データから新たな価値を生み出すマーケティングのヒントとマーケターの役割とは? TSUTAYA大畠氏登壇「顧客データ活用法の改革による“CRMの進化”」セミナーレポート

 こんにちは、広報の辻田です。

 11月30日(水)、当社とアライドアーキテクツ株式会社の共催で、「顧客データ活用法の改革による“CRMの進化”」をテーマにセミナーを開催しました。

 ビッグデータ活用およびデジタルマーケティングサービスを提供するブレインパッドと、SNSによるマーケティングを支援するアライドアーキテクツは、“企業とマーケターがどのようにデータを活用したOne to Oneマーケティングに取り組んでいけばよいのか、そのヒントをお客様にお伝えしたい”という思いから、今回のセミナーを企画しました。
 当日は、定員を大きく上回る総勢100名以上のマーケターの方々にお集まりいただき、あらためてデータを活かしたマーケティングへの関心の高さが伺えました。

株式会社TSUTAYA 大畠氏によるゲスト講演

 今回、先進的なデータドリブン・マーケティングを推進されている企業の代表として、株式会社TSUTAYA ネットカンパニーマーケティング本部 サービス基盤推進ユニット ユニット長の大畠 崇央氏にゲスト登壇いただきました。
 大畠氏からは、データを活用したOne to Oneマーケティングを実現するためにTSUTAYAが取り組んできたこと、多くの企業でも悩むであろう課題への解決のヒントなどを講演していただきました。


▲株式会社TSUTAYA ネットカンパニーマーケティング本部
サービス基盤推進ユニットユニット長 大畠 崇央氏の講演の模様

 大畠氏は、TSUTAYAが提供する「TSUTAYA」店舗、映像配信「TSUTAYA TV」、ネット宅配レンタル「TSUTAYA DISCAS」、通販サイト「TSUTAYA オンラインショッピング」などの各種サービスから収集される顧客行動データの収集基盤を構築し、社内にそのデータを活用するための専門組織を新規に立ち上げ、データドリブンなビジネスを推進されています。

 講演の冒頭では、全国で約1,500店舗を展開する「TSUTAYA」の事業や、全国の店舗やECサイトなど約56万店で利用できる共通ポイントサービス「Tポイント」についてご紹介いただきました。現在、「TSUTAYA」の店舗には月間で約1,900万人が訪れ、「Tポイント」カードを保有するユニーク会員(複数枚所有している人の重複を除いたユニークな会員数)は、約6,082万人を突破し、これは日本総人口(1億2708万人、総務省統計局調べ)の2人に1人が利用していることになり、この数字からもTSUTAYAがわれわれにとってとても身近な存在であることがわかります。
 国内で年間販売される新作DVD・CD・書籍は約11万作品もあり、データを活用したOne to Oneマーケティングを実施しないとどんなにすばらしい作品があったとしてもお客様に提案できない可能性があります。そのため、TSUTAYAはさまざまなウェブサイトやアプリを作り、One to Oneでのレコメンドやパーソナライズを行っているとご紹介いただきました。
 例えば、お客様の年代、過去の購入商品や今まで閲覧されたウェブサイトのコンテンツ、検索キーワード、位置情報などさまざまな情報に基づき、商品の提案を行っているそうです。

 その後、今回のメインテーマである「One to Oneマーケティングを実現するポイント」として、「組織」「データ統合」「人材の底上げ」の3つの重要性とTSUTAYAにて実践してきた内容についてご紹介いただきました。

(1)「組織」
 TSUTAYAが提供するDVD・CDなどの商品は、店舗でのレンタル・販売、ECサイトでの販売、宅配レンタルなどさまざまなチャネルを有していることから、レンタルでは「TSUTAYA」店舗のサービスを利用しているが、商品を購入する際には別の会社のサービスを利用しているという機会損失の可能性が想定されていました。そのような現状を脱却するため、サービス全体を横串で考える「サービス基盤推進ユニット」という組織を立ち上げ、お客様視点でのマーケティング施策を推進されています。
(2)「データ統合」
 組織を作った後に取り組まれたのは、各種サービスのデータを統合する基盤を構築し、データ自体を横断で利用できる環境面の整備だったそうです。整備した結果、例えば、TSUTAYAのサービスを横断したコンバージョンが取得できようになり、同社のオウンドメディアの記事と関連する商品を購入した人の数やその特徴、店舗で購入している人のウェブサイト上での傾向なども相関して把握できるようになったそうです。
(3)「人材の底上げ」
 一例として、TSUTAYAでは、同社の社員の約99%のメンバーがアクセス解析のツールを使えるように研修を行っているそうです。同社は、データに基づくアクションを非常に重視しており、新卒研修においてもデータ分析の講習を行い、基礎知識を身につけた社員を現場に送り出すようにしているそうです。

