データサイエンス業界のリーディングカンパニーが描く、AIエージェントと人間が共創する未来とは?同社のCEO辻さんとCOO古角さんに、創業の経緯から事業ビジョン、そして求める人材像まで、率直にお話を伺いました。

登場人物
辻(写真右):ブレインパッドエーキューブ CEO。2012年にブレインパッド新卒入社。データサイエンティストとして十数年のキャリアを積み、生成AIタスクフォース責任者を経て現職。
古角(写真左):ブレインパッドエーキューブ COO。2018年にブレインパッドに新卒で入社しコンサルタントとして活躍後、スタートアップでの事業開発経験を経て、2024年にブレインパッドに再参画。M&A推進組織立ち上げ後、現職に就任。
なぜ今、AAAが立ち上がったのか?
──まずは簡単に自己紹介をお願いします。
辻
BrainPad AAAを3月10日に立ち上げ、代表取締役社長兼CEOを務めています。2012年に新卒でブレインパッドに入社し、十数年データサイエンティストとして、さまざまなプロジェクトに携わってきました。組織や事業のマネジメントも経験し、昨年から生成AIタスクフォースの責任者を務めており、正式に事業化し子会社にするという流れで、現在に至ります。
古角
新会社を設立した3月から、COOを務めています。2018年にコンサルタントとしてブレインパッドに入社し、データ活用のコンサルティングを経験しました。その後、AIスタートアップにて、事業開発やプロダクト開発、組織開発を経験し、2024年にブレインパッドに再参画し、M&A推進組織を立ち上げました。非連続な成長をつくることに挑戦をしたく戻ってきたので、新会社設立にあたってCOOのポジションを打診いただいた際、二つ返事でこのチャレンジにベットすることを決めました。
──社内で抜擢され、今の立場を任されたのですか?
辻
タスクフォースは研究的な要素もそれなりにあったのですが、それを本格的に事業としてやっていこうということで子会社の代表に任命されました。タスクフォースの責任者をやっていた頃から生成AIの技術と、それをどうやったら社会にインパクトのあるものにできるかという視点で発信していたことが、今の形につながっているのかなと思います。
──そもそもなぜエーキューブが立ち上がることになったのか、お話しいただけますか?
辻
大きく二つの理由があります。一つは市場の成長性の圧倒的な違いです。 生成AIの市場は去年だと90%くらいの成長率で、2030年までAIエージェント単独でも年平均45%くらい伸びていくといわれています。ブレインパッド本体のプロフェッショナルサービス事業は安定的に年10〜15%の成長を続けていますが、それでも生成AI市場の伸びは桁違いです。このスケール感の差を正面から捉え、新しい挑戦に専念できる場が必要だと判断しました。
もう一つは意思決定のスピードです。 ブレインパッド本体は上場企業として求められるガバナンスやプロセスを大切にしており、その分プロダクト開発では慎重な検討フローを踏みます。生成AIのように変化が激しい領域では、数週間単位で方針を柔軟に変えられる軽さが競争力になります。そこで、スタートアップ的な俊敏さと独自の裁量を備えた子会社という形を選びました。

エーキューブに込められた3つの「A」
──エーキューブという社名の由来を教えてください。
辻
最初は「ブレインパッドAIエージェント」のような直接的に事業を表す名称を考えていたんですが、語感や名称の長さを考慮して最終的には、Autonomous(自律型)AI Agentの頭文字を取ってAAA(エーキューブ)にしました。
ただ、単なる略語ではなく、AIエージェントが社会に実装されるために必要な3つの要素を表しています。
Autonomous(自律性):今までルールベースで動いていたものが、AIエージェントの判断で自律的に動作する
Annotated(構造化):暗黙知化されたプロセスや非構造化データをAIエージェントが構造化し、一貫性のある業務遂行を実現する
Authorized(承認):AIエージェントが実行した処理を人間が効率的に承認でき、その成果に対して責任を担う仕組みが必要
この3つが揃わないと、社会の中でAIエージェントは使われるようになりません。そして、A³は立方体、つまりキューブ。数字を扱う会社として、この名前がぴったりだと思いました。

