データと向き合い、人と向き合う:ビジネスプロデューサーという働き方

データの裏には、必ず人の思いや課題があります。
”データを武器にしながらも、最後は「人」を動かしていくことに情熱を燃やせる方と一緒に働きたい”と語るのは、ビジネスプロデューサーとして活躍する新卒4年目の齋藤拓也さんです。
齋藤さんはデータとビジネス、そして「人」の間でどのような経験を積んできたのでしょうか。入社理由から現在の仕事、そして今後の抱負を伺いました。

データと向き合い、人と向き合う:ビジネスプロデューサーという働き方

──本日はよろしくお願いします。まず、齋藤さんの学生時代について教えてください。

高校時代にニュースで話題になっていた労働問題に関心を持ち、その原因や解決方法について学ぶために、大学では商学部に進みました。さまざまな講義を受ける中で、計量経済学に強く興味を惹かれ、担当教授のゼミに入りました。
本格的にデータに触れるようになったのは、ゼミに入ってからです。僕は不動産情報サイトのデータをウェブから収集して回帰分析するテーマで卒業論文を書きたかったので、自分でPythonを学び、データを集めて分析する、という一連のプロセスを経験しました。

──文系出身でありながら、理系的なアプローチで経験を積まれてきたのですね。

自分でデータを加工し、集計することで、目に見える「結果」が出てくるプロセスに純粋な面白さを感じました。また、計量経済学の「仮説を立てて検証する」というアプローチにも強く惹かれ、企業活動の中でどのようにデータが使われているのかに強い関心を持つようになっていきました。


入社経緯:スキルセットとのマッチングで見えた道

──データ分析の面白さを感じ、就職活動ではどのような軸で企業を探していましたか?

職種として「データサイエンティスト」か「データコンサルタント」になりたい、という思いが明確にありました。当時はまだ事業会社でデータ専門職を新卒で採用するケースは少なく、大手では総合職採用がほとんどでした 。そのため、専門性を高められるIT業界、特にデータ分析を専門とする企業を中心に見ていました 。

──その中で、ブレインパッドを選んだ決め手は何だったのでしょうか?

正直にお話しすると、当時の自分には「データサイエンティスト」として採用されるほどの技術力がなかった、という点が大きいです 。他のデータ分析専門の会社では、インターンシップなどで高度な分析経験を積んだ学生が求められることも多く、選考でそうした現実を知ることもありました 。自分自身、Pythonは書けるものの、専門的にやってきたわけではなかったので「やりたい気持ちはあるけれど、少し動き出しが遅かったかな」という自覚がありました 。
そんな中、ブレインパッドの「ビジネスプロデューサー」という職種は、まさに自分にフィットすると感じました。大学で経営学を学び、計量経済学のゼミでデータ分析も経験している 。この経験が、ビジネス課題とデータ分析の橋渡しをするこの職種にはプラスに働くと考えましたし、ブレインパッド側もそう評価してくれたのだと思います 。

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現在の仕事内容:組織、分析、マーケティングを横断し、キャリアを深める

──入社してからこれまで、どのようなプロジェクトを経験しましたか?

最初は人材育成のプロジェクトで、データサイエンティストを育てるための組織づくりやデータマネジメントの支援をしていました 。人材育成にもやりがいを感じましたが、自分で直接データを触って、お客様により具体的な提案がしたくなり「次は分析プロジェクトをやりたい」と希望を出しました 。

次に担当したのは、スーパーマーケットのPOSデータ分析です 。ついで買いや他ブランドからの乗り換えなどの目的に応じて適切なクーポン対象者を特定する分析を通じて、データ加工から分析設計までを一通り学びました 。その後は事業会社のマーケティングにおけるデータ活用の提案といった仕事を複数経験しました 。

──複数の領域にわたって支援されているのですね。それらの経験はどのようにつながっているのでしょうか?

