ブレインパッドが考える、企業のデータ活用を促進する人材育成

クライアント企業向けに提供するデータ活用教育・研修サービス。私たちは、「データ活用人材」という人材像を重要視しています。本ブログでは、当社がデータ活用人材の育成支援に携わる理由や日本の現状について、ご紹介します。

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こんにちは。アナリティクスサービス本部の摂待(せったい)です。

ブレインパッドのアナリティクスサービス本部では、4年前から始めたデータ活用・分析に関するクライアント企業向けの教育・研修サービスを提供する事務局機能を発展させ、今年新たにデータ活用人材の育成やOJT(並走業務支援)支援のための専門部署を立ち上げました。

■データ活用人材とは

「データ活用人材」というと、何やら聞き慣れない印象を持った方も多いのではないでしょうか?
「データ活用人材」とは、自社や外部企業のためにデータを利活用してビジネス上の成果創出を担っている人々のことをいいます。日本国内でも「データサイエンティスト」という職業がやっとメジャーになってきましたが、実際のビジネスの現場で「データ」を活用してビジネス改善や効率化を図るには、企業内の様々な部門や職種の人が連携し、一丸となって取り組むことが重要です。つまり、「データサイエンティスト」という職業の業務範囲だけでは解決が難しい問題について、企業のビジネスに関わる一人ひとりが何らかの形で直接・間接的に「データ活用」に関わっていく必要性があるという考え方から、我々は「データ活用人材」と定義しています。

■ブレインパッドがデータ活用人材の育成支援に携わる理由~データ活用人材は、今後欠くことのできない重要な資源~

ブレインパッドの経営理念は、「データ活用の促進を通じて持続可能な未来をつくる」です。これは、全ての人がデータ活用を通じて「生産性の向上」や「無駄の排除」、大量データの分析を通じて、企業の意思決定の合理化・精緻化や限られた経営資源の有効活用に貢献するだけでなく、社会の全ての事象がデータ活用を通じてさらに改善・向上することが理想的な社会の形成に寄与すると信じているからです。
とはいえ、私たちは決してデータを万能視しているわけではありません。有史以来、人類が歴史として積み重ねてきた経験や知識・感性、各学問分野に蓄積されたノウハウなど、我々の生活を支えるデータ以外の資源はたくさんあります。
しかし、とりわけ資源に恵まれてない日本においては、新しい価値を創造するために「データ」、そして「データ活用人材」が今後欠くことのできない、企業の重要な資源の1つだと考えており、その意味で人材育成もまた我々の会社の重要なミッションだと捉えています。

■ブレインパッドが考えるデータ活用人材の全体像

私たちはデータ活用人材について、「一般社団法人データサイエンティスト協会」(※)のスキル定義とは少し違った捉え方をしています。なぜならば、企業・団体などの組織の一員としてデータ分析を行っている人にとって、データ分析は仕事の「手段」であって「目的」ではないという場合もあることから、その人が所属する組織・部門・役割に応じて、それぞれのデータ活用の形があると考えているからです。加えて、それらのミッション・目的を明確化することが、データ活用を確実に推進することに繋がります。
また「高度データ活用人材(スペシャリスト)」にあたるようなデータサイエンスの専門組織においては、各メンバーの経験やスキルなどを活かした組織づくりをすることで、個人に着目した研修プログラムやトレーニングよりも各メンバーの得意領域を結集した方が、より高いパフォーマンスを上げられる場合もあります。そのため、組織としての成果を導出するアプローチに着目していくことも重要であると考えています。

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■日本国内における「データ活用人材」の現状と今後

ここからは経済産業省(2017年)が発表している「第4次産業革命 人材育成推進会議(第3回)」の内容をもとに、日本国内の企業がデータ活用の側面においてどのような課題を抱え、今後どうしていくべきかを整理した資料をもとに解決の方向性を考えていきます。
経済産業省では、ITに関わる人材の中でも、特にAI・IoT・ビッグデータ等に携わる人材を「先端IT人材」と称しており、その中の一分野として「データサイエンス」の分野についても触れています。

○人材育成に関する具体的な二―ズ
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/jinzaiikusei_dai3/siryou3.pdf
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/jinzaiikusei_dai3/siryou4.pdf

本ブログにおいては、データサイエンスをビジネスで活用推進するために、4つのタイプにわけて人材像を整理しています。

【事業マネージャー】
  • データ分析に先立ちビジネス視点で仮説を立て、発注をし、分析結果が仮説に合っているか検証する能力が必要。―― (中略) (ビジネス視点での理解が深い事業マネージャーの協力により、ビジネスに貢献するデータ分析が可能となる)

事業マネージャーとは、実際にビジネスをドライブしている現場のマネージャーを意味しており、彼らの手腕でデータサイエンティストのパフォーマンスが大きく左右されることもある、というのが見解のようです。逆に捉えると、ビジネスに理解が深い事業マネージャーほど、分析担当者がビジネスに貢献するパフォーマンスの高いデータ分析を実現することが可能になるとも捉えられ、ビジネス側とデータ分析をする側の両面をドライブするポジションとして重要な人材といえます。