現場の匠の技を、時空を超えて継承する
──AI業界にどんな課題意識がありますか?
辻
生成AIは個人利用なら便利ですが、エンタープライズで使おうとすると大きな問題があります。「今回の成果物は生成AIの出力によるものなので間違っているかもしれません」では、ビジネスは成立しません。
さらに困ったことに、 AIエージェントを使えば使うほど、その成果物を承認する側の人間の認知負荷が劇的に上がってしまい、人間の管理可能限界を簡単に超えてしまう。そのため、人間の管理コストを下げる仕組みが必要になると考えています。1万文字の生成された文章を確認するのは大変ですが、信頼性スコアや記述内容のバラツキの大きさを表す情報が同時に提供されれば判断は容易になります。いかに効率良く人間がAIエージェントを管理できる状況をつくり出せるかが、私たちのサービスの付加価値になると考えています。
──具体的にどんなサービスを開発しているのですか?
辻
作業現場や保守点検などのフィールドワーカーに、肩掛けのウェアラブル端末で作業を撮影してもらい、その映像からAIエージェントが自動で作業報告書やマニュアルを作成するサービスです。
作業者は記録の負担から解放され本業に集中でき、 管理者は今まで見えなかった業務プロセスの詳細なデータを得られます。どこに問題があるのか、どこに匠の技があるのかが可視化されるんです。
古角
フィールドワーカーの領域では人材不足が深刻で、海外労働者が入ってきてもオペレーションの標準化や品質維持が課題になっています。匠の技術や熟練者のノウハウが、担い手不在で失われようとしている。これは本当に大きな損失です。
映像だけでは何の作業が行われているか十分にはわかりませんが、AIエージェントが作業内容を構造化し、人間が理解できる形に変換することで再現可能になり、時空を超えた技術継承が実現できます。

