「データ分析が教科書通りにいかないからこそ面白い」ー 企業が提供する実ビジネスデータの分析を通じて、ビジネスアイデア創出に挑む! 学生向けデータコンぺティション「Osaka Data Quest(ODQ)」の最優秀・優秀チームに聞くODQの魅力とは?

ブレインパッドと大阪公立大学が共同で企画・運営する学生向けデータ活用コンペティション「Osaka Data Quest(以下:ODQ)」。記念すべき第1回大会ODQ2025には、関西地区を中心に、遠方は福岡県からも学生チームが参加しました。
本記事では、最優秀賞チーム「天然水」と、優秀賞チーム「Eye of the Storm(アイ オブ ザ ストーム)」のメンバーをお招きし、エントリーのきっかけから、企業が提供する生のビジネスデータに四苦八苦したデータ分析の過程、メンタリングを経ての本選発表まで、約4か月にわたる道のりをじっくり振り返っていただきました。
今年も開催予定の第2回大会ODQ2026に向けて、本コンペティションの魅力をお届けできれば幸いです。

※昨年開催の「ODQ2025」の様子はこちら:https://www.omu.ac.jp/info/news/entry-20915.html


新木 菜月 橋本 大和 衣川 凌太 大西 彩理紗 関口 朋宏
ブレインパッド
上席執行役員
CFO(Chief Financial Officer)
ESG 担当 兼 コーポレート担当

ODQの企画・運営メンバーの一人。
神戸大学
国際人間科学部
環境共生学科
2年生
チーム「Eye of the Storm」のメンバー。

ODQ2025では優秀賞を獲得。
神戸大学
国際人間科学部
環境共生学科
2年生
チーム「Eye of the Storm」のメンバー。

ODQ2025では優秀賞を獲得。
福岡大学
商学部
3年生
チーム「天然水」リーダー。

ODQ2025では最優秀賞を獲得。

ブレインパッド
代表取締役社長 CEO

ODQの発起人。


※登場者の所属・学年は取材時点のもの。


新木
チーム「天然水」の大西さんは福岡から、チーム「Eye of the Storm」の衣川さんと橋本さんは兵庫から、はるばる東京までお越しいただきありがとうございます!
第1回大会ODQ2025で見事優勝・準優勝を果たした両チームに、ODQでの試行錯誤や学びについて伺っていきたいと思います。
まずはODQにエントリーしようと思ったきっかけを、教えていただけますか?

大西
私は、長期インターンでお世話になっていた方からODQを紹介していただいたのがきっかけです。ちょうど自分がリーダーという役割を担ってプロジェクトに参加できる場を探していたタイミングだったので、「これだ!」と即決でした。そこからゼミの同期と後輩に声をかけて、5人でチーム「天然水」として参加しました。

衣川
僕たちは大学の学生プロジェクトに参加しているのですが、そこのSlackチャンネルでODQを知りました。もともと二人ともデータサイエンスやデータ分析に興味があったところに、さらに賞金もあるということで、「これはもう出るしかない」と、僕たちも即決でチーム「Eye of the Storm」として参加しました。

新木
「Eye of the Storm」のお二人ともデータサイエンスやデータ活用にもともと興味があったんですね!どのような経緯で興味を持たれたんですか?

衣川
高校生の頃の探究活動でデータサイエンスに触れたのがきっかけです。それ以来ずっとデータサイエンスに興味を持ち続けていて、いくつかコンペにも参加してきましたが、「企業の生のデータを分析できる機会」はこれまで無かったので、ODQのようなデータコンペはとても貴重な機会だと感じていました。

橋本 
僕は大学の授業や独学で多少データサイエンスを勉強していたのですが、本格的にデータ分析に取り組むのは今回が初めてでした。「机で学ぶだけでなく、実践してみたい」という気持ちから、参加を決めました。

Chapter 1. 「教科書と違って思い通りにならない!」参加者が経験した実ビジネスデータの洗礼。

新木
今回のODQ2025では、エイチ・ツー・オー リテイリング株式会社に提供いただいた百貨店やスーパーのPOSデータを匿名化加工してお渡ししました。あえて「データを綺麗にしすぎない」ことにこだわって提供したのですが、皆さんはデータについてどのように感じましたか?

