ブレインパッドと慶應義塾大学SFCが共同で行う「ビジネスにつながるデータ分析」

こんにちは、広報の辻田です。

 データをビジネスに活かそうとする機運がますます高まる中、データ分析した結果を経営戦略に反映させたり、マーケティングや営業活動に活用する担い手となる、データサイエンス人材の育成が、さまざまな教育機関において取り組まれています。

 ブレインパッドは、この機運が高まる以前から、ビジネス分野でのデータサイエンス人材の育成支援を目的に、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)と共同で、研究プロジェクト「データビジネス創造・ラボ/コンソーシアム」の立ち上げや、学生を対象とした「データビジネス創造コンテスト」の開催、慶應義塾大学の学部生を対象とした寄附講座の開講などを行っています。
 今回は、2013年より開講している寄附講座「データビジネス創造」についてご紹介するとともに、授業を受講した学生の皆さんの声をあわせてご紹介します。

慶應義塾大学と取り組む寄附講座「データビジネス創造」とは

 昨年11月下旬から本年1月中旬にかけて開講された寄附講座では、全7回にわたり「ビジネスにつながるデータ分析」を学生に体験してもらうことに主眼をおき、ブレインパッドのデータサイエンティスト2名の指導のもと、ワークショップ形式で、課題の設定、データ分析、分析結果に基づく施策立案方法などをテーマに授業を実施しました。受講生は、慶應義塾大学総合政策学部・環境情報学部の学生22名です。


▲慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスで行われた寄附講座にて、課題に取り組む学生の様子

 今回の講師は、総務省統計局が開講する「データサイエンス・オンライン講座」などの講師も務める当社アナリティクスサービス本部の今津 義充と当社に入社する前は大手ポータルサイトのマーケティング担当としてデータ分析を行っていた経験を持つ兵藤 誠の2名のデータサイエンティストが担当しました。


▲ビジネス分野でのデータ分析の豊富な経験をもつデータサイエンティストが講師を担当

 授業では、受講生に対して「ID付きPOSデータ(※1)の分析に基づくコンビニエンスストアの売上拡大提案」というお題が与えられ、チームごとに、
 1.課題の発見・仮説の設定
 2.データ分析(データの加工方法や、分析ツールの使用方法のレクチャーを含む)
 3.分析結果に基づく売上向上施策の検討
 4.分析結果のプレゼンテーション
まで、データ分析のプロさながらの一連の分析のプロセスを体験しました。
 また、授業では、実際に分析を行うツールとして、日本マイクロソフト株式会社から、クラウドベースの分析環境として評判の高い「Microsoft Power BI(マイクロソフト パワービーアイ)」、「Microsoft Azure(マイクロソフト アジュール)」が提供され、同社による使用方法のレクチャーも実施されました。

【今回、実際に学生に与えられたテーマ】
「あなたは、ある企業(コンビニエンスストア)のデータサイエンティストです。自社で保有する「ID付きPOSデータ」を分析し、ユーザーの購買行動の特徴をデータより抽出するとともに、必要に応じて外部情報(ニュース、IR情報、市場全体の調査結果、競合の動向など)も交えながら、あなたなりの視点で、売上拡大につながるポイントを定め、具体的なマーケティング施策を立案してください。

 学生たちは、実際のデータサイエンティストが取り組む課題と変わらないお題を与えられて、当初は戸惑っているようでしたが、授業の後半には、「データから仮説を立て、検証し、具体的なアクションを提案するという一連の作業を通じて、データ分析の楽しさと難しさが体感できる!」、「データを分析する経験は非常に貴重、実践的な経験が積める!」といった声が聞かれるようになりました。

クライマックスである最終発表&総括では

 2ヶ月にわたる授業の最終回である1月20日には、受講生計22名が4チームに分かれ、今まで取り組んできた授業の集大成として、「分析結果のプレゼンテーション」を行いました。
 各チームからは、惣菜の量り売りを行う「コンビニデリの展開」施策や、年齢別、時間別の利用確率に基づく「朝キャンペーン」施策など、さまざまな施策が発表されました。実際のアイディアを発表するだけでなく、「コンビニデリ」であれば「どのように鮮度管理を行うのか」といった、施策を展開した際のコンビニエンスストアでのオペレーションまで考慮するなど、レベルの高い発表内容が数多くありました。


▲「コンビニデリの展開」施策の発表(写真上)、「朝キャンペーン」施策の前提となる顧客利用確率の分析結果の発表(写真下)

 講師を務めた当社のデータサイエンティストからは、「より精度の高い分析を行えるデータマート(※2)の作成方法」や「分析結果を『売上向上』というビジネス上のゴールにつなげるためには、さらにどんな視点が必要か?」、「実際に施策をオペレーションレベルに落とし込んだ際に想定されることや、陥りやすいこと」など、実際のビジネスでのデータ分析での経験をもとに、さまざまなアドバイスを行いました。

全7回の授業を終えて、学生&先生からのコメント

 今回の授業を終えて、受講した学生からは、以下のようなコメントが寄せられました。

 「データ分析の細かい手法ではなく、課題や仮説などの組み立て方や、データ分析の進め方、どのような点に注意したらよいかなど、実践的なことを学べたため、今後、就職した後にビジネスにおいても役立つと思いました。」

 「データを実社会で活用するということはどういうことなのかが、授業を通じてよくわかりました。分析のテクニックというよりも、相手を説得する上でのデータ分析に基づく説明のスキルが重要だということがよくわかりました。」

 また、本授業のコーディネーションを行う、慶應義塾大学環境情報学部の植原 啓介准教授からは、「コンビニエンスストアという身近なテーマをもとに、実際のビジネスさながらのデータ分析や施策立案を行う貴重な体験を学生に提供することができました。この経験を活かし、データ分析を駆使して、社会に出てからも世の中を変えていってほしいと思います。今回の授業を行うにあたり、多大なご協力いただいたブレインパッドのデータサイエンティストの講師の皆さんに非常に感謝しています。」とのありがたいコメントをいただきました。


▲本授業のコーディネーションを行う、慶應義塾大学環境情報学部の植原 啓介准教授



 最後に・・・
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(※1)レジなどから収集される販売時点の売上データ情報(POSデータ)に、IDカードなどを活用することで「どのような人が購入したのか」という情報を付与したデータのこと。
(※2)各種データベースから、特定の利用目的にあわせて取り出し構築したデータの部分集合のこと。