ブレインパッドの「Rtoaster(アールトースター)」は、2020年10月に大幅に機能強化し、「insight+(インサイト・プラス)」「action+(アクション・プラス)」「reach+(リーチ・プラス)」の3つのプロダクトで構成されるブランドとして生まれ変わりました。
今回は「insight+」の開発に携わったプロジェクトメンバーへのインタビュー記事をお送りします。
新規プロダクト開発ならではの醍醐味や苦労したポイントなどを、それぞれの立場から振り返ってもらいました。
こんにちは。ブレインパッド人事部の見谷です。
ブレインパッドは、企業のデータ活用・DXやデジタルマーケティングを支援するデータビジネス・プラットフォーム「Rtoaster」をはじめとした、様々なプロダクトを開発・提供しています。
今回はその「Rtoaster」プロダクト群の新規プロダクト「Rtoaster insight+(以下insight+)」がどのように作られたかをエンジニア・デザイナー・PdM(プロダクトマネジャー)に聞いてみました。
「Rtoaster insight+」とは?
ーー今日はよろしくお願いいたします。まずはじめに皆さんの経歴を簡単にお伺いできますか?
宗岡
前職で広告のアフィリエイトサービスのバックエンドエンジニアを約5年経験した後に、ブレインパッドへ転職し、現在は「Rtoaster」のPdMを担当しています。現在の主な仕事内容は、「Rtoaster」のプロダクト群の中でもCDP「insight+」のロードマップを設定したり、その中でクライアントの課題を解決するためにはどのような機能を拡充・改善すれば良いのか、課題の仮説を立てたり、エンジニア・デザイナーと協働しながら、プロダクトの成長に取り組んでいます。
佐藤(美)
前々職のSIer、前職のウェブアプリ開発を経て、ブレインパッドに入社し現在5年目です。今は「Rtoaster」の機能の一部になっていますが、データマネジメントツール「DeltaCube*1」の開発を経て、今は「insight+」の開発エンジニアをしています。
佐藤(雅)
前職は、ブログシステムを用いてサイトを制作するウェブ制作会社でデザインを担当してました。ブレインパッドにはリファラル入社し、現在7年目です。
入社後は佐藤(美)さん同様「DeltaCube」に携わり、今回の「insight+」「action+」「reach+」をはじめ様々なプロダクトにデザイナーとして携わっています。
※ブレインパッドのデザイナーチームの仕事については、こちらの記事もご覧ください!
吉田
ブレインパッドには新卒で入社し現在4年目です。皆さん同様に「DeltaCube」の開発を経て、2年目から「insight+」の開発を担当しています。
ーーでは早速お話をお伺いできればと思うのですが、まず「insight+」はどのような構想から生まれたのでしょうか?
宗岡
元々「Rtoaster」はレコメンドエンジンとしてスタートしました。その後、クライアントの「ファーストパーティーデータ」を活用して、マルチチャネル・オムニチャネルのデータ統合からアクションまで、企業から消費者へ一貫した顧客体験を提供するプライベートDMPへと進化を遂げました。
この数年はDXの推進という企業サイドの流れと、急速なオンラインへのシフトという消費者サイドの流れもあり、データを価値転換し、顧客体験を向上させる「データビジネスプラットフォーム」へと、2020年10月に「Rtoaster」をリブランドしました。「Rtoaster」が従来持っていた機能を「action+」とし、アプリやLINEといった、ウェブ上のオウンドメディア以外のチャネルも使って顧客体験を向上させる「reach+」、企業がデータを元に意思決定ができるようオンライン・オフライン上のデータを統合するための基盤としてCDP「insight+」の3プロダクトを提供することとしました。
かねてより、クライアントとお話しをする中で、データドリブンな意思決定の支援に対する強いニーズを感じていたため、CDP(カスタマーデータプラットフォーム)の必要性が社内で議論されはじめていました。検討の結果、これまでの最適な顧客体験を構築していくための基盤に加え、企業内でデータを活用していくための基盤という両輪を回していけるようなプラットフォームを提供していきたいという想いから「insight+」の構想が生まれました。
「insight+」はどのように作られたのか?
ーー提供する価値をこれまで以上に広げようとされたのですね。構想フェーズ以降は具体的にどのような流れでプロダクトの企画・開発は進んでいったのですか?
