服部 晃平 データエンジニアリングユニット所属 データプラットフォームエンジニア 2021年、早稲田大学大学院 基幹理工学研究科 電子物理システム学専攻修了後、ブレインパッドに入社。博士(工学)。3か月間の新入社員研修終了後、大型複合商業施設や海外通信事業者向けのデータ活用基盤構築のプロジェクトに従事。開発リーダーやプロジェクトマネジャーの経験を積みながら、現在は、チャットボット開発の案件にも従事中。 |
入社後配属から一貫して、日本で有数の大型複合商業施設案件を担当
──データプラットフォームエンジニアとは、そもそもどのような仕事をする職種なのでしょうか?
服部
データ活用の土台となるデータ基盤を中心として、提案、実現に向けた開発を担当する職種です。
具体的には、
1.データ活用施策を見据えたクラウドベースのデータ基盤の提案、計画策定、要件定義、設計、実装、テスト、運用
2.BIなどを用いたデータの可視化やデータ分析支援 などを担当します。
データ基盤やBIなど慣れない言葉だと思いますが、データ基盤の仕組みや専門用語の意味を、少し紹介します。この内容を理解した上で、記事を読んでもらうと、より理解が深まると思います!
■データ基盤とは?
データ基盤とは、多種多様なデータを一元的に管理し、分析・活用するためのシステムのことを指します。
■BI(ビジネス・インテリジェンス)ツールとは
あらゆるデータをビジュアル化し、データの持つメッセージを伝えるツールです。
──専門用語については、上記図と解説で理解が深まりそうですね。それでは、服部さんの、新卒入社後から現在までの仕事内容を教えてください。
服部
現在、新卒入社4年目で、これまで大型複合商業施設のプロジェクトを中心に担当してきました。1〜2年目では、データ基盤を設計・構築・運用するデータプラットフォームエンジニアとしての技術を学びました。メインで取り組んだのは、大型複合商業施設で提供しているデータ基盤に対して、さまざまなデータを抽出・加工・取り込みを行うETL処理に関する技術です。また、情報システムなどに記録・蓄積されたデータから、各部門が持つ目的に応じて必要なデータを抽出の上、適切に整形されたデータマートを作るといった、記録・蓄積されたデータのその後の活用についても学びました。
2年目では、データを収集・分析し、迅速な意思決定を支援するBIツールの導入に関する業務に携わりました。BIツールに関する知識全般を学べた点と、保守担当として継続的にクライアントと接することで、コミュニケーション力を向上させられた点は、良い経験でした。
──技術とコミュニケーションを2年目で学んだということですね。3年目はどうでしたか?
服部
3年目では、データ基盤の大規模改修に開発リーダー相当のポジションとして関わりました。改修に関する要件整理では、必要に応じてクライアントとのディスカッションに参加してプロジェクトマネジャーをサポートしつつ、その後の開発フェーズでの実務にも関わっています。システムリプレイスに伴うプログラムの追加・改修やテストの設計、リリース手順の取りまとめといった、作業全般のたたき台を作るところがメインでした。マネジメント面も意識し、他のメンバーとうまく協力しつつ進めていきましたね。こうして見ると、同一案件に継続的に関わってきたこともあり、システムリプレイスに関するプロジェクトが全体を通して多かったです。
なお、上記案件の前後では、別のプロジェクトにも参加しています。たとえば、1年目の秋には、大手商社の海外法人様向けのデータ基盤新規構築のプロジェクトに参加しました。先輩社員の方々の働き方を近くで見て学びつつ、ETL処理まわりの開発や議事録作成などを担当していました。
入社4年目でプロジェクトマネジャーへ
服部
3年目の終わりからは、新規プロジェクトのプロジェクトマネジャーになりました。アンケート結果のレポーティングの工程を、自動化するプロジェクトでした。ここで、社外の顧客に対するコミュニケーションや顧客折衝のスキルを高めることができました。
──3年目の終わりからプロジェクトマネジャーを務めるのは、かなり早いですよね。プロジェクトマネジャーに就任した背景について伺ってもよろしいでしょうか?
服部
3年間、さまざまな開発の経験を積む中で、新たなチャレンジや成長の機会を求めたいという気持ちが芽生えてきました。トレンドで切り替わっていく新しい技術を把握しつつも、大学で身に着けた普遍的な能力(論理的思考力、説明力)を活かしやすい仕事をしてみたいという気持ちになりました。そんな中で、配属時から関わってきた大型複合商業施設案件内で、新規開発の案件がちょうど立ち上がろうとしていたため、プロジェクトマネジャーとして、飛び込ませてもらいました。
──プロジェクトマネジャーとして、チャレンジングだった点とやりがいを感じた点について、お聞きできますか?