──なぜ最初にフィールドワーカー領域に着目したのですか?
辻
我々のAIエージェントのサービスは、担い手不足が顕在化している産業でより必要とされると考えたためです。熟練の作業者の方が次々とリタイアしていく一方でそれを継承する人材を見つけられず、事業継続そのものが難しくなっているケースを我々もよくお聞きするようになってきました。
エージェントネイティブな世界へ
──「エージェントネイティブ」という言葉を使われるのが印象的です。どういう意味でしょうか?
辻
AIエージェントと一緒に働くことが当たり前の世界です。 現場作業者にとって作業の記録はAIエージェントの仕事になり、マネージャーは集積された記録をもとにAIエージェントからの提案を受け意思決定する。それが特殊ではなく、当たり前であるという状況をつくることです。
我々が重要視しているのは、人間がAIエージェントの使い方をいちいち考える必要がない状況をどう作っていくかです。 人間は本業に集中し、AIエージェントが自律的にサポートする。それが真のエージェントネイティブな世界だと考えています。
──ハードウェアも開発するのですか?
古角
私たち自身がハードを開発することは基本的にありません。ただ、いろいろなハードウェア企業とパートナーシップを組んでいくことを構想しています。エーキューブは、蓄積された映像やデータを活用する領域で価値を提供していきます。
求める人材像:背番号をいくつも持つ人
──どんな価値観を持った方と働きたいですか?
古角
まずは、技術とビジネスの両方に関心があることを大切にしています。ブレインパッドでは、データサイエンティスト・エンジニア・コンサルタントが協働してプロジェクトを推進することが多く、役割の垣根はなめらかです。エーキューブでも、「私は技術の人です」「ビジネスサイドなので技術はわかりません」という明確に線引きをする人より、両方に興味を持ち、お互いに役割を補完できる人が活躍できる組織にしていきたいです。
ブレインパッドの勉強熱心なカルチャーも引き継いでいきたいと思っています。ブレインパッドでは年間約400回もの自主的な社内勉強会が開催されています。生成AIの進化のスピードは凄まじく、1ヶ月前に驚かされた技術やサービスですら、1ヶ月後にはそれを凌駕する技術が登場していることも少なくありません。このようなトレンドのど真ん中でサービスを作っていくので、最先端の情報を自然に取り入れながら、その本質を見極められるスキルはこれまで以上に重要になっていきます。
市場やユーザーと対話しながらビジネスをつくっていくことも重要です。100%正解ではないような状態でも市場に出してみて、フィードバックを収集し、論点を整理して、より良い意思決定を高速で繰り返していく。この新しい価値観をエーキューブでは浸透させたいと思っています。
辻
何より、指数関数的な成長を前提に思考できることが重要だと考えています。 「人が増えないと売上が伸びない」という発想ではなく、我々の事業運営自体もAIエージェントを活用することによって指数的に伸ばすことができるという発想を持っている方と一緒に働ければと考えています。また私自身、仮説を立てて検証を重ね、時に間違いながら事業を前に進めています。実験結果から建設的にフィードバックを得ながら解を見つける。このプロセスを楽しめる人なら、きっと活躍できるはずです。
──エーキューブでは、どのような意思決定スタイルや働き方が根付いていますか?
辻
私と古角さんはビジョンをリードする立場ですが、意思決定では感情よりもデータとロジックを重視しています。チーム全員が仮説をぶつけ合い、小さく実証し再現性が確認できたものをプロダクトや戦略に採用する。そんなサイクルを高速で回しています。だからこそ、仮説をたくさん持ち込み、自分で検証まで走れる人ほど働きやすい環境だと思います。
古角
現在の組織では、全メンバーがストレッチした役割・責任を担っています。スタートアップの創業メンバーとして、これまで経験したことない業務と責任範囲を全員が持っています。ブレインパッドの会社としても、挑戦したことのない課題や顧客層をターゲットにビジネスを始めています。一緒にもがきながらやっていくのが今のフェーズです。新たに入っていただく方にも、これまでの経験値以上に、こうした考え方・動き方に共感していただけるかを重視したいと思っています。
5年後、AIエージェントのない働き方は想像できない
──最後に、この会社を通じて成し遂げたい野心を聞かせてください。
古角
事業面では、日本の熟練作業者のノウハウが失われることを防ぎたい。 フィールドワーカーの人たちがこれまで積み上げてきた匠の技術を未来に伝承するために、業務の中で自然と取り入れられるサービスを作っていきたいと思っています。そして、それはデジタルネイティブな人たちにデジタルサービスを提供する以上に難しくて、チャレンジしがいのあるものになるはずです。組織面では、ブレインパッドグループ全体として多様な事業ポートフォリオと組織フェーズを持つ会社になるための、最初の成功事例になりたいと思っています。
辻
5年後、AIエージェントなしの働き方は、今の車やインターネットなしの生活と同じくらい考えられなくなっているはずです。 その世界の実現に、私たちが一翼を担っていきたい。
これはあくまで仮説ですが、生成AIのコストは下がり続け、状況を認識し推論する能力も向上している。品質を劇的に上げながらコストを下げられる、新しい産業革命に私たちは到達しているはずです。
──求職者へのメッセージをお願いします。
古角
ブレインパッドが創業以来、データビジネスのリーディングカンパニーとして培ってきた実績は確かなものがあります。 これをベースにAIエージェントのサービスを立ち上げられるのが私たちの強みです。一方で、フィールドワーカーの領域やプロダクトビジネスは新しい挑戦です。ベースがありつつ、一緒にチャレンジできる方に入っていただけると嬉しいです。
辻
AIエージェントがどんな付加価値を生むのか、まだ誰も証明できていません。だからこそ、一緒に証明しましょう。 「私はこうなると思う」という仮説を持っている方がいたら、ここで実験してみてください。

──ありがとうございました!
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www.brainpad.co.jp
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