ソリューション開発部の社員インタビューをお届けした第1回から第4回に続き、第5回目となる今回は、アナリティクスエンジニアリング部(通称:AE部)のインタビューをお送りします!
AE部は、DE本部内で「分析モデルの仕組み化・機械学習システムの構築と実装」を担う部署の一つです(※下図参照)。
分析PoCから実務展開をミッションとする当部にて部長を務める首藤さんとPMとして活躍する安田さんに部署のこと、プロジェクトや仕事内容のこと等、いろいろ聞いてみました!
こんにちは。人事部の島﨑です。
私はよくブレインパッドのことを「データ活用の社会実装が得意な会社です」と紹介しますが、DE本部が担っている分析モデルの仕組み化・機械学習システムの実装はブレインパッドらしい特徴のあるサービス内容だと思います。
機械学習システムや数理最適化システム等、エンジニアの皆さんは少なからず興味のある分野だと思いますが、”アナリティクスエンジニア”というキーワードはあまり聞いたことがないかもしれません。しかし、世の中では「PoC止まり」と言われるプロジェクトが多い中で、AE部では、プロジェクトの約半数をPoCフェーズから実務展開できており、正に実ビジネスに活用されるシステム実装を担っている部署と言えると思います。
今回は、そんなAE部の謎を解明し(笑)、皆さんに分かりやすくご紹介します。
ーー本日はよろしくお願いいたします。やっとお二人にインタビューすることが出来て嬉しいです!今日はいろいろ教えてください。
首藤&安田:よろしくお願いします。
ブレインパッドのAE部
ーーまずはAE部について教えてください。
首藤:はい。AE部は、アナリティクスエンジニアリング部の略称で、モデルの仕組み化に向けた分析PoCから実地検証、本番開発までプロジェクトを主導する組織です。
AE部ができたのは約2年前ですが、それ以前にデータサイエンティストの組織に所属していたエンジニア部隊が前身となっており、エンジニアの専門部隊としてDE本部ができた後に、部署として新設されました。
ーー比較的新しい部署なんですね。
首藤:私がブレインパッドに入社したのは約7年前になりますが、当時私が関わったプロジェクトの9割8分がPoCで終わるプロジェクトでした。所謂「実データを使って●●なモデルができました。××な知見が得られたので、このような改善が見込まれます」といったレポートを出して終了するようなものでした。
当時は私自身もシステム開発というより、ひたすらデータ加工等のサポートをしていました(笑)。システム化する案件が少しずつ増えたのが、5年前ぐらいからだったと思います。
徐々にシステム化の案件が増えたこと、一方でPoCで終わる案件も依然として多かったことから、「顧客とデータサイエンティスト、エンジニアの3者間を繋ぎ、分析PoC後の業務利用体験を増やす」という明確な役割を持ち、より専門性を持って機能することを期待されたのが、AE部設立の背景になっています。
ーー今はどのようなプロジェクトが多いのでしょうか。
首藤:現在はシステム化前提のプロジェクトが明らかに増えたと思います。私が入社した時には、”AIは良いらしい”といった漠然としたイメージを持っているお客さまが多かった印象ですが、今では明確に”AIを活用したい、そのためにPoCから始めたい”といった相談が増えたと思います。お客さまの取り組む姿勢が大きく変わったことを実感していますね。
AE部はそうしたお客さまに対してシステム化の最初の一歩を支援しています。
安田:AE部は、早めにお客さまに利用イメージを持ってもらうために、ツール等も使いながらプロトタイプの開発支援をします。
ガチガチの開発前提で進めると、開発費用がハードルになってしまったり、分析の結果に合わせてシステムを変えたい場合に柔軟に対応ができない可能性があるため、追加開発や改修を前提とした開発スタイルで進めることが多いです。まずは小さいものを作って、触ってもらいながら、必要な機能をユーザーと一緒に作り上げていくイメージですね。実際に導入する方法も一緒に模索します。
ーーデータサイエンティストとエンジニアは、どのような関わりになるのでしょうか。
