データの会社なのにKPIがない?共感で人をつなげる「Ignition Radio」が目指すもの

Platinum Data Blog編集長の木原です。

ブレインパッドには、社員が自律的に手を挙げ、新しい取り組みを始めるカルチャーがあります。今回は、そのひとつである社内ラジオ企画「Ignition Radio(イグニッションラジオ)」について、発起人やパーソナリティ、経営陣を交えて行ったインタビュー内容をお届けします。


西村 順(にしむら じゅん) 星田 梨瑚(ほしだ りこ) 甲斐田 将(かいだ まさし) 王 萌子(おう もえこ)
副社長執行役員COO。本企画の強力なバックアップ役。「外にでよう」の提唱者。 アナリティクスコンサルティングユニット所属。本企画のメインパーソナリティ。 アナリティクスコンサルティングユニット所属。本企画の発起人の一人。 人事・理念浸透担当。本企画の発起人の一人。

※肩書・所属はインタビュー実施時のものです。
カメラマン 新藤 紘之介(しんどう こうのすけ)
2025年新卒 開志専門職大学 情報学部 情報学科 卒業/株式会社ブレインパッド カスタマーサクセス

Ignition Radioが始まったきっかけ ー 「人事施策にしたくない」 草の根から生まれたラジオの原点

木原
まずは、Ignition Radioがどのようにして生まれたのか、そのきっかけについて教えてください。


もともとは、2023年から行っている「理念浸透ワークショップ」がベースにあります。第1弾、第2弾とワークショップを通じて理念浸透を図ってきました。 第2弾では「皆さんに理念をもっと身近に考えてもらうきっかけ作り」をテーマにしていたのですが、私と協力者の甲斐田さんの間で「やっぱり期間が短いし、なかなか難しいよね」という話になりました。「理念をどうやって浸透させていくのか」をあらためて考えた時に、そもそも理念の活用方法を知らないのではとふと思ったんです。 そこで、社外のさまざまな方々の話を聞くことが、ヒントになったり、社員が各自で理念を解釈して浸透させていくアイデアが生まれたりするきっかけになるんじゃないかと考えました。

甲斐田
加えて言うと、もう少しボトムアップで、草の根活動的にラフにやっていきたいという思いがありました。「理念」という言葉はどうしても堅苦しい印象を持たれがちです。だからこそ、そういった堅いテーマではなく「面白いラジオ」のような感覚から入りたかったんです。 自分の働き方や人生観がいつの間にか会社の理念と結びついているような、そんな自然な時間を過ごせるアプローチとして「ラジオ」が良いのではと考えました。


この企画を全社的な提案の場である「D会議(これDoすか?会議)」に出したことには理由があります。それは「人事施策だと思われたくなかったから」です。 人事である私と理念浸透ワークショップのメンバーである甲斐田さんが主導すると、どうしても周囲からは「人事施策の一環」として見られがちですが、それは先ほどの甲斐田さんからお話しいただいた意図とずれてしまいます。あくまで「社内の有志プロジェクト」として、自由気ままにカジュアルに進めたくて、D会議に出して、ラフにやることを全面に出したかったんです。ただ、社外の人も招くとなると協力してくれる後ろ盾が必要だと思い、D会議に出す前に西村さんにも個別に相談をしました。

西村
ちょうど会社としても新経営体制になってから1年が経ち、2年目のテーマとして私が「外にでよう」と言い始めた時期でした。1年目は関口(社長)さんが「自律」を意図するメッセージを発信していて、次は自分たちのキャリアや提供価値を客観的に知るために、外の世界と触れる機会を増やしたいと考えていたんです。 「外にでよう」というメッセージと、彼らが考えてくれた「ラフに社外と繋がりたい」というテーマがうまく合致したので、良いのではと思いました。

星田
私は当初、D会議を見て「理念に関わる活動なら参加したい」と思って声をかけたんです。そもそもブレインパッド入社のきっかけがこの会社の理念に共感したことだったので、何か携わりたくて。 最初は運営のお手伝いと日程調整サポートくらいのつもりだったのですが、気づけばメインパーソナリティになっていました(笑)。


彼女に任せたら右に出る者がいないほどの適任で、今や完全に番組の「看板娘」です(笑)。

木原
実際、D会議で提案したときにはどんな反応でしたか?


