トランスフォーメーションユニットは、クライアントが自らの業務プロセスにデータ活用を取り入れることのできるよう、仕組みや体制作りを支援するという大きなミッションを持っています。トランスフォーメーションユニットが目指す未来、そしてマーケティングとテクノロジーの両方を武器にクライアントのビジネスを伴走するマーケティングテクノロジストの役割について紹介します。
清水 俊克(しみず としまさ) | 佐藤 洋行(さとう ひろゆき) |
トランスフォーメーションユニット データ活用業務支援サービス リード |
トランスフォーメーションユニット ユニット統括ディレクター |
2015年にブレインパッドに入社し、データ基盤構築や運用・保守、エンハンス業務に従事。データウェアハウス構築後のデータ活用フェーズにおいて、BIツールやCDP、MAツールの導入および運用支援を手掛ける。 購買予測などのプロジェクトも経験があり、データドリブンなマーケティングの強化をサポートしている。 | 九州大学院修了(農学博士)。大学院ではリモートセンシング画像解析を研究。2008年ブレインパッド入社。2014~2017年、株式会社Qubitalデータサイエンス取締役(兼任)。プロジェクトマネジャー、データサイエンティストとして幅広いプロジェクトに携わる。2016~2019年多摩大学経営学部経営情報学科准教授を兼任した後に客員教授に就任。株式会社電通クロスブレイン取締役執行役員(出向)を経て、2023年7月より現職。 |
―最初に、お二人の自己紹介をお願いします。
佐藤
衛星画像データの分析分野で博士号を取得後、新卒でデータサイエンティストとしてブレインパッドに入社しました。その後、営業組織やデータサイエンティスト組織、自社プロダクト開発部門のマネジャーを経験してきました。また、ブレインパッド社内における人材育成サービスの立ち上げや大手インターネット会社との合弁会社のマネジメント、大学講師との兼業といった多岐にわたる経験をしたうえで、現在はトランスフォーメーションユニットの統括をしています。
清水
私は大学卒業後、新卒でITコンサルティングファームに入社し、システムエンジニアとして会計や税務などのシステムをスクラッチで開発、運用する業務を経験しました。会計システムを情報系システムへ連携していたことから、データ活用に興味をもち、2015年にブレインパッドに転職しました。入社後は、データ基盤の構築、運用保守、エンハンスから、意思決定に使用するためのデータ分析・見える化を行うBIツールの導入・活用支援に取り組んできました。また、クライアントの顧客データを統合するCDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)の導入・運用支援、CDPのデータを使って、MA(マーケティング・オートメーション)ツールで顧客コミュニケーションシナリオを構築する業務も行ってきました。現在もデータ基盤構築後のマーケティングにおけるデータ活用支援プロジェクトのリードを担当しています。
ビジネスにつながるデータ活用へ
―トランスフォーメーションユニット全体の業務内容や役割について教えてください。
佐藤
昨今のDXやAIブームによって、データ活用の重要性は、広く認知されていると思いますが、データを扱う環境が整ったものの「実際のビジネスや業務にどう活かせば良いのか」という点で悩んでいるクライアントが多いのが実状です。ブレインパッドとしても、私たちの支援が終了した途端に、クライアントのデータ活用が止まる、何も資産が残らない状況は好ましくないと考えています。この課題に対して、20年近く、さまざまな業種・業態のビジネスへのデータ活用を支援してきたノウハウを活かして、クライアントのビジネスや業務の中でデータが活用できるまでを伴走していく役割、「データ活用の内製化支援のプロフェッショナル集団」になることを目標に日々活動しています。
ー清水さんはどのような活動をされていますか?
