること。
  • 常に目的に立ち返る意識を持つ。
  • 作業見積もりをする際はバッファをとる。
  • 意見をロジカルシンキングの形式に従って構造化し、相手に伝わりやすい伝え方をする。
  • データに違和感を覚えたらすぐに確認する。
  • よしなにやる。常になんのための分析なのかを意識する。
  • 分析結果と「にらめっこ」をする(=頭を振り絞ってじっくり考え抜く)こと。
  • クライアントが疑問に思っていることの本質を見失わないこと。過剰品質を避けること。目的を見失わないこと。

Q. 学生時代にやっておけばよかったと思うことがあれば教えてください。

  • コーディング経験がなかったので、そこは少しでもやっておいたらよかった。
  • 勉強は社会人になってからできるので、思う存分遊んでおく。
  • 分析の入門の本1冊分くらいはやっていてもよかったかもしれない。
  • コーディング力の強化。
  • 最新技術の実装(学校のサーバーが壊れるまで計算できれば良かった)。
  • 社会人になると勉強のためにまとまった時間を取ることが難しくなるので、勉強したいことを満足いくまでしておくのが良いと思います。
  • 濫読。入社後の知識欲は仕事関係に偏りがちなので、学生のうちに好奇心の幅を広げておくと良いかもしれません。
  • 「やったほうがいいこと」はないと思う。ただ、何かを「全力で」やるのは大切だと思う。自分のエンジン(熱量?)を鍛えるって意味で。

Q. 入社してからこれまで読んだ書籍の中で、就活生におすすめする書籍とその理由を教えてください。

  • 達人に学ぶSQL徹底指南書 第2版(ミック著):テーブルは命題(レコード)の集合であり、SQLが集合計算であることを教えてくれる。
  • ゼロから作るDeep Learning(斎藤 康毅著):ディープラーニングの基礎知識がつき、同期との会話にわりとついていけるようになったため。
  • 自走プログラマー ~Pythonの先輩が教えるプロジェクト開発のベストプラクティス120(清水川貴之、清原弘貴、tell-k著):pythonのコードを書く上でのアンチパターンとベストプラクティスが載っている。
  • リーダブルコード(Dustin Boswell, Trevor Foucher著):コードの書き方を1から概念的に学べる。
  • ライト、ついてますか 問題発見の人間学(ドナルド・C・ゴース、ジェラルド・M・ワインバーグ著):問題を発見するときの思考の流れを、ウィットに富んだ文章で説明しており、暇なときに気軽に読める。
  • USJを劇的に変えた、たった1つの考え方(森岡毅著):定性的で読みやすいです。数式が出て来る難しい本は嫌いです。読めません。そもそも勉強はきらi...
  • イシューからはじめよ(安宅和人著):普段の集計・分析業務を俯瞰で見る視点を得られ、作業のための作業に埋没しないきっかけを作れるから。

最後に

この記事では「新卒データサイエンティストはOJTでどんなことを経験し、何を学ぶのか」をテーマに、2022年入社の新卒社員へのアンケートを実施することでその実態に迫りました。最後に、今回実施したアンケートおよび自身の経験を踏まえ、ブレインパッドのOJTに関する個人的な感想を述べたいと思います。

私はOJTを通して、データサイエンティストである前に一人の社会人としての基礎を学ぶことができたと思っています。エクセルやパワーポイントを(単に使い方を知るだけではなく)正しく使うことや、クライアントとの適切な会話の仕方など、このOJT期間での学びや気づきは今後どんな仕事をしていくうえでも大切なものだと感じました。一方でデータサイエンティストとして生きていくにあたっても、そういった一般的なスキルが重要であることにも気づかせてくれたと思っています。

もちろん技術面を軽視しているわけではなく、自主勉強会や社内の知見共有会(b2b)などが頻繁に開催されており、学ぶ意欲のある人にとっては非常に良い学習環境を与えてくれていると思っています。

OJTはいろんな学びや成長機会を与えてくれた一方で、自身の未熟な部分も多く気づかせてくれました。OJT期間自体は終わりましたが、仕事を通して学ぶ姿勢は継続していこうと思います。


紹介は以上となります。

ブレインパッドへの就職を考えている学生や、データサイエンティストとしてのキャリアを目指す方々へ有益な情報をお届けできていれば幸いです。

※1 ミニプロジェクトの略称。実践形式の分析プロジェクト研修です。先輩社員がクライアント役となり、3~4人のチームで「ヒアリング~提案~中間報告~最終報告」までの一連の流れを経験します。

※2 2022年新卒入社の同期メンバーで自主的に実施している情報共有会です。

※3 自主的に人を集めて開催する勉強会もあれば、b2b(BrainPad to BrainPad)と呼ばれる全社開催のものもあります(本文中のカレンダー内の赤枠がb2bに相当します)。b2bはブレインパッドにおける情報共有のための仕組みで、発表したいテーマがある人が登録するだけで、誰でも好きな話題を発表することができます。ちなみにこの方は最近、自身が専攻していた位相的データ解析の論文紹介をb2bの場で実施していました。

※4 社内コミュニケーション活性化のための会食補助制度です。さまざまな部署の人と交流する良い機会になります。

※5 案件とは異なった集まりによる定例MTGです。グループごとに様々な取り組みを行っていますが、主にキャリアの話や自主勉強内容の共有・その他雑談などの息抜きをしているようです。


ブレインパッドでは新卒採用・中途採用共にまだまだ仲間を募集しています。
ご興味のある方は、是非採用サイトをご覧ください!

www.brainpad.co.jp
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