大西
練習用のサンプルデータって、ちょっと触っただけで綺麗なグラフが出るんですけど、ODQのデータは全然そうじゃなかったんです。エラーばかり出てきたり、クラスタリング*をしても綺麗に分かれてくれなかったり、明らかな異常値があったり。「これがリアルなデータなんだ」と実感しました。

※クラスタリングとは、データを似た特徴を持つグループ(クラスター)に自動的に分類する機械学習の手法のこと。

衣川
そもそもデータ量が膨大で自分のパソコンでは読み込めなくて、Google Colab*を使ってなんとかデータを開くところからのスタートでした。僕たちもクラスタリングを行いましたが、やはり教科書のようにはいかなくて。うまくデータを分析するために考えないといけないことだらけでしたが、だからこそ面白かったです。

※Google Colabとは、Googleが提供するブラウザ上で動くPython実行環境のこと。

橋本 
個人的に困ったのは、顧客IDのキーが、スーパーのキーと百貨店のキーときちんと繋がっていなかったことです。どこがどう繋がっているのかを自分たちで洗い出して、IDを振り直す作業に結構な時間を取られました。

新木
みなさんデータの前処理段階から苦労されたということで、まさに狙いどおりで嬉しいです。「社会に出てからも、ぜひデータを活用してほしい」と思っている中で、綺麗にお膳立てされたデータを渡しても意味がないなと考えていました。決して綺麗とは言えないリアルなデータと向き合って、「実際のデータ分析ってこういうものなんだ」と感じながら試行錯誤いただく中で、何かビジネスアイデアにつながるような発見をしてほしかったんです。


Chapter 2. なかなかビジネスアイデアが出せずに焦る中で、「提案施策から逆算してのデータ分析」に切り替えたチーム「天然水」

新木
チーム「天然水」の皆さんは、データ分析をして提案を作りこむ過程でどのような苦労がありましたか?

大西
私たちはTableau*を使ってデータ分析を始めたのですが、最初は基礎集計だけでどんどん時間が過ぎてしまっていました。予選提出期限までの半分以上の時間を費やした段階でアイデアが何もなく、「このままじゃやばい!」とゴールから逆算する方針に切り替えたんです。

※データを視覚的なグラフやダッシュボードに変換するBIツール(ビジネスインテリジェンスツール)のこと。

具体的には、
①自分たちが当事者として施策を考えやすい「若者」をメインターゲットとして先に決めてしまう
②「若者にとってどのような施策が面白いか」を考える
③その施策の根拠をデータから引っ張ってこれないか、データ分析してみる
という順番で提案内容を考えました。

新木
なるほど、でもそうすると、データの分析内容とアイデアをうまく接続させることが、結構難しかったのではないですか?

大西
そこが一番苦労したところで、「この提案とこの分析、本当に繋がっているのかな・・・?」と何度も悩みました。提供データだけでは根拠が不足する部分は、オープンデータや外部のアンケート調査、コンビニの調査データなどを引っ張ってきて補強しました。
私たちは商学部のメンバーでデータ分析が得意な集団というわけではなかったので、もっと分析力があれば、新しい気づきを得られたり、それを起点にした施策を考えられたのではないかと思います。

新木
本選前には一度メンタリングを実施しましたが、その時点でかなりの完成度でしたよね。メンタリングでのフィードバックからどんなことを持ち帰っていただいて、本選まで何をブラッシュアップしましたか?

大西
ビジネスとしての実現可能性を突き詰めることと、ストーリー性のある発表にすることを意識して、提案をブラッシュアップしつつ、何度も発表練習を重ねました。あとは、関口さんから「福岡から来たことをもっと前面に出して、大阪をいじってもいいんじゃない?」と言っていただいたので、その演出は積極的に取り入れることにしました(笑)。

新木
たしかに、本番では大阪を良い感じにいじってましたよね(笑)。ただ、大阪の外からの視点を取り入れられるという強みがある一方で、大阪の土地勘が全くないなかで提案を考えるのは大変だったのではないですか?

大西
「提案を考えるために、大阪のことをもっと知らなくては!」と思って、大阪の統計データを調べたり、実際どんな町なのかどんなデパートなのかをGoogleマップで見たり、とにかく現地を知ろうと試行錯誤していました。それが功を奏したのかなと思います。

新木
結果、地元の大学ではなくて、福岡大学から参加した天然水の皆さんが優勝されたのは、大会としても意外で面白かったです。現地のことはちゃんと調べつつ、そこに大阪の外からの視点がうまく組み合わさったことで、素晴らしい提案として評価されました。


Chapter 3.一度すべてを振り出しに戻した!?現地に足を運ぶことで見えた、「Eye of the Storm」の提案の方向性とは?