はい、さまざまな性質の案件が巡り巡ってつながる良い経験の積み方ができているのではと思っています。例えば、とあるお客様のKPI設定プロジェクトに取り組んでいる際、話を進めるうちに、KPIを設定するだけでなく、KPIを評価して改善策を考える部署を作る必要がある、という組織的な課題が見えてきました。そこで、当初の予定にはありませんでしたが、自分から「新しい組織を作る検討もしてみませんか?」と提案したんです 。

これは、1年目に経験した組織組成の知見があったからこそできた提案です。一方で、最初の組織組成のプロジェクトだけでは、現場の業務が分からないため、自分1人の力ではどこかフワフワした提案になりがちです。しかし、その後にマーケティングやオペレーションといった現場に近い分析プロジェクトを経験したことで、より地に足のついた組織論を語れるようになりました。
「組織」から「現場のマーケティング」へ、そしてまた「組織」へ。この一見バラバラに見える経験の積み方が、結果的に自分の提供できる価値を大きくしてくれたと感じています 。

──プロジェクトを担当するなかで、特に大変だった経験はありますか。

泥臭い話ですが、データ量が多かったプロジェクトは辛かったです 。分析を担当していたのですが、数億件の膨大なデータを2ヶ月で加工して、70個くらいのレポート画面を作らないといけなくて。クエリを投げてもなかなか結果が返ってこないので、朝クエリを実行して、別の仕事をしながらクエリ結果を待つ、を夜まで繰り返す、といった生活が続きました 。データ量の多さに苦労した一方で、お客様が日々向き合っているデータの大きさや、それを扱うことの難しさを肌で知る、という意味では重要な経験だったと思います 。
また、理論だけでは上手くいかず、お客様の置かれた状況に合わせて応用が必要な点が、この仕事の大変かつ重要な点です。例えば、ITサービスとアパレルという異なる商材では、マーケティング戦略の重みや時間の捉え方が全く異なるため、お客様の真意を理解しないと価値ある提案はできません。

ビジネスプロデューサーの面白さ・魅力:データと人、現場と経営の間に立つ

──さまざまな経験を通して、ビジネスプロデューサーという仕事の面白さをどこに感じていますか?

この仕事の核心は、データと人、現場と経営の間に立つことだと考えています。データは、ただの数値が並ぶ、ある意味で「冷たい」世界です。そのデータが示す事実をそのまま「数字がこう言っているので、こうすべきです」と伝えたところで、お客様の心は動きません。特に、外部から来たコンサルタントが言うことなら、なおさらです。
僕たちビジネスプロデューサーの価値は、「冷たい」データが突きつける現実を、いかに「温かい」人の言葉とコミュニケーションに乗せて伝え、お客様の判断を後押しできるか、という点にかかっています。
これは、自分自身の年次が上がるにつれて、より強く意識するようになりました。入社当初は、議事録を取りながら「この発言の裏にはどういう意図があるんだろう」と、メンバーの視点でしか気づけない、表情や状況、声色などの細かい変化を拾うのが仕事でした。しかし最近は、お客様を「動かす」ことがより重要になってきています。ロジックを振りかざすだけでなく、担当者の悩みに寄り添いながら、同じ目線で考えるといったことを意識しています。例えば、クライアントの上層部を含めたミーティングの後に、「組織動かすの、むずいっすね」「どうやってこの壁を壊していきましょうか」といった具合で、担当者と作戦会議をするんです。そうした、一見ロジックの対極にあるような、こうした血の通った関係性の中から、変化が生まれるのだと思います。

──さまざまな業界を経験できることも、この職種の魅力の一つだと思います。

そうですね。他の業界の成功事例を、いかに担当するお客様の業界に合わせて応用・展開できるか。これはビジネスプロデューサーのコアバリューであり、若いうちから多様な業界を経験できるのは大きな財産です 。

一方で、プロジェクトが始まるたびに、その業界の知識を短期間でキャッチアップしなければならない、という大変さもあります 。下手するとお客様の信頼を一瞬で失いかねない、非常に重要なプロセスです。そのために僕が大切にしているのは、正直に「教えてください」と頭を下げて聞きに行く姿勢ですね 。データのプロフェッショナルとしての価値を発揮しつつも、お客様のビジネスについては謙虚に学ぶ。この姿勢が信頼関係を築くための第一歩だと考えています。

──ブレインパッドという会社だからこそ、お客様に提供できる強みはどんな点にありますか?