印象的だったのは、いろんな既存の取り組みとの「住み分け」についての議論でした。 「Ignition Night(イグニッションナイト)」(社外の有識者を呼んで、話を聞くイベント)もあるし、D会議もあるし、理念浸透ワークショップもある。そういった既存の取り組みとどう違うのか、住み分けをどうするかが論点になっていました。 そこで西村さんが「やってから考えたらいいから」と言ってくれて、走り出すきっかけになりました。

西村
「ダブりとかは経営陣が考えればいいから」って言った気がします(笑)。 結局、残ったもん勝ちというか、続けられて盛り上がっている企画は続くし、続かないものはあんまり盛り上がらなかったんだな、となればいいのではと。 それに他のイベントとは違って、ラジオは「学ぶかどうかは視聴者次第」みたいなところがありますよね。


私個人の思いとしては、社外のどんな立場の方であっても一人の人間であって、その人の葛藤があって、今いらっしゃる会社に何かしらの共感があって、みんな一生懸命仕事されているという、そういったプラスのエネルギーを社外からも感じてほしいなと思っていました。 「学び」というよりは、何かに気づけるような「機会提供」のイメージですね。

甲斐田
もっとこう、小さい種みたいな「気づきの種」みたいなイメージですよね。


そういった意味で、メインゲストと一緒に掛け合いをするサブゲストである西村さんと、パーソナリティとして星田さんを迎えているんです。 星田さんは一社員としての視点で素朴にいろいろ質問してくれたり。それに加えて、経営層には経営層にしかわからない苦悩もあると考えているため、西村さんからは組織のマネジメントをする立場としての視点で質問をしてもらうという構成で進めています。

「KPIはなし」というラジオ

木原
2025年3月に開催が決まったと伺いましたが、初回放送はいつ頃だったんですか?


初回は同年の5月です。D会議の2か月後に開催しました。とにかく西村さんの人脈を洗い出しました。開催実績がない中で「出ます!」と言ってくれそうな人は限られますから。 初回はFC今治の飛田さんをお呼びしました。ちょうど会社としてFC今治との連携が始まったタイミングでしたし、FC今治も理念を非常に大切にされている組織なので。

西村
FC今治の回は面白かったですね。「物の豊かさだけじゃない」と掲げつつも、スポンサー企業の前ではビジネスの話もしなければならないという葛藤など、リアルな話が聞けました。 初回から60名近くの社員が聞きに来てくれて、手探りながらも大きな反響がありました。

木原
当日の進行台本などはしっかり作り込んだのですか?

星田
いえ、台本はたったの4行だけです。「自己紹介」「会社紹介」「個人のお話」、そして最後に「その方の人生の夢を聞く」。これだけ決めて、あとはフリートークです。 西村さんがサブゲストとして横にいてくれる安心感もあり、私は一人の人間として興味の赴くままに素朴な質問を投げかけるスタイルで進めました。「何も準備してこないでください」とゲストにお伝えして(笑)。


星田さんのすごいところは、毎回ゲストに関する記事などを全部読んでくるんですよ。「趣味は〇〇でしたよね?」といった話題の広げ方が本当に広くて。

西村
「前職でこういう取り組みをされていたと記事で読んだんですけど」みたいに言ってくれるから、ゲストの方も話しやすいですよね。あれで一つの「型」ができたと思います。 ゲストの方には資料の準備などもお願いせず、ほぼ白紙の状態でリアルタイムの掛け合いをするからこそ、本心が聞ける良さがあります。

木原
回を重ねるごとに気づいたことや、社内からの反応はありましたか?

星田
普段の業務では出会えないような他社の経営陣の方々とお話しする中で、どんなに立場のある方でも、会社への「共感」を持って働いている一人の人間なんだと実感しました。 どの会社も、うまくいっていれば理念が一人一人のどこかには落とし込まれているはずで、皆さんその会社の「核」や「らしさ」に共感して勤めていらっしゃるように思います。組織への共感をリアルに感じながら働いている人の生の声を聞くことで、私自身も会社に対する感情を意識するようになりました。


社内Slackで個々人が自由につぶやく「Times」などでも、ラジオの内容を受けたつぶやきが見られるようになりました。「当社の基準はどうあるべきか」といった深い議論が自然発生したり「ブレインパッドがあるべき軸は何によって決められるんだろうか」といった投稿を見かけたこともあります。 テキストやプレゼンではなく、ラジオというリアルタイムの「声」だからこそ伝わる熱量があります。給料のためだけじゃなく、社会に対して何かを成し遂げたいというプラスのエネルギーを持って働いている人がこんなにいるんだ、と私自身も元気をもらえました。

木原
ちなみに、何か目標などのKPIは設定しているのでしょうか?