清水
佐藤さんの話に関連してお伝えすると、昨今のマーケティング担当者は、戦略の立案から施策の企画・実行まで、すべてのマーケティングプロセスをデータドリブンに遂行することが求められています。
しかし、データドリブンにマーケティングを実行するには、技術的な難しさがあります。データドリブンで実施するとなれば、例えば、自社が狙うべきターゲットを選定する場合にも、顧客に関するデータを収集しなければなりません。その後、収集したデータを分析して顧客像を把握し、メルマガやLINEなどによる施策を検討するという流れになります。その上で、その施策を実現するためのシステムやマーケティングツールを駆使して実行し、評価するためのデータ収集までも行わなければなりません。このように、データドリブンでのマーケティングプロセスを実践するには、技術的なハードルが相当高く、マーケティング担当者単独では、なかなかやりきれません。ですが、なんとかキャッチアップしようともがいているマーケティング担当者が多く、結果として、本来やるべき「戦略を考えること」に集中できていない場合がほとんどではないかと思います。
私たちは、そんなマーケティング担当者に技術的に寄り添い、データドリブンにマーケティングが行えるように伴走する「マーケティングテクノロジスト」として動いています。マーケティングテクノロジストは、先程お伝えしたような技術的なハードルを解消することで、データドリブンなマーケティングを実現し、マーケティング担当者が本来やるべき戦略策定等に集中できるような環境をつくっています。
マーケティングテクノロジストの仕事の醍醐味
―マーケティングテクノロジストとは、どのような役割を担うのですか?
清水
マーケティングとテクノロジーを橋渡しする役割を担います。クライアントのマーケティングプロセスに必要なテクノロジーを整えていくようなイメージでしょうか。具体的には、クライアント社内に入り込み、マーケティング業務全体を理解しながら、利用するツール、データの仕分けや整理を行います。その上で、マーケティング施策の結果を自動的にデータ基盤に取り込めるようにしたり、施策の効果や顧客状況を可視化するダッシュボードを構築したり、MAツール等の施策実行ツールを設定したりと、マーケティング担当者がマーケティング戦略を検討し実行するために必要なテクノロジーをそろえていきます。
マーケティング担当者が自分たちでケイパビリティを持ちたいケースもあり、「自分たちでもデータの集計や可視化を行いたい」「マーケティングツールの設定を覚えたい」「データ基盤の運用を内製化したい」などの要望を受け取るケースもあるため、必要に応じてスキルトランスファーを行うこともあります。
※詳細について、併せてこちらもお読みください。
www.brainpad.co.jp
佐藤
また、マーケティングテクノロジストは、クライアントのビジネスを理解し、かつ、データ活用や技術も理解しているからこそ、マーケティング担当者と、クライアント社内のIT部門やベンダーといったステークホルダーとの橋渡しの役割も担いますよね。
清水
ほとんどの企業では、IT部門やDX部門が、ベンダーに基盤構築を依頼しており、既にデータ基盤が整備されている状態です。マーケティング担当者からは、そういった部門に「顧客のデータ分析を実施したいからデータが欲しい」と依頼し、データを抽出してもらい、データを分析するという流れになるかと思います。
ですが、マーケティング担当者とIT・DX部門では、知識のベースやバックボーンが異なるため、論点にズレが生じてしまうことが多々あると感じています。そのため、コミュニケーションが噛み合わない、データがほしいと言われても、意図や背景を汲み取れないという状態もしばしば見受けられます。そこで、両方を把握しているマーケティングテクノロジストが間に入り、橋渡しを行っています。上手く間に立つことで、IT部門からテクノロジーに関連する会話を巻き取りつつ、マーケティング担当者がやりたいことを理解し、双方の意図を汲み取りながら支援を進めていきます。
佐藤
マーケティングとエンジニアリングの両方ができる我々だからこそ、業務的な支援はもちろん組織内の橋渡しをすることもできていますよね。
―仕事のやりがいや魅力を教えてもらえますか?
