当社社員には、社内外のさまざまなコミュニティ活動に参加している者も少なくありません。今回は、女性データサイエンティストに関するコミュニティ活動に参加する社員が、その活動のひとつとして主催したセミナーについて紹介します。
こんにちは。アナリティクスサービス本部の多根です。
11月2日(木)、私が運営に携わる「データサイエンティスト女子部」と、関西のデータサイエンティストコミュニティ「平野町アナリティクス」の合同セミナーが、大阪ガス都市魅力研究室(大阪・梅田)で開催されました。
今回のテーマは、「わたしはこうしてデータサイエンティストになった」。当社 アナリティクスサービス本部 データサイエンティスト 下村 麻由美と大阪ガス株式会社 情報通信部 高木 大輝氏が講演を行いました。
また、「平野町アナリティクス」の主宰者である、大阪ガス株式会社 ビジネスアナリシスセンター所長 河本 薫氏も交えてパネルディスカッションを実施し、データサイエンティストにまつわるさまざまな話題が繰り広げられました。
<目次>
- ■獣医学を学んでいた私が、データサイエンティストになって考えていること
- ■Excelすら使えなかった「原始人」が、2年でBIエバンジェリストになるまで
- ■最前線のデータサイエンティストが語る“リアルな仕事事情”
- ■最後に
●データサイエンティスト女子部とは・・・
一般社団法人データサイエンティスト協会の有志が立ち上げたコミュニティ。東京を中心に、女性向けのデータサイエンス関連セミナーを多数開催している。
●平野町アナリティクスとは・・・
日経BP「日経情報ストラテジー」誌が選出する「第1回データサイエンティスト・オブ・ザ・イヤー」を受賞した、大阪ガス株式会社 ビジネスアナリシスセンター所長の河本 薫氏を発起人とする、関西に本社を置く企業が中心のデータ分析コミュニティ。
■獣医学を学んでいた私が、データサイエンティストになって考えていること
講演のトップバッターは、学生時代に獣医学を専攻していたという当社のデータサイエンティスト 下村 麻由美。大学卒業後は、多次元データベースの導入支援をするエンジニアとしてキャリアをスタートしました。
当時、クライアントからデータ分析の要望があっても、分析業務を主目的としてできないことにジレンマを感じていた下村は、転職を決意。2015年にブレインパッドに入社しました。
データサイエンティストに求められるスキルについて、下村はデータサイエンティスト協会の資料を引用して『ビジネス力』、『データサイエンス力』、『データエンジニアリング力』の3つを挙げ、「ひとりの人がすべてのスキルを均等に併せ持つことは困難です。そのため、それぞれのスキルを強みに持つメンバーが集まってチームを形成し、足りないところを補い合いながら分析業務を行っています。」と仕事の進め方を紹介。
実際にチームを組んで分析を行っている下村は、「3つの力の強み・弱みが“さまざまであること”は、データサイエンティストの数が多いこと以上に、ブレインパッドの武器であると思っています。個人プレー以上にチームとして機能するためには、“自分の強み/弱み、他メンバーの強み/弱みをまず把握すること”が重要ではないでしょうか。」と、チームワークを成功させるポイントを語りました。
また、「データサイエンティストの仕事には、基礎集計など地味な作業も多くありますが、そのような地味な作業の中にも“面白い、楽しい”と感じる瞬間があります。」と自らの経験を紹介し、「その“面白い、楽しい”という気持ちを持って仕事をすることが、結果としてクライアントに提供する価値につながり、そして、自分自身の価値となります。」と話を締めくくりました。
■Excelすら使えなかった「原始人」が、2年でBIエバンジェリストになるまで
続いて、大阪ガス 情報通信部のメンバーとしてデータ分析業務に従事する高木 大輝氏が登壇しました。高木氏は、もともと統計やプログラミングの知識は持ち合わせておらず、現部署に配属された当初は、Excelのクロス集計などの簡単な分析を担当していました。その後、頻度分布や時系列分析などの手法を習得し、徐々にスキルアップしていきました。
ところが分析力が向上するにつれて扱うデータ量も増加し、だんだんExcelでのデータ処理に限界を感じ始めました。大量のデータを処理するためにプログラミングの知識が必要と考えた高木氏は、独学でR言語を身に付け、さらには機械学習にも興味を持ちはじめるようになりました。
自分自身の変化について高木氏は、「プログラミングから得られる結果を見て、理論を理解しようという気持ちが生まれていきました。」と、当時の様子を振り返りました。
さらに、データの成形やプログラミングにかなりの時間を費やしていると思い始めた高木氏は、効率化の手段としてBIツールを導入しました。
「BIツールは、データの下処理に時間を取られることなく、インタラクティブにグラフを作成できるので、思考を止めることなく発想が展開しやすいのです。」と熱く語る高木氏。現在は、BIエバンジェリストとして活躍の場を広げていて、講演の中でもBIツールでグラフを簡単に作成する実演を披露してくださいました。
■最前線のデータサイエンティストが語る“リアルな仕事事情”
パネルディスカッションは講演の登壇者2名に加えて、大阪ガス株式会社 河本 薫氏をパネリストに迎え、「データサイエンティスト女子部」より、株式会社JALインフォテックの筧 朋子氏がモデレーターをつとめました。
最初のテーマは、「女性データサイエンティストについて」。「データ分析において男女の差はないものの、分析のテーマによっては消費者目線や生活に関する経験から引き出されるアイデアの面で、男性より女性の方が適格だったりします。」と話す下村と高木氏に対し、「論理だけでなく情緒的な考え方も大事。」と河本氏がコメントを加えました。
さらに、モデレーターの筧氏から、大阪と東京のデータサイエンティスト事情の違いとして、「関西にはデータサイエンティストが少ないと言われていますがどう思いますか?」と話題が振られると、河本氏は、「本社機能としてデータ分析を担う部署は東京に集まっています。」と事業者視点で大阪と東京の違いを分析。
一方で高木氏は「製造業が多い関西よりもマーケティング領域で強い東京の方がデータサイエンティストは多いのではないでしょうか。」と業態の違いに注目して持論を繰り広げました。
最後にモデレータの筧氏より、「これからデータサイエンティストを目指す方へ一言お願いします。」と各パネリストにマイクが向けられると、
「物事を構造的に把握する癖をつけることが大事。」(高木氏)
「仮説・実行・検証・フィードバックのプロセスをサイクルとして回すように意識すると良いと思います。」(下村)
「無機質な数字の世界と現場の勘や経験がぶつかったときが最もデータサイエンティストとして成長する機会なので、ぜひ頑張ってください!」(河本氏)
と、それぞれがコメントし、大いに盛り上がったパネルディスカッションが終了しました。
■最後に
今回のセミナーは、「データサイエンティスト女子部」にとって、初めて関西で開催したセミナーでした。参加者の皆さんの意欲がとても高く、講演終了後も遅くまで会場に残って情報交換や、現状の課題に関する相談をしていました。男女を問わず、このようなセミナーや異業種間での交流の場が欲しいとの意見も多く、「データサイエンス」という共通テーマで、地域や業種を超えた繋がり作っていくことの重要性を改めて感じました。
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