西村
このラジオにはKPIがありません。目標を立てた途端に「やらされ感」が出てしまうからですね。 「これをやるとエンゲージメントスコアがこれだけ上がる」といった説明をし始めると、本来の目的からずれてしまう。「何の意味があるんですか?」「残業代は出るんですか?」みたいな義務感の話になってしまうと続かない。 600人規模の会社で、オペレーションもしっかり回しつつ、こうした属人的で自由なイベントが許容されるのはブレインパッドらしい面白い文化だと思います。


「出席者を何人に増やす」という目標を立てた途端に、形だけの参加が増えたり、運営側も「やらなきゃ」という義務感になってしまう。 私たちが「この人の話を聞いてみたい」「楽しい」というモチベーションでやり続けられているのが、一番良い状態なんだと思います。運営に無理がないように、毎月開催がきつければ隔月にしたりと、自分たちのペースで続けています。

甲斐田
KPIやルールを置かずに運営されているというのは、目指すべき姿ですよね。目標がないのに、逆に自律的に動いているというのは。

西村
大きい組織を動かそうとすると、どうしても大義名分が必要になりがちですが、なくても「やってみよう」と言える。この「遊び」の部分は、ブレインパッドという会社が大きくなっても残していきたい大切な文化だと思っています。

Ignition Radioから見えるブレインパッドらしさ

木原
実際にラジオを続けてきて、社外の方と接することで改めて見えてきた「ブレインパッドらしさ」みたいなものはありますか? 新卒入社の星田さんや甲斐田さんにとっては、ブレインパッドの今の環境が当たり前になっている部分もあると思うのですが。

星田
いったん、逆の話でもいいですか?(笑) 。むしろ「ブレインパッドみたいに温かい気持ちを持って仕事をしている会社って、世の中にたくさんあるんだな」というのを知れたことが大きいです。 もともとブレインパッドのことは、経営陣も含めていい人が多くて、いい会社だなと思っていたんですけど、ゲストのお話を聞く中で、「世の中には組織に対して愛着や温かい気持ちを持って働いている人がこんなにいるんだ」という発見がありました。それが逆に外を知って良かったことです。

西村
確かに、プロフェッショナルサービスのような仕事をしていると、関係性がどうしても殺伐としがちですよね。「お金を払う人」と「サービスを提供する人」という関係だけだと、厳しい目線しか見えてこない。 でも、その厳しいことを言うクライアントも、家に帰れば人の親だったりするわけです。会社の中のメンバーや組織を守りたいからこそ、取引先に対してそういう厳しい当たり方をするんだな、という背景が見えてくる。 普段の「お客さんとベンダー」という関わり方だけでは分からなかった、「会社の中をみんなで守っているんだな」という人間的な側面を知れたのは良かったです。

星田
「ブレインパッドらしさ」でいうと、リスナーである社員からの質問が面白いですね。視点がバラバラで、無邪気に何でも聞いてくれるんです。 社外の経営陣が来ているからといって畏まることなく、「実際どうなんですか?」みたいな直球を投げてくる。たまに「大丈夫か?」ってヒヤッとすることもありますけど(笑)。


たまに「他社の経営陣」の方に際どい質問が飛んでヒヤッとしますよね(笑)。

星田
社内チャットで質問を募集するので、読み上げる時に私が一生懸命オブラートに包んだりして(笑)。 でも、そこは皆さんが「会社員」としてではなく、一人の「人間」として興味を持って聞いている証拠だと思うので、その姿勢はブレインパッドらしさかもしれないなと思います。