服部
チャレンジングだった点でいうと、社内向けの部分では、メンバーへの作業割り当てに苦労しました。プロジェクトにアサインされていたメンバーは若手社員が中心だったため、メンバー自体も初めて扱う技術が多くありました。各自が持っているスキルを考慮してタスクを割り振れるように努めましたが、それでも開発終盤はバタバタしていた記憶があります。上司がよく仰っていた「プロジェクトマネジャーは手を動かしてはだめだよ」という言葉の意味をよく実感できました。
対外的な部分では、クライアントとのコミュニケーションが難しかったです。ウォーターフォール開発だったため、要件を初期の段階で固めたうえで、開発とテストを進めていくことが重要でした。後になって、ここまで最初に決めておいたほうが良かったという項目が出てきたので、実際は反省点も多いです。開発していく中で仕様変更や手戻りは起こり得るため、そういった事態も想定してプロジェクトを進めていくことが大変でした。
一方で、クライアントが、普段どのようにデータを見ているのか、現状のデータにどんな問題点があると感じているか、といった点を深掘って聞ける機会があったことはやりがいにつながりました。
クライアントコミュニケーションでは、大学での研究経験が大いに役立っています。例えば、クライアントの理解が深まるようにどう伝えるべきかを考えることは、論文や研究発表のプレゼン資料の構成を練る際の思考と似ており、そこでの経験が活きています。
──ブレインパッドの社員には「学生時代の学びの機会を十分活用してほしい」と伝える方が多いと思います。しかし、実際どう繋がっているのかまでピンときていない人も多いと思うので、服部さんが実務にどう活かせたのかは参考になると感じました。
服部
私もよく「学生時代に何をしたらいいですか?」という質問をいただくのですが、研究に精一杯取り組むことで得られたスキルは、きっと仕事でも活きると思います。
研究を頑張るというのは、具体的には、実験やシミュレーションなどを計画し実施することだけでなく、得られた結果が意味することや周囲に与える影響について考え、他の人が理解し納得できる形で研究内容を再構成することを含みます。IntroductionやResults&Discussionに相当するタスクを自力で考えぬくということですね。研究内容を再構成するトレーニングは、仕事においても、相手(社内外問わず)の考えを理解することや、相手を説得できるようなロジックを組み立てることに活かせます。ですので、学会発表や論文執筆などに積極的に取り組むことが大切だと感じます。
──なるほど、かなり解像度が上がりました。現在の仕事内容についても、教えていただけますか?
服部
4年目となる現在では、LLMの技術を活用したチャットボットを新規開発するプロジェクトに参加しています。アプリ開発の経験が浅かったため、他の開発メンバーの方々にいろいろと教えてもらいながら取り組んでます。主には、チャットボットに来た質問をLLMを使って上手く解釈して、適切な回答を返す機能のチューニングであったり、その機能の一部分の開発を担当しています。また、回答材料となるデータの整備や継続的運用の手順の取りまとめにも取り組んでいます。機械学習エンジニアでよく使われるモダンなアプリ開発の手法や、生成AIを扱うアプリ開発の知識を学ぶことができています。
──通常、データプラットフォームエンジニアだとLLMには触れにくいと思います。服部さんが触れたいとリクエストしていたのでしょうか?
服部
希望は伝えていました。大学時代に実神経細胞を扱った脳の研究に取り組んでおり、「生モノの脳(神経細胞たち)を沢山見てきたので、今度は逆にAI系の技術を使っているところで働きたい」という気持ちがあったため、ブレインパッドに入社しました。最初はデータサイエンティストで面接を受けていましたが、大学での研究やそこでの経験を踏まえると、データプラットフォームエンジニアの方が向いていると面接官から勧められました。自分でもそう感じ、データプラットフォームエンジニアで面接を受け直して入社しました。ただ、入社後、AI関連の技術に触れたいという思いは消えず、「機会があったら飛び込みたい」と上司にアピールはしていました。
──データプラットフォームエンジニアとして順当に学びつつ、いろいろな知識を広められる環境があるということですね。
服部
ブレインパッドは、個人のキャリアに真摯に向き合ってくれる方が多いと感じています。私の場合は、プロジェクトマネジャーを担当したプロジェクトが一段落ついたあとに機械学習系の業務もやってみようかという話になりました。現在の業務は初めての内容が多いですが、キャッチアップしながら行っています。
技術とマネジメントの両立、そして産学連携に挑戦したい
──データプラットフォームエンジニアとして、今後のキャリアプランについてお聞きしてもよろしいでしょうか?
服部
直近では、技術とマネジメントの両方に挑戦したいです。技術に関しては、機械学習領域の知見を深めていきたいと思っています。データプラットフォームエンジニアと、機械学習技術を扱う他の職種とのギャップを埋められるような人材になりたいという気持ちがあるためです。
マネジメント面では、より上流の工程から関わりたいと感じています。今回、プロジェクトマネジャーとして私が経験したプロジェクトは、「プロジェクトを持って来た」という点までは関わっていません。他の運用メンバーや営業がフロントに立って、プロジェクトの方向性がある程度定まった段階から私にバトンタッチしています。今後は、構想策定などから関わっていきたいです。
将来的には、産学連携の体制強化に取り組みたいと考えています。AI技術の発展による自然科学研究の加速にともなって、学術的な知見を迅速に社会応用する重要性が一層高まると思うからです。コンピュータの歴史と同じように今後、クラウドサービスの豊富な計算資源を活用した中央集権的なシステムだけでなく、エッジデバイスのような限られたリソース環境から優れたアウトプットを生み出せる分散的なシステムも重要になると思っています。そんな時に、例えば、ちょっとの食事だけでこれだけ複雑で多様なタスクをこなす生物の脳の仕組みにならったAIのモデルを、素早くデータ活用にも適用できる体制があれば良いなと考えています。
これまでの話を振り返るとキャリアとしては比較的綺麗に見えるかもしれませんが、入社時からここまで考えられていたわけではありません。それぞれのプロジェクト内で、がむしゃらに動いた結果だと思っています。
──服部さんの頑張りや今後の展望が聞けて、参考になりました。本日はありがとうございました。
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www.brainpad.co.jp
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