【事業活動に役立つ戦略づくり・設計を行う人材】
  • データ分析には目的意識が必要だが、そこを考える人材が足りていない
  • データはある、ツールもある。しかし、何に使えばいいか解らないという人(企業)は多く、目的意識を持たせるようにする教育プログラムやトレーニングが重要となる
  • 加えて、蓄積されたデータをデータベースに適切にリストアして、データサイエンティストや現場に提供できるデータエンジニアの存在も肝要となる

データ分析の目的として、一般的に次のいずれかを設定します。
(1) 目標値の最大化 (売上、成約数、新規顧客数 など)
(2) リスクの最少化 (コスト、歩留まり率、離反顧客数 など)
(3) パフォーマンスの最適化 (最適在庫量、成約率、費用対効果指標 など)

事業活動に関わるデータ分析はこれらのいずれかを対象とするケースがほとんどです。
また分析担当者が最終目標をどう設定するかによって、目指すべき方向性や評価基準が変わってきます。どんなに予測精度の高いモデルや正確な分類器が生成できたとしても、その活用方法が定まらないとビジネスの成果に結び付けることが難しくなります。よって、この人材は自社のビジネスの方向性や現状を踏まえて、正しい目的設定をすることがデータ利活用を適切に推進するための要になるといえます。

【結果を活用し、ビジネス企画や改善等に活かす人材】
  • データの意味を知らないとデータを使いこなせない。どう組み合わせたらどういう意味があるのかがわかるようになる必要がある
  • データを使いながらビジネス戦略を立てられる人が日本全体で足りない。データを自らは扱えなくても、企画したりするときの勘所がわかり、データサイエンティストをマネジメントできるようにするため、ビジネス側のデータ活用能力も育てる必要がある

この人材は、どちらかというと分析結果を受け取って使う側にあたります。
ビジネスの最前線で起きている現象とデータから得られる情報を組み合わせて、ビジネス企画や改善を活かす取り組みは、現場担当者(企画担当者、制作担当者)、データサイエンティストのいずれか片方だけでは実現することが難しく、双方が互いに意見やアイディアを突き合せたり、共創したりすることが重要です。
現場担当者がデータサイエンティストから上がってきたデータ(分析結果)に対して、アイディアを提供するなど適切にフィードバックしたり、次の企画アイディアに繋げられるようにするには、やはりデータサイエンスの現場で起きていることも、少なからず理解できることが重要です。つまり、データサイエンスに基づいた創造的なビジネス企画や改善は、両者の深い理解と信頼関係があってはじめて実現できるのです。

【実際に手を動かしてデータを分析する人材】
  • データサイエンスの現場においては花形の職業ではありますが、最近ではデータサイエンスティストをお客様側に置かなくてもすむサービスが出てきている
  • 自分でデータを分析する作業はどんどん置きかえられる。統計や数学的な分析手法を知らなくても分析できるソフトが海外ではすでに出てきている

これはデータサイエンティストが要らなくなり、すべてのデータ分析業務が人工知能(AI)や機械アルゴリズムに取って代わられると述べている訳ではない、と筆者は理解しています。単純に手を動かすだけの人材に対する二―ズが縮小していき、今後は徐々にデータサイエンスの現場における経験・習得スキルに加えて、創造性や問題解決スキルの重要性が拡大していくことを示唆していると捉えています。具体的には、「このデータがあるからこういう分析をすべき」ということだけではなく、「欲しいデータやデータの取得方法を考え設計する力」、「データを正しく解釈していることを前提に、ビジネスの目的に沿ってイマジネートをする力」などが当てはまります。

■まとめ

当社が行っている人材育成サービス(企業・個人向け研修サービス)においても、数多くのお客様からいただいた課題や要望をもとに試行を重ね、4年間で二十数社以上の企業様に対し、研修プログラム/トレーニング、OJT型のサービスを企画し提供してきました。

ここ10年の世界の動きをみていても、どのような業種・業態を問わず、データを活用したサービスや取り組みは全世界へ広がっていく様相となっています。データ活用人材を取り巻く環境やトレンドはみるみる変化していくと予想されますので、データ活用に関わる方々が新しい問題・課題にぶつかるシーンは増えていくのではないかと考えています。
今後も我々は、データ活用人材の育成のために様々な研修プログラムやワークショップ、OJT支援を続けていきたいと考えています。今後の我々の活動にご注目ください。
school.brainpad.co.jp



2017年10月23日(月)に開催する「一般社団法人データサイエンティスト協会 4thシンポジウム」にて、「企業のデータ活用を促進する人材育成戦略〜ブレインパッドの教育サービス〜」をテーマとした講演を行います。本ブログでご紹介した内容をより詳しく知りたい方は、ぜひイベントにご参加ください。
www.datascientist.or.jp

※データサイエンティスト協会が定めるスキルレベルは、以下URLに掲載されている資料の図3をご確認ください。
 http://www.datascientist.or.jp/news/2014/pdf/1210.pdf

 データサイエンティスト協会の公式ウェブサイトは、こちら。
 http://www.datascientist.or.jp/index.html