今回は、常駐を実際に経験したデータサイエンティストの齋藤さんと江連さんにお話を伺いました。「常駐型プロジェクト」の概要や「非常駐型プロジェクト」との違い、クライアントとの関係構築の工夫、さらには「常駐型プロジェクト」ならではの課題や魅力、経験を通じて得られることまで、リアルな声をお届けします。



ブレインパッドの常駐型プロジェクトとは
──まずは、ブレインパッドにおけるデータサイエンティストの常駐型プロジェクトについて教えてください。
江連
ブレインパッドのデータサイエンティストの「常駐型プロジェクト(以下、常駐型)」は、クライアントの特定部門にデータサイエンティストが直接入り込み、現場に密着した形で分析業務を行うことが多いです。他にもクライアント側のデータサイエンティストの育成を目的としたプロジェクトもあります。現在、データサイエンティストが所属するアナリティクスコンサルティングユニットの約2~3割の社員がこのような「常駐型」にアサインされており、さまざまな業界の企業でプロジェクトを推進しています。
──なるほど。そもそも、どのような経緯で「常駐型」という支援体制が取られるのでしょうか。実際の働き方についても教えてください。
江連
「常駐型」でプロジェクトを進めるのは、以下のようなケースが多いです。
● 取り扱うデータの機密性が高い場合
● クライアントとの密なコミュニケーションが求められる場合
また、「常駐型」といっても働き方は一様ではなく、週1~2回の出社を基本にリモートワークを併用するパターンもあれば、毎日出社が求められるケースもあります。プロジェクトの性質やクライアントの要望によって柔軟に対応しているのが実情です。
「常駐型」で得られた経験と学び
──お二人の経験された「常駐型」について教えてください。
齋藤
私はこれまでに5つのプロジェクトを経験しており、そのうち3つが「常駐型」でした。その中でも、金融業界のクライアントとのプロジェクトについてご紹介します。
このプロジェクトは、クライアントの営業部門のDXを推進する取り組みの一環として、部門内のデータサイエンティストを育成するものでした。我々が主導して分析業務を行うというよりも、クライアントの分析担当者が取り組んだ分析アウトプットに対してフィードバックを行うような役割を担っていました。また、四半期に一度、育成対象者の成長状況や、育成対象者が提案した施策に対する評価も実施していました。
働き方としては、基本的にはクライアント先のオフィスで業務を行っていましたが、柔軟な体制も整っており、週に1~2回程度であれば在宅勤務を活用することも可能でした。
このプロジェクトの他には総合商社へ常駐し、物流サービスの立ち上げや商社内でのプロジェクトなども経験しました。
江連
私がこれまでに経験したプロジェクトは3つあり、そのうち1つが「常駐型」でした。
私が経験したプロジェクトは、クライアントの分析部門に参画し、クライアントが保有する多種多様なデータを活用して、分析業務を担当していました。分析を通じてクライアントの意思決定を支援するだけでなく、クライアントのサービス利用者に対しても分析価値を提供していました。
働き方はリモートワークを中心としていたため、週に1回程度クライアントのオフィスへ出社し、それ以外は在宅で業務を行っていました。
──お二人とも「常駐型」と「非常駐型」を経験されていたとのことですが、それぞれの違いは何かありますか?

齋藤
大きな違いとして感じるのは、クライアントとの距離感ですね。「非常駐型」の場合、プロジェクトマネジャーや限られたメンバーしかクライアントと直接やり取りをすることができないことが多く、クライアントと会話する機会は少ない印象があります。そのため、クライアントが現在どのような状況で、どの部分に課題感を持っているのかを把握しづらいことがあります。
江連
私も確かにそう感じます。「常駐型」では日々の業務の中でクライアントと顔を合わせる機会が多く、ちょっとした雑談や相談ベースのやり取りを通じて、クライアントの状況をタイムリーに把握できる点が大きな特徴だと感じています。

齋藤
そうですよね。また、クライアントは複数のプロジェクトを同時に進行していることが多いため、私たちのプロジェクトに対して常に十分な時間を取ってくれるわけではありません。しかし常駐していると、「現在は他プロジェクトで忙しそう」といったオンラインだけではわかりづらい状況を適宜察知でき、クライアントの状況に応じた適切なコミュニケーションが取りやすくなると考えています。
江連
常駐しているとクライアントの部門内だけでなく、営業部門や開発部門など、異なる役割や立場の方々とも接点を持つ機会が増えますよね。その結果、業務の背景を多角的に理解でき、関係部門との連携がスムーズに進み、プロジェクトの推進がしやすくなると感じています。
──クライアントの課題感や業務の背景をより深く理解できるとありましたが、具体的なエピソードがあれば教えてください。
齋藤
ある企業では、意思決定の場に資料を持っていく際、必ず事前に関係者全員に説明して合意形成を取る文化がありました。ブレインパッドの感覚だと“議論の場で決めよう”となることも多かったので、この違いに気づいたことで、提案の出し方や巻き込み方を変える必要があると実感しました。クライアントの進め方に合わせることの重要性を、肌で感じることができて良かったと思います。
江連
クライアントとの雑談の中で「リモート勤務が中心で、部署内のメンバーの業務内容が見えにくく、質問したくても誰に聞けばよいかわからない」といった悩みを伺いました。話を深掘りしてみると、業務に関するやり取りがすべてダイレクトメッセージで行われており、情報が個人間に閉じてしまっていることが原因であることが分かりました。
そこで、私たちブレインパッドから「業務に関するやり取りは可能な限りオープンなチームチャット上で行うようにしませんか」と提案し、チーム内の運用ルールとして整備する形で導入していただくことになりました。
こうした取り組みは一見すると小さな改善かもしれませんが、日常的なコミュニケーションの中でクライアントの課題に気づき、それを実際の行動に結びつけられたことは、クライアント理解の深まりを実感できた良い経験だったと思っています。
クライアントとの信頼関係の築き方
──コミュニケーション頻度が多いとクライアントとの関係性が深まりそうな気がするのですが、実際にはいかがでしょうか?
江連
そうですね、自然と仲良くなることが多いです。定期的に行っていたクライアントとの1on1の中で、業務の話にとどまらず、プライベートな話題が増えてきたときに距離が縮まったと感じました。
また、部署内で開催された懇親会にブレインパッドのメンバーも招いていただいたことがあり、そのような場でもクライアントとの関係性がより深まった実感がありました。