新木
「Eye of the Storm」は、プレゼンのメンタリングを実施したときのことがすごく印象に残っているんですよ。一生懸命データ分析した内容をプレゼンしてくれていて、「そろそろビジネスアイデアについての説明に行くのかな?」と思っているうちに、データ分析の話だけで制限時間の7分が来てしまいましたよね。

衣川
正直、その時点では9割の時間をデータ分析に費やしてしまっていて、ビジネスアイデアの提案を練るところまで辿り着けていなかったんです。でもメンタリングの日になってしまったので「とりあえず今までやったことを順番に話そう」と臨んだ結果、データ分析の話だけでプレゼンが終わってしまいました。

新木
そこから、本選ではまるで生まれ変わったかのようなプレゼンで、結果的には準優勝を勝ち取ったわけですが、どんな道のりがあったんですか?

衣川
実は一度、振り出しに戻したんです。

新木
えっ、振り出しに? すごい勇気ですね。

衣川
それまではずっとデータを見ているだけだったので、「自分たちの目で現場を見ないとダメだな」と思って、西宮阪急と高槻阪急に実際に足を運んでみたんです。
そこで思いついたのが、本選で発表した「百貨店内に学生用のコワーキングスペースを作る」というアイデアでした。
振り出しに戻してゼロから考えるのは確かに大変でしたが、ゼロベースで考え直して現地に足を運んでみたからこそ新しい発見があったので、結果的にはよかったと思っています。

新木
現地に行って、どのような発見があったんですか?

衣川
高槻阪急に関しては、周りにベッドタウンが広がっていることは知っていたんです。でも実際に行ってみると駅直結ですごくアクセスが良くて、入っているお店の雰囲気も「いわゆる百貨店ぽくない」ことが分かったんです。
それで「非日常的な場所ではなく、日常的な場所として捉えた方がいいんじゃないか」と視点が変わって、スーパーとのつながりをデータで見てみたり、食料品・専門店関連のデータを深く見るようになりました。

一方で西宮阪急については、最初に高槻阪急と西宮阪急の購買データを比べた時、「なんでこんなに購買分布が違うんだろう」と疑問でした。でも現地に行ってみると「西宮ガーデンズという大型商業施設と隣接していて、そちらで買い物は事足りることが多いから、西宮阪急で買うものが自然と変わってくるんだ」とすぐに腑に落ちて。そこから「じゃあ高槻と西宮の購買分布の違いをもっと見よう」という方針が決まって、データ分析を進められました。

新木
素晴らしいですね。そしてその分析から、本選で発表した「コワーキングスペースの提案」に辿り着くわけですが、どうやって思いついたんですか?

衣川
メンタリングの時に「これは自分たちが本当に行きたいと思える施策か?」と問いかけていただいたのが大きかったです。
学生コンペなので「学生ならではの視点を一番大事にしよう」と話していたタイミングでもあったのですが、自分たちがちょうど困っていたのが「勉強場所」でした。
カフェって長くても3時間くらいで出ないといけない雰囲気があると思うのですが、実際に阪急に足を運んでみると「ここで勉強できたら集中できそうだな」と感じたんです。
「自分たちが本当に欲しいもの」と「自分たちが行きたい場所」を掛け合わせた結果が、コワーキングスペースの提案でした。

新木
「Eye of the Storm」は、本当にいろんな角度からかなりの量のデータ分析をしてくれていて、それが素晴らしかったからこそ準優勝という結果を残せたのだと思います。ODQは「データから目を逸らさずに、分析を通じて何かを掘り出す」ことを大事にしてほしいと思って企画したデータコンペなので、「あれだけ分析できているなら本番までにブラッシュアップできるはずだ」と感じていました。結果、準優勝できたというのは、本当に素晴らしいですね。

両チームとも等身大の発想だからこそ、説得力がありましたよね。背伸びして大人向けの施策を出していたら、評価されなかったのではないでしょうか。


Chapter 4.お互いに「優勝はこのチームだ」と思っていたー本選当日の心境

新木
そして本選当日は、みなさん自身でプレゼンの出来はどうでしたか?