戦略コンサルタントや特定の業務領域に特化したコンサルタントとは違い、私たちはデータ分析の領域で独自の価値を提供しています。
特に、データ活用は現場でデータが生まれ、経営層が意思決定するという構造があり、その「現場と経営をつなぐ」という部分がブレインパッドの強みです 。現場の課題感や「本当はこうすべきだ」という声を、私たちが第三者の視点で整理し、経営層が理解しやすい形に翻訳して上に届ける。そうすることで、会社全体の大きな変革に繋げることができます 。社外の人間であり、かつデータという客観的な武器を持っているからこそ、その役割を果たせると感じています 。

──ご自身が社員として感じるブレインパッドの魅力は、どんなところですか?

この会社の一番面白いところは、トップレベルの専門家がゴロゴロいる中で、自身の成長機会に事欠かないことです。例えば、僕が「エンジニアリングに興味がある」と言って、エンジニアの領域に足を踏み入れた瞬間、社内での僕の能力はほぼ最下位になります 。データサイエンスの領域も同様です。この会社には、データサイエンス、エンジニアリング、そしてビジネスと、それぞれの領域にトップレベルの専門家がゴロゴロいる。そうした人たちと働きながら自分も貢献する、という良いプレッシャーの中で仕事ができ、成長も早いです。
専門性を深める道もあれば、僕のように領域を越境していく道もある。会社として「あれもこれもやってみればいいんじゃないか」という、ある種のモラトリアム的な雰囲気が許容されているのも、大きな魅力です 。

今後の展望:「顧客価値」を起点に、欲張りに進化し続ける

──齋藤さん自身の、今後のキャリアプランについて聞かせてください。

実は、自分のキャリアプランというものにあまりこだわりがないんです 。僕が常に考えているのは、「その時々で、お客様が必要としているスキルは何か?」ということ。お客様に価値を提供するために必要なことであれば、何でも身につけて、フルスタックになっていきたいと無邪気に思っています。逆に言えば、お客様への価値提供という目的に向けた手段には、一切こだわりがありません 。

──それでは、「今、お客様が必要としているスキル」とは何だと考えていますか?

LLM(大規模言語モデル)の登場で、お客様の期待値は大きく変わりました。特に、To Be像を描くコンサルティングだけでなく、クイックに手元で結果が見れるツールプロダクト/ソリューションも早い段階で欲しい、というニーズが非常に高まっています 。
これに応えるためには、コンサルタント自身が、簡単に動くコンパクトなデモやモックアップを作る必要があると考えています 。お客様も、具体的な「動くもの」があれば、上層部への説明や他部署との連携が格段にしやすくなる 。データ活用のサイクルを加速させるために、LLM(vibe codingなど)を活用していきたいと思っています。

──今後、齋藤さんがやりたい仕事はありますか?

これから僕がこの仕事を通じて社会に貢献したいと考えているのは、日本に「アジャイルに事業投資して、アジャイルに失敗する文化」を根付かせることです 。データサイエンスの本当の価値は、高い精度の未来ではなく、出てきた結果を厳密に検証し「この方向性は正しいのか、間違っているのか」を迅速に判断することにあります 。このサイクルを高速で回すことができれば、企業はもっと大胆な挑戦ができるはずです。
また、最近の生成AIの潮流について、個人的に思うこともあります。僕は音楽や漫画が好きなので、人間のクリエイティビティや「楽しい」と感じる領域をAIが担うことには、少し抵抗があります 。AIには、それぞれの人が苦手、大変だと思う仕事を任せればいい。ビジネスにおいても、事業戦略そのものを考えるような、やりがいがあり人が責任を持つべき部分までAIに委ねるのは違うのではないか、と 。

──最後にひとこと、データ分析業界やコンサルタントを目指す学生へ、メッセージをお願いします。
データは万能ではありません。データで語れる範囲には限界があります 。だからこそ、データという客観的な事実に基づきながらも、最後は人間が自身の頭で考え、意思決定することに価値がある。
ブレインパッドのビジネスプロデューサーは、まさにその最前線に立つ仕事です。データスキルはもちろん重要ですが、それ以上に、お客様のビジネス課題に深く共感し、データを武器にしながらも、最後は「人」を動かしていくことに情熱を燃やせる方と、ぜひ一緒に働きたいと思っています。皆さんとお会いできるのを楽しみにしています。


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www.brainpad.co.jp
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