 次に、「広告と情報の違い」について説明され、興味のない商品や購入済みの商品をおすすめされると単なる広告にしかならないが、お客様をきちんと理解し、“わくわくするような商品”を提供することで広告は貴重な情報に変わる、それが「One to Oneコミュニケーション」の大前提となるとご紹介いただきました。
 さらに、One to Oneコミュニケーションの実例として、同社のウェブサイト等で実際に実施されている「Rtoaster(ブレインパッド提供)」を活用したパーソナライズやレコメンドに関するマーケティング施策とその効果についてもご紹介いただきました。

 最後に、さまざまな取り組みを行ってきた大畠氏にとって、データ活用とはどのようなものと考えていらっしゃるのかをご紹介いただきました。大畠氏は、社内外に蓄積されたデータは、ビジネスの現状維持を目指すために使用するものや、現状の施策の結果を報告するものだけではないとおっしゃられ、「データは、新たな価値を生むように使うものと思っている。ぜひ、業界を超えて皆さんがんばりましょう!」という言葉で結び、参加されているマーケターの方々への激励でゲスト講演は終了いたしました。

3社によるパネルディスカッション

 続いて、ユーザー企業の立場からTSUTAYAの大畠氏、TSUTAYAのマーティング支援を行っている立場からアライドアーキテクツ 津下本氏、ブレインパッドの岸田、モデレータにブレインパッドの近藤が登壇し、顧客データ活用によるこれからの「CRM戦略」「マーケターの役割」をテーマに3社によるパネルディスカッションを実施しました。


写真左より、
<モデレータ>

 近藤 嘉恒(株式会社ブレインパッド マーケティングプラットフォーム本部 副本部長)
<パネラー>
 大畠 崇央 氏(株式会社TSUTAYA ネットカンパニーマーケティング本部サービス基盤推進ユニット ユニット長)
 津下本 耕太郎 氏(アライドアーキテクツ株式会社 取締役)
 岸田 昇(株式会社ブレインパッド マーケティングプラットフォーム本部 営業推進部 部長 兼 Rtoasterプロダクトオーナー)

 本パネルディスカッションでは、以下の5つの“問い“について、ディスカッションしました。

1.”CRM戦略”の最近って?
2.”データ活用”の現状って?
3.”目標値(KPI)”の設定って?
4.”データサイエンティスト”の存在って?
5.”マーケター”が担う役割とは?

 その中でも、特に参加者からの関心が高かったのは、「データドリブンなマーケティングを推進する立場、つまり本セミナーの参加者であるマーケターや担う役割がこれからどのように変化していくのか?」という点でした。

 大畠氏からは、「われわれマーケターはもっと先を見据えて業務を行わなくてはならない。われわれの部門の将来の目標は、現時点のマーケティング課題は当たり前のように解決され、今の仕事がなくなる姿が究極のゴールだと思っている。」とお話しいただきました。
 これに対し、マーケターを支援する立場である津下本氏、岸田からは、「大畠さんの話にもあったとおり、顧客にどのような体験を提供し感動してもらうか、その結果をいかに売上の向上につなげるかということが本来のマーケターの仕事だと思う。ところが、世の中に各種マーケティングツールが散在していることもあり、それらのツールの習得に追われてしまってはいないか。マーケターの皆さんには、本来の業務に集中してもらえるよう、われわれは、さらに皆さんが実現したいマーケティング施策が自動化できるツールやより便利になる環境をサービスとして提供していくので、ぜひうまく“活用”していただきたい。」と力説しました。

 今回、それぞれの立場から三者三様の意見が交わされ、終了後、パネラーに対して会場からも多数のご質問をいただくなど、非常に有意義なディスカッションとなりました。

まとめ

 イベント終了後は、講師と参加者の皆さん、参加者同士の名刺交換なども積極的に行われ、さまざまな意見交換がなされました。皆さんにこのような場を提供できたことは、主催者側としても非常に嬉しく思います。今後もぜひ、各種セミナーを開催していきたいと思いますので、皆さまにご参加いただければ幸いです。
 また、当社へのご質問などございましたら、ぜひ以下よりお気軽にご相談ください。
www.brainpad.co.jp
http://www.rtoaster.comwww.rtoaster.com