大西
8〜9割は練習通りにできました。何より、チームのみんなが笑顔で発表できたのがよかったです。

衣川
僕たちは2番目の発表だったので、発表を終えた瞬間に「終わったー!」と一気に重圧から解放されました。僕は前半は緊張で手汗が止まらなかったんですけど、橋本くんは本選までにやり切った感が強くて全然緊張していなかったみたいです。

橋本 
時間をかけて2人で準備してきたものを、やっと発表できるという、その嬉しさの方が勝っていましたね。本番も納得できる出来でした。

新木
それは肝が据わっていますね(笑)。結果発表の時はどんな心境でしたか?

衣川
他チームの発表を聞きながら、「どのチームもアイデアがすごくて、施策面では負けているかも」と感じていて、後半に進むほど自信がなくなっていきました。「優秀賞のところで呼ばれなかったら本当にやばい」と思っていたら、プレゼンターの関口さんがこちらに目線をくださって(笑)。「あ、来た」と分かった瞬間、本当に嬉しかったです。

大西
私たちは、実は「Eye of the Storm」が優勝だと思っていたんです。発表にも凄そうな数式が出てきたりしていて、「データ分析でとんでもないことしてるな」と圧倒されていました。でもEye of the Stormが優秀賞で呼ばれたときに「もしかしたら・・・!」って期待が高まりました。

橋本 
僕たちも発表が終わった瞬間、「多分チーム『天然水』が優勝だろうな」と2人で話していました。施策が分かりやすくて、楽しそうで、チームもキラキラしていて、「これには敵わない」と思っていました。



Chapter 5.ODQに参加して得た学びと、学生へのメッセージ

新木
ここまで本選までの道のりを振り返っていただきましたが、改めてODQ2025はどのような経験になりましたか?

大西
実際のビジネスで扱うデータに触れて、第一線で活躍されている方々に審査していただける上に、他大学・他チームの学生と交流できるという機会はなかなかありません。また、リーダーとして参加した経験は自分の中でもすごく大きくて、就活でも自分の強みとして語れる「武器」になっていると感じます。挑戦して本当によかったです。

衣川
僕は実は裏のテーマを持って参加していました。データサイエンスには「データ分析ばかりやっていると、現場の肌感とどんどんズレていってしまう」という課題があるなと思っていて、そのギャップをどうしたら埋められるのかを学びたかったんです。ODQは、まさにギャップの埋め方を学べる場でした。生のビジネスデータを分析できて、メンタリングでビジネス観点のフィードバックもいただけて、本当に貴重で楽しい経験になりました。チームで取り組むという経験ができたのも良かったです。

橋本 
僕は、ODQに参加する以前は本や授業で「勉強したつもり」になっていたということが分かったことが大きな収穫でした。ODQが実際に初めて生のビジネスデータを触る経験でしたが、最初は全然うまくいかなかったです。
「データ分析は背景理解が大事」と勉強のために読んだ本に書いてあったのですが、ODQが終わってからやっとその言葉が腑に落ちました。

新木
みなさん何かしら持ち帰っていただけたようで、運営としてはありがたい限りです。
最後に、次回のODQ2026に向けて、「こういう人にぜひ参加してほしい」というメッセージをお願いできますか?

橋本 
データサイエンスが好きとか、エンジニアになりたいとか、勉強はしてきたけれど実際にデータ分析をやったことがない、そういう方にぜひ参加してほしいです。本に載っている綺麗なデータでは絶対に得られない経験が、ここにはあります。

衣川
僕は、まさに橋本君のように「データサイエンスに興味はあるけれど一歩を踏み出せていない人」に参加してほしいです。
初めてデータ分析に取り組む中で、橋本君がとても苦しそうにしているのを横で見ていたのですが、勉強するだけでは分からないことは絶対にあって、ここで苦しむ価値は必ずあるはずです。企業の生のデータを学生のうちに触れる機会は大学にはない貴重な機会なので、ぜひ挑戦してみてほしいです。

大西
私たちがそうだったように、決してデータ分析が得意でない方でも、なにかビジネスアイデアを提案してみたいと思う人にぜひ参加してほしいです。文系でも、マーケティングの知識を活かして戦うなど勝負は絶対にできるので、「データ分析は苦手だから自分には無理かも」と諦めずに挑戦してみてほしいです。

新木
皆さん熱いメッセージをありがとうございました!
運営としても、学生の皆さんにより多くの学びを持ち帰ってもらえるようなODQ2026にするために、今年も準備を進めています。
関西を問わず、全国の学生のみなさまからの応募をお待ちしております!

ODQ2026の事前募集を開始しております。
テーマ詳細や協賛企業などの詳細情報は、追って6月中旬目途にお知らせ予定です。
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