宗岡
最初はプロジェクトのメンバーで集まってインセプションデッキを作りました。
具体的には作るモノと作らないモノについて話し合いました。
顧客の課題を解決できる機能とは何かを定め、プロダクトの方向性を決めていこうとしたのですが、ここは結構長引きました。
吉田
CDPの市場では、すでに他社プロダクトが一定の認知を得ている状況だったので、競合や市場の状態を把握しつつ、既存製品とカニバらないようにするためにはどうしたら良いのか、という点をエンジニア・デザイナー・PdMで話し合いました。ブレインパッドのCDPを使ってくれるお客様を獲得できるかわからない状態での議論だったため、手探りなところもありました。そのため仮説検証型で学びながら決めていこうというスタンスで動いていました。最終的にはPdMの宗岡さんに上手くまとめていただいたと思います。
ーー実際に開発の上流からエンジニアの方が参画されてましたが、どんなメリットがあったと感じてますか?
吉田
例えば基盤の話ですと、ETL処理を作ろうとしたときに社内で生まれたOSS「Cliboa」を活用するなどして早くサイクルを回すことができました。エラーケースなども他チームにヒアリングを行いノウハウを取り入れた状態で早い段階から開発できたのは良かったですね。
また、仕組みづくりで多くの時間を使うことができたように感じます。組織面では、アジャイル開発による進め方で、PdMの役割等を決めることができたのは良かったと思います。
ーー新規開発と聞くとカオスなイメージがあったのですが仕組みづくりにも注力されていたのですね。
佐藤(美)
もともとアジャイルっぽい形で進めてましたが、この進め方の場合、人数が増えるとカオスになりがちなので、意識して数値で管理出来るようにしてました。一時期は開発エンジニアが5名いたので、当社のプロダクト開発体制の中では人数が多かった方ですね。
あとは初期段階からエンジニアが参画するメリットとして、機能のすり合わせをスピーディーに出来るという点がありました。リリース前は高頻度で宗岡さんに機能の確認を依頼してました。
宗岡
ありましたねー!あの時期かぁ。
かなりスピード感が早く、みんな熱狂してましたね。
新規プロダクトならではの苦悩や面白みとは?
ーー振り返ってみると新規プロダクト開発の大変だった部分はどんなことがありましたか?
宗岡
模索しながら作っていくのがやはり大変でした。「エンジニアさんがこういうところで躓くのではないか?」というユーザーストーリーを描いて、佐藤(雅)さんと一緒にホワイトボードに書きながら議論してましたよね。当時はオフラインだったから。
佐藤(雅)
「insight+」はクライアント企業内のマーケターのみならずエンジニアも使うプロダクトであるため、異なる職種の方が使うことを踏まえて画面を設計するのが大変でした。やはり画面を先に作らないといけないですから…。ですので、エンジニアの皆さんからもエンジニア視点でアイデアを出してもらえたのがとても助かりましたね。私一人で考えるのは無理だったと思います。
宗岡
私と佐藤(雅)さんで合意してつくったワイヤーフレームをエンジニアに見せると、結構細かい指摘が入ったんですよね。
「こういうケースはどうするのか?このパターンは考えているのか?」と。笑
佐藤(美)
それは大枠がすぐに出来ていたからこそ、細かい部分まで議論が出来たんですよ。笑
宗岡
指摘から新しいユーザーストーリーは生まれるんだけど、どのユーザーストーリーをこのタイミングで盛り込むか、もしくは捨てるかという決断が出来なかったんですよね。α版としてリリースしたい時期も想定していましたから。
今思い出したんですけど、どこまで盛り込むかを悩んでいる時期に、オフィスのラウンジで佐藤(雅)さんが、「宗岡さんがバンバン決めちゃって良いんですよ!」と言ってくれたんです。そこで腹が括れたんです。
佐藤(雅)
宗岡さんの苦労もしらず、そんなことを軽々しく言ってしまってすみません。笑
宗岡
でも佐藤(雅)さんのあの一言があったお陰で変われたと思っています。
ーー信頼関係が強固になった瞬間ですね…!今度は逆に新規プロダクトだからこその面白みなどはありますか?