首藤:まず、私達がプロジェクトで関わるデータサイエンティストは、社内外どちらのケースもあります。分析フェーズから当社が支援している場合は、社内のデータサイエンティストと一緒に分析PoCからプロジェクトに参画します。一方で、顧客側にデータサイエンティストがいる場合は、内製化の支援をしたり、分析環境の構築やシステム周りの支援を行います。ユーザーの業務を理解した上で、(エンジニアリングの)リテラシーに合わせながら伴走していくので、データサイエンティストとの距離感はとても近いと思います。
(データサイエンティストとアナリティクスエンジニアの役割イメージ)
※「アナリティクスエンジニアが、DX実現に向けて考えていること/安田 国裕 執筆」より抜粋
https://www.brainpad.co.jp/doors/knowledge/01_analytics_engineer/
安田:昨今、お客さま企業内にDX推進をミッションとする組織が増えているので、後者のケースは増えていくかもしれませんね。分析PoCからプロジェクトには伴走しつつ、分析環境の構築やデータガバナンス、データ管理の方法等、システム化に繋げる部分からが私たちの主な登場シーンになると思います。実際に、私が参画している大手小売業のプロジェクトでも、お客さまからデータガバナンスを効かせるための環境を一緒に考えてほしいといった要望がありました。
首藤:あと関わり方の特徴で言うと、システムの運用フェーズでも、データサイエンティストを巻き込んでいることが多いと思います。従来のシステム運用保守とは違い、分析システムでは、MLOpsやDevOpsの考えのもと、運用フェーズでシステムを”パワーアップさせる”といった考えを持つことができます。モデル・システム共に、運用の中で出た課題や要望を汲み取りながら、改善もしくは進化させる方がより良いものが出来ると私たち自身も思っていますし、分析システムの実装において重要な工程になるので、データサイエンティストとエンジニアが協働することの重要性をもっと啓蒙していかないといけないと思っています。
分析システム”実装”のポイント
ーーなるほど。その他にも実装に向けてお二人が重要だと感じるものはありますか?
安田:AIを取り入れることで、業務効率だけでなく、新しいビジネスに繋げることができるといった点がもっとフォーカスされると良いと思います。それこそDXの文脈で、新しいビジネス活用への期待も込めて投資する流れになれば、分析システムはより広がりを持つと思います。
首藤:私もそう思います。AIに対する認識や取り組み姿勢が変わったことは確かではありますが、納得できるモデルができないとなかなか開発に進まないのは昔と変わらない傾向だと感じています。例えば、販売業で扱っている100商品のうち、売れ筋10商品で分析PoCを実施して、仮に良い結果が出た場合、10商品のデータを業務で使いましょうではなく、残りの90商品で良い結果が出て初めて、システム化に進む話になる。上位10商品だけでも業務に適用できたら効果は高いはずなのに、そうした話にはなりません。
安田:精度的な問題もありますよね。仮に精度の目標が90%で結果が70-80%だった場合もシステム化しないという判断になりがちだと思います。完全な自動化を目指さなくても、これまで人力で行っていた労力を減らすことができれば、効果があるのではと個人的には思いますが、実際はそうならない。”人のレベルを超えないとシステム化しない”といった反応がよくあります。分析範囲や精度が100%に近いものではなくても、まずは導入してその後に改善していく姿勢や文化が、今以上に浸透していくことも重要だと思います。
首藤:あとは失敗を恐れずとにかく試せるようになると良いな、と思います。
例えば、MLOpsの発信を積極的に行っているなど、上手くいっているように見えるIT企業はありますが、それは成功した数と同じ数だけ失敗を重ねているからだと私は思います。
より良いもの、先進的な取り組みを成功に導くには、成功事例と同じだけの失敗事例が必要です。もしくは失敗したとしてもリカバリーができるように、いろいろ試せる土台や環境ができると良いと思っています。
ーー実ビジネスへの活用までには、様々なハードルがあるんですね。
AE部では、これまで多くの分析システムを実務展開まで主導していると思うのですが、何がポイントになるのでしょうか。
