こんにちは、ブレインパッド代表取締役会長の草野です。
データ分析会社の代表に加えて、一般社団法人データサイエンティスト協会の代表理事もお引き受けしていることもあり、様々な委員会への参加のご依頼をいただきます。業界の健全な発展に、実務家の立場からの私の発言が貢献できるのであれば、とテーマを選びつつも時間が許す限りはお引き受けさせていただくようにしています。
直近では、経済産業省・総務省により設立されたIoT推進コンソーシアムのデータ流通促進WG(ワーキンググループ)のメンバーとして活動をさせていただいています。IoT推進コンソーシアムは、産官学連携でIoTに関する技術開発や新規ビジネス創出を推進するために活動しており、今年度(2017年3月度)は、毎月開催される委員会に参加させていただきました。委員会でのディスカッションは各種データの権利や保護が課題になることが多く、正直、並み居る弁護士の方々に比して私の貢献は限定的になりがちで、むしろ勉強をさせていただくことの方が多いのが実態です。結果として、通常の業務では得られない幅のある見識を得ることが出来て、非常に有意義だと感じています。
また、データ流通促進WG下にあるカメラ画像利活用SWG(サブワーキンググループ)にも検討委員として参加させていただき、2017年1月に発表された「カメラ画像利活用ガイドブックver1.0」の策定にも関与させていただきました。
そのような中で、この度、新たに大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 統計数理研究所の統計思考院の運営委員会へ参加させていただくことになりました。
■統計思考院とは
統計数理研究所 統計思考院のホームページ
統計思考院は、統計科学、数理工学、機械学習、データマイニングなどの研究者を多数有し、国内の統計数理研究の中核的存在である統計数理研究所が設立・運営し、「統計思考力を備えたT型人材(※)育成による融合研究の推進」を目指す教育・研鑽の場であり、そこで展開されている事業が統計思考力育成事業というわけです。元々、公開講座など、世の中の統計学習を助ける活動をされていた研究所が、その活動をさらに一歩推し進めて2011年より展開されているものです。
統計数理研究所の樋口知之所長とは、データサイエンティスト協会の顧問をお願いしている関係もあり、親しくさせていただいていますが、実は、今回委員をお引き受けしてご説明をいただくまで、統計思考院の活動については、“業界でも質が高くて安価で、それゆえにすぐに満席になることで有名な公開講座を開設されている”くらいにしか認識がありませんでした。
【参考】平成29年度前期に開催される統計数理研究所公開講座
http://www.ism.ac.jp/lectures/kouza.html
東京都立川市にある統計数理研究所の施設
■統計思考院の運営委員としての活動
第一回となった2017年2月21日の委員会では、全10名の委員で構成される運営委員会のうち、私は5名の所外委員の一人として参加してまいりました。参加したところ、所外の委員の方も私以外は大学か研究所に籍を置かれる方であり、唯一実業界での要請を活動に反映するための発言が期待されるという非常に重要な役割をいただていることを改めて、実感いたしました。
今回は、第一回目の委員会ということで、新しく委員長に選任された川崎能典統計思考院長による進行のもと、院の活動を詳細にご説明をいただきました。その中で、私が感じた印象は「非常にもったいない」というものでした。
下記は統計思考院の活動を紹介したページの転記になりますが、正直、統計数理研究所の決して潤沢とは言えないであろう限られたリソースで、ここまで幅のある活動を行われているとは想像だにしませんでした。公開講座は言わずもがなですが、他にも、10日間ぶっ続けの「統計数理ブートキャンプ」と言える夏季大学院(直近では英語で開催)や、若手研究者に滞在型で研修を行い統計力を身につけさせる公募型人材事業、企業とのコラボレーションを図るデータサイエンス・リサーチプラザなどは、特に力の入った企画に感じました。
また、直近では機械学習のコースも提供され、これがあっという間に満席になってしまったとのことで、樋口所長のお言葉を借りれば「民業を圧迫しないように配慮しながら」展開していきたいということでしたが、「そんなことを気になさらず、この素晴らしい活動の果実を一人でも多くの方が享受できるように、より積極的な活動をお願いしたい」という要望を申し上げてきました。
日本は統計学部が存在しない珍しい先進国であり、データ活用が差別化要因となる時代にあって非常に厳しい教育環境であることは疑いがない事実です。その中で、唯一の統計に特化した大学院大学として、統計数理研究所が気概を持ってその重責を果たそうと取り組まれていることに非常に勇気付けられましたし、彼らを孤軍奮闘させず、実業界が歩調を合わせて、国をあげて状況の改善、つまりは統計思考を有した人材の育成にあたる必要を改めて強く感じました。
※T型人材とは、特定の分野を究め、深い専門知識と経験・スキルの蓄積を自らの軸に据え、さらにそれ以外の多様なジャンルについても幅広い知見を併せ持っている人材のこと。
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