佐藤
私は、「テクノロジーを使いこなすことに苦労するあまり、顧客理解やコミュニケーションを考える時間が奪われている」ことが社会課題の1つだと思っています。テクノロジー活用が進んでいる昨今では、新しい技術やツールが毎日のように出ては消えていきます。それだけ変化も早く膨大なテクノロジーに直面すると、本来やるべきこと以上に、それらをキャッチアップすること、使いこなすことで手一杯になってしまう。それによって、クライアントの素晴らしいサービスや商品がお客様に適切に届かないということは機会損失だと思いますし、当然マーケティング担当者もそんなことはしたくないはずです。
トランスフォーメーションユニット、そして、マーケティングテクノロジストは、この社会課題を解消していく重要な役割を担います。仕事を通じて、社会課題の解決に携わっていける点は、やりがいを感じます。
清水
クライアントとともに検討したマーケティング施策をテクノロジーで実装し、世の中に打ち出し、顧客体験として形になることがとても楽しいです。例えば、LINEを使った施策になりますが、リアルなイベント会場でQRコードを読み込んで会場にチェックインしてもらい、会場内にあるさまざまなQRコードを読み込むと、応対メッセージが発話されたり、イベント終了後もアフターフォローのメッセージが届いたりと、施策が実現した状態を目の当たりにすると、達成感があります。クライアントと近い距離で仕事をしているため、顧客のビジネスや業務にダイレクトに貢献できていることがハッキリと見える点は魅力だと感じます。
技術とコミュニケーションの両面を武器にデータ活用の内製化に貢献
ーマーケティングテクノロジストは、どのような志向性の方におすすめでしょうか?
清水
エンジニアで、直接ビジネスに貢献できる仕事をしたいと思っている方には向いているかもしれません。エンジニアの方からよく聞く悩みの1つに、開発したデータ基盤がどうやって使われているのか、システムの価値が発揮されているのか、といった「自分が作ったものがどう活用されているのかが見えない」という声があります。
トランスフォーメーションユニットでは、これまでお話ししてきた通り、テクノロジーやデータに基づいて、モノづくり、戦略づくり、ビジネス貢献に関わることが可能です。「作るだけで終わりではなく、クライアントのビジネスの中でデータが活用されていく過程を見たい」そんな方には、ぜひ検討してほしい仕事ですね。
佐藤
そうですよね。自分が作ったシステムが価値を発揮するまでを見届けたい、けれど、今の仕事だと難しいと課題を感じている方にはすごくいいのかなと。
清水
クライアントのことが好きだからこそ、技術的なことがわからず、地に足がつかない提案になってしまっているような感覚に悩まれているコンサルタントの方にも向いていると感じます。マーケティングテクノロジストは、技術を理解した上で、いろいろな人とコミュニケーションを取りながら物事を整理し、具体的な形に落とし込んでいきます。コミュニケーションが好きで、具体的な物を作っていきたい人にはぴったりの仕事ではないかと思いますね。
―マーケティングテクノロジストの今後について教えてください。
佐藤
マーケティング周りのテクノロジーは、日進月歩でこれからも進化し続けます。その中で、マーケティングに特化したテクノロジーを把握し、クライアントのデータ活用に伴走するマーケティングテクノロジストは、今後より必要とされる職種です。少なくとも、この先5年間はこの領域はさらに伸びていく、つまり、課題が顕在化していくと思います。トランスフォーメーションユニットとしても、社会課題であるこの課題を解決できるように、メンバーを募集し拡大したいと思っています。
また、社会課題を解決するという視点では、ブレインパッドが日本における「データサイエンティスト」という言葉の普及に邁進し、一般社団法人データサイエンティスト協会を立ち上げ、定着させられたように、日本において「マーケティングテクノロジスト」という言葉が認知されている状態を目指していきたいです。
清水
佐藤さんと同じ感覚です。現在、マーケティングテクノロジストはおろか、マーケティングとテクノロジーのギャップが、社会課題としても認識されていない段階だと思います。そもそもの課題自体の啓蒙活動を行い、まずは皆さんに知ってもらうことが大切だと思っています。このいまだ認識さえされていない社会課題を解決し、自分たちが未来を切り開く先駆者だという意識で、マーケティングテクノロジストとして動いていきたいと考えています。そこに面白さを感じる方は、ぜひ一度、ブレインパッド、トランスフォーメーションユニットの門を叩いてほしいです。
ー本日はありがとうございました。
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www.brainpad.co.jp
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