安田:やはりプロジェクトの早い段階で、実際に活用するイメージを少しでも持ってもらうことが重要だと思います。私自身もいろいろなプロジェクトを経験していますが、早い段階でプロトタイプを提供することは効果的だと思いますし、実感値としてもビジネスとしても多方面へ広がる感じはあります。プロトタイプの開発には、AutoMLやモデリングツール等も使うのですが、分析システムやデータ関連はクラウドはもちろん、OSS等は、技術進化が激しいので、日々技術研鑽は欠かせません。
首藤:AE部としても、いろいろ試せる環境をもっとお客さまに提供したいと考えているので、まず土台となる必勝パターンを構築したいと思っています。お客さまから相談をもらった初期段階でも、様々な機能を備えたデモシステムを提供できるようになるようなイメージです。「デフォルトでもここまでできますよ」と言える状態を作りたいですね。
ゆくゆくは、よりユーザーに伝わりやすく、かつライトに導入できる分析環境やシステムをあらゆるパターンで作りたいと思っています。安田も言っていましたが、そのためには今以上にクラウドを使いこなす部署にしていこうと考えています。
アナリティクスエンジニアの魅力
ーー新しい技術を取り入れながら、どんどん進化していく部署なんですね。
お二人から見たAE部の魅力も教えていただけますでしょうか。
安田:私は前職で機械学習やクラウド、コンテナ等の技術調査をして、社内外のプロジェクトに対して支援を行っていたのですが、機械学習に特化して開発をがっつりやりたいと思い、ブレインパッドに入社しました。
前職でも機械学習システムはPoCからその先の開発になかなか進まないことが多かったので、分析システム関連の開発がやりたい!といった人にはとても良い環境だと思います。
首藤:私は、お客さまの業務の変わりっぷりを目の当たりにできることが、分析システムの素晴らしい点だと思っています。私がブレインパッドに入社した当時は、システム化まで辿りつくプロジェクトはほとんどなかったですし、プロトタイプよりももっと手前の部分しかできていなかったですが、人手で頑張っていた部分に対して時間短縮ができたり、さくっと答えが出たり、更にモデルの仕組み化を通して、新しい発想が出てくる等、お客さまのビジネスや業務にポジティブな変化をもたらすことができる喜びは、当時も今も変わりません。
安田:お客さまと一緒に新しいサービスを作り上げる感覚も面白いと思います。
プロトタイプからスタートして新しい機能を作っていく開発スタイルもそうですが、技術的にも顧客に拘りがない限り、クラウド選定はPMの判断で進めることが出来ますし、イチからアーキテクチャ設計を行うので、データ指向アプリケーションデザインに興味がある人がいれば、ぜひお話したいなと思います。
首藤:そうですね。ありがたいことに引き合いはどんどん増えているので、今回のブログを通してより多くの人にAE部に興味を持ってもらえたらと思います。実は、AE部には機械学習関連の経験者は多くはなく、クラウドもしくはSIの経験者が大半を占めています。
ブレインパッドは技術習得に対するバックアップは手厚い環境だと思いますし、プロジェクトにアサイン後にいきなり全てをお任せするようなことはありません。早い人でも最低3つはプロジェクトを先輩と一緒に経験してもらって、その後に独り立ちしてもらうイメージでいます。
分析システムに興味がある人はもちろん、クラウドやアーキテクチャ等の技術に興味がある方、もしくはお客さま、データサイエンティストと共にDXを実現することに興味がある方など、同じような想いがある方と是非一緒に働けたらと思います!
ーー本日はありがとうございました!
お話を伺って、アナリティクスエンジニアリング部は、分析システムを”つくる”ことではなく、ユーザーによる”活用”を目指されている点が特に印象的でした。
技術的な難しさはもちろんですが、お客さまとデータサイエンティスト、エンジニアの3者を繋ぎ、社会実装までを主導するAE部を今後も追いかけていきたいと思います!
(分析システム周りは難しい話も多いのですが、人事部の私でも理解できるよう分かりやすくお話をいただき、お二人の説明力の高さに感動しました)
ブレインパッドでは、アナリティクスエンジニアをはじめ、様々な職種を積極的に採用しています。ご興味がある方はお気軽にご連絡ください!
■データエンジニアリング部の紹介資料
https://speakerdeck.com/brainpadpr/brainpad-de-202107ver
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