西村
ラジオでは、経営陣も一緒になって質問者になるじゃないですか。そういった人たちは、普段「回答する側」になりがちだけど、ラジオではみんな無邪気に質問している。「経営陣といっても、みんな同じようなことを聞きたくなるんだな」っていう、あのフラットさはすごくブレインパッドらしい感じがします。

星田
ある回のゲストと当社の経営陣がお話されていた時も「実際どうなんですか?」ってかなり突っ込んだ質問をされていて。「あ、距離近いな」って思いました(笑)。 多分、お互いに責任ある立場同士だからこそ話せる本音みたいなものが出ていて、それを聞けたのはすごくいい機会でした。


ラジオもそうですし、それ以外のイベントでも、役員だけでなくメンバーもこの「お祭り」に乗っかってくれる人が多いんです。横で見て「なんかやってるなあ」と冷めるのではなく、取捨選択はしつつもちゃんと盛り上げようとしてくれる。 手前味噌ですが当社の経営陣は結構「会社の宝」だなと思っていて、ここまで協力的な方々って、他社にはなかなかいないんじゃないかと。 経営陣に限らず、メンバー発信で「こういうことやりたい」「アイデア出したい」と言ってくれる社員がたくさんいるという意味では、フラットで「みんなでやろう」という文化があると思います。

西村
確かに、このラジオがあること自体が「ブレインパッドらしさ」かもしれないですね。


ゲストの方からも「社内でこういうことを話す機会ってなかなかないよね」と言われることが多いんです。役員の方が社外はおろか、社内でも普段話していないような人間的な側面を深掘りする機会があること自体が、ブレインパッドらしさなのかなと。

甲斐田
フラットな中にもポジショントークがなく、芯の部分だったり自分の軸と照らし合わせて話せるというのは、ベースに「リスペクト」があるからこそだと思います。それがブレインパッドらしい文化ですかね。

西村
そうですね。ブレインパッドのValuesにもありますが「敬意を払う」ことができているのは大きいと思います。 このラジオにはKPIがないと言いましたけど、批判的な意見が来たこともないんですよ。何を言っても受け入れられるというのは、社員のリスペクトの表れだと思います。

今後、Ignition Radioの目指すもの

木原
最後に、今後のIgnition Radioの展望について聞かせてください。今後、このラジオをどうしていきたいですか?

甲斐田
短期的には運営メンバー(クルー)を増やしていきたいです。今期から助っ人が3名増えて組織として大きくなってきたので、パーソナリティも星田さんだけでなく交代で回したりとか。 もっと「遊び」の幅を広げたいです。ゆくゆくは社外にも公開できるポッドキャストにできたらいいなという裏目標もあります。


ゲストの幅も広げていきたいです。今は役員の方や、比較的業種が近い方をお呼びしていますが、もっと離れた業種の方とか。全く違う人生の話を聞くことで、裏側にある「伝えたいメッセージ」や「思い」を吸い上げていきたい。 「ラフにできるよ」という、このラジオが持つ「ラフさ」をもっと拡張していきたいですね。 当社はテック企業ですが、AI時代だからこそ、人の「思い」の部分も伝えられる企業でありたいですね。

星田
中途入社の方からよく言われるんですが、入社前は「理系が多くて、コンサルティングワークもあるし、殺伐としたドライな会社」というイメージを持たれがちなんです。でも実際に入ってみると、みんな温かい。 そういった「冷たい感じじゃないよ」という一面を、ポッドキャストなどを通じて外にも出していけたらいいなと思います。ブログだと書くのも読むのも大変ですけど、音声ならすぐに出せるので。

西村
その第一歩がこの「Platinum Data Blog」での発信なんですけどね(笑)。 社外の人に「ラジオに出てくれませんか?」と依頼する時に、実績がないと説明しづらいので、まずは記事にして「こういう取り組みです」と見せられるようにしようと。 今はどこの会社も文化醸成が課題になっているので、その一助になればいいかなと思っています。

木原
西村さんから見て、今後のIgnition Radioに期待することはありますか?

西村
社内のコミュニケーションの変化ですね。 仕事の話をしていても、その人の「人生の話」をすることってあまりないと思うんです。でも、キャリアを考える時って、仕事のことだけじゃないはずで。 自分のライフステージだったり、パートナーができたり、親御さんのことがあったりと、自分を取り巻く環境に合わせて考えなきゃいけない。 会社