IoT時代に求められるビッグデータ活用をテーマに、ソフトバンク社員向けに講演

こんにちは、代表取締役会長の草野です。
随分と久しぶりにブログという形で文章を書くことになりました。これからポツポツと定期的に発信していけたらと思っています。

さて、私は、社長を交代した2015年7月以降、当社の対外的なコミュニケーションや一般社団法人データサイエンティスト協会の代表理事としての業界を盛り上げるための活動により時間を割くようになっているのですが、そんな中でもとみに最近、いわゆる大企業の社内向けの講演に呼ばれる機会が増えています。

「ビッグデータ」という言葉が使われるようになってから7年くらいが経過していますが、ここに来てようやく、社内の一部の人が議論するものではなく、広く誰もが知って考えるべきテーマとして取り上げられるようになった証左なのかな、と個人的にこの流れを捉えています。

つい先日も、ソフトバンクに、社内向けの教育の一環として講演する機会をいただきました。ソフトバンクは、以前より「統計」を「ビジネスでデータを扱う上での必須のリテラシー」として据えられていて、統計にまつわるさまざまなe-Learningのコンテンツを社員向けに提供されているそうなのですが、そのような学習の先に目指すべき学びの目標になるような話を、という依頼をいただき学習の動機づけになればとお話してきました。


まず、お話した内容として、当社の事例やデータの大小にはこだわらず、私が知っている世の中の面白くて代表的なデータ活用の事例を失敗例も含めて紹介をしました。失敗例も含めたのは、分析プロジェクトが必ずしも成功するものではないこと、その失敗にはデータに由来するもの、分析作業自体に由来するもの、分析結果の適応先の間違いや、施策までさまざまあり、真に分析を活かし成功確率を高めるには、それら全てを事前に最大限考慮し、調整を行う必要性があることをお伝えしたかったためです。

その後、さまざまな分析の中でも、当社が実際に依頼を受けて価値貢献できることが多い代表的な分析(予測、最適化、時系列等)をご紹介しました。これは、やってみるまで正確には効果が見積もりづらい分析プロジェクトにおいて、打率が高く、優先的に学ぶ価値があるものを知っていただく目的でした。

ディープラーニングや強化学習などにも触れましたが、これらは今まさにフロンティアで適応先がハマれば大きな価値を出せるのですが、初学者が狙うべきは、まず今あるデータとビジネスで価値を出すところから経験を積み上げていくのがよい、という考えをお伝えしました。

その上で、最後にIoT時代に求められるデータサイエンティストの役割として、リアルの世界の任意の部分をデータの世界に取り込めるこれからの時代、どこのデータを積極的にコストをかけて集め、どんな分析を回して新しい価値や顧客体験を生み出すかを考え創造することが求められているという持論を紹介しました。そして、このロールは、業種業界を問わず、あらゆる業界で今後求められるものであり、AIに奪われることはない仕事なので、安心して身につけて、あらゆる領域で活躍してくださいという期待をお伝えしました。

質疑応答の時間には、「英国の半導体設計大手『ARM』を買収したソフトバンクに、IoT時代に期待するものは何ですか?」などの、私自身も考えるキッカケとなるよい質問をいただきました。回答しながらも、ソフトバンク 孫代表の先を見据えたアクションをもう社員の方々が自分ごと化して考えているところにソフトバンクの凄みを感じていました。

与えられた時間をきちんと消化できるか些か不安もあったのですが、気づいてみればあっという間の90分間でした。

今回の講演は、会場の制約から小さな文字が読めないということで、手持ちの素材がほぼ使えず資料を作り直したため、準備に相当な時間がかかりましたが、その分、自分自身が改めていろいろと考えることができてよい経験になりました。

ソフトバンク 人事部の皆様、貴重な機会をありがとうございました。