齋藤
私も同じように、仕事以外でも交流する機会があります。クライアントと休日に遊びに出かけたり、一緒にゴルフに行ったりすることもあり、そういった時間を通じても、信頼関係が強くなっていると感じています。
──クライアントとの関係性を深めるために工夫したことはありますか?
齋藤
私はほぼ毎日のように、クライアントのどなたかと一緒に食事に行くようにしていましたね。クライアントの皆さんも「ぜひぜひ!」と気軽に誘ってくださる雰囲気だったので、とてもありがたかったです。
江連
私の場合、まずは年次が近いクライアントの方との距離を縮めることを意識して、定期的にコミュニケーションを取るようにしていました。年次が近いと話しやすく、お互いにリラックスして会話することができました。
齋藤
私も年次の近い方とは特に意識して交流していました。気軽に話せる関係を築くことで、業務上のやり取りも円滑になりますし、ちょっとした相談ごともされやすくなると思います。
環境に左右されず価値発揮できるデータサイエンティストへ
──逆に「常駐型」のデメリットがあれば教えてください。
江連
ブレインパッド本社との接点が減り、自社への帰属意識が薄れてしまいやすいことですね。齋藤さんはどうですか?
齋藤
たしかに、それは私も感じます。「常駐型」だと本社への出社回数が減ってしまいますからね。
江連
そうですよね。実際、「常駐型」に入った当初は、本社にまったく顔を出さない時期がありました。久しぶりに出社したとき、社員の方との雑談の中で初めて知るような社内の情報を聞いて「自分は今、ブレインパッドの社員であるという意識が薄れていたかもしれない」と痛感しましたね。
齋藤
わかります。それに加えて、中長期的なキャリアの視点では、関わる業務や業界がどうしても限定され、汎用的な経験が積みにくくなると感じています。その結果、スキルの幅を広げる機会が減るリスクはありますよね。
江連
確かにその点は私も感じます。 私は、意識的に社内イベントに参加したり、社内プロジェクトにも参画したりして、社内との接点を持つよう心がけています。
齋藤
良い取り組みですね。「常駐型」だと業務がクローズドな環境で進むことが多いので、取り組みや成果を社外に発信したり、スキルとして言語化したりする機会は得づらいなと感じます。だからこそ、次のキャリアにつなげるためには、自分がどう成長しているのかを振り返り、意識的にその点を補っていく必要があると考えています。
江連
同感です。「常駐型」にはデメリットもありますが、個人の工夫次第でその影響を最小限に抑えることは十分可能だと感じています。
──最後に「常駐型」・「非常駐型」を経験して、今後活躍していくにはどのようなことが必要だと思いますか?
江連
「常駐型」・「非常駐型」に関わらず、どのようなプロジェクトでも挑戦してみることが大切だと思います。そもそも、経験してみないとそれぞれのプロジェクトの解像度は上がりませんし、まずは一度経験し、そこから何かを得ることが重要だと思います。
さらに、その経験を次のプロジェクトや仕事にどう活かすかを考え、実践していくことで、自分自身の成長につながり、どのような環境でも柔軟に活躍できる力が養われていくと感じています。
齋藤
「この場における自分の立ち位置や役割を自分自身で捉え直し、それに応じた行動をとること」は意識していけると良いのではないかと思います。特に「常駐型」では、関係性の近さから現場に深く入り込める反面、役割が曖昧になり、存在感を発揮しづらくなることもあります。そんな中でも「自分は何を期待されているのか、どのような視点や働きかけがこの場に価値を生むのかを考え、自発的に行動することが求められている」と考えていました。
たとえば、外部だからこそ気づける視点で課題を構造化して伝えたり、逆に内部の一員として信頼関係を築きながら改善を進めたりと、状況に応じたスタンスの切り替えが重要だと思います。
そうした姿勢を持ち続けることで、どのような環境でも自分の価値を発揮していけると考えています。
──本日はありがとうございました。

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www.brainpad.co.jp
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