佐藤(美)
やはりまっさらな所から作れるのは楽しいですよね。
技術選定の面でも、社内でも新しい技術の導入が進んでいたりするので、実際に使ってみてどうでしたか?といったことを聞きながら、レガシーな部分は入れずに、良い部分だけを柔軟に取り入れられたと思います。
吉田
標準化していく動きも出来てましたよね。例えば、Python に型を入れることや、フロントには TypeScript を入れるといった環境面やドメイン駆動設計での実装面とかです。
あとは新規プロダクトだとテストを入れないケースもあると思いますが、それで苦労した事例なども周囲から聞いていたので、プロダクトの成長に応じてQAチームと連携しながらバグを解消する仕組みを取り入れられたことなども良かったと思います。
これまでのプロダクト開発の歴史から良い点を取り入れて集合知のようなものを作れるのが新規プロダクトの良いところですよね。
ブレインパッドのプロダクト開発のカルチャーとは?
ーーここまでプロジェクトの詳細についてお伺いしましたが、ブレインパッドの組織で働く魅力やカルチャーについてはどのように感じられていますか?
佐藤(雅)
プロダクトの理想もありながら直近のお客様から求められている機能をつくっていかなければならないという悩ましい点はありつつも、デザイナーとしては「Rtoaster」のプロダクト群を包括的に見ることができるため、俯瞰的な視点で各製品の構想を繋げていくのが面白いですね。また、エンジニアやPdMとの距離も近く仕事がしやすいです。
佐藤(美)
企画サイドとデザインサイドと密にコミュニケーションをとりながら、どんなプロダクトにするかを考えられるところが良いですよね。違う職種の方とも気軽に相談出来るのはブレインパッド文化なのかなと思います。
吉田
「insight+」のメンバーは、昔から話しかけやすい雰囲気だと周りからも言われてましたね。営業の方からも「話しやすいので助かります」といった声ももらったりもして、嬉しかったです。
宗岡
ブレインパッドのエンジニアやデザイナーはみんな顧客視点に立って考えてくれてると思います。「こういうことで困ってるんだけど」と相談すると、出来る・出来ないを答えるだけではなく、「こういう感じだったらなんとか出来ますね」というHowの部分まで返してくれる。みんな志向が内に閉じず、話の論点が顧客視点だから対立もせずコミュニケーションがとれてます。
佐藤(雅)
でも最近、宗岡さん忙しそうで構ってくれないですよね。
宗岡
いやー、ちゃんと気をつけてます。すみません!笑
佐藤(美)
宗岡さんは元エンジニアだからできることが多く、タスクが集中してしまうんですよね。
宗岡
そうなんです。自分がエンジニアだったが故に役割が曖昧になっていた時期があったんですよね。どこまでエンジニアの部分に入り込めば良いか悩んでしまって。
そしたら佐藤(美)さんにある時会議室に呼び出されて、
「エンジニアの部分は大丈夫ですから。PdMはクライアントの課題に集中して下さい。」
と言われて、そこで腹が括れたんですよね。笑
ーー腹が括れたPart2ですね!笑
佐藤(美)
宗岡さんのタスクが多かったのでどうやったら減らせるかは考えてましたね。
チームとしても誰かにタスクが偏り過ぎないように連携は取れていたと思います。
宗岡
そのお陰で僕はクライアントの抱えている課題や、なぜそれが課題なのかについて考えることに集中し、具体的な解決策はエンジニアの皆さんにお任せするスタイルに変わっていくことができました。
この辺りからプロジェクトがより上手くいくようになりましたね。それも皆さんが顧客視点を持っているからだと思います。
皆さん今後ともよろしくお願いします!
最後に
プロジェクトメンバー全員がクライアントの課題を解決するためにはどうしたら良いかを真剣に考え、開発に取り組んでいる姿勢を感じることができました。またインビュー中の雰囲気からもお互いを信頼し合いながら仕事を進めている様子が窺えました。
改めてブレインパッドでのプロダクト開発は、エンジニア・デザイン・企画という異なる職種のメンバーが一丸となって進めている点が魅力なんだなと思いました。
これからもプロダクト開発の魅力に迫っていきたいと思います!
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■ Rtoaster製品サイト
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*1: DeltaCube:「DeltaCube」は、DMPに蓄積された膨大なデータをデジタルマーケティング施策に活用する際に、顧客の属性やウェブサイト上での行動などに基づき、適切なグループに分類する(=セグメントを作成する)作業を自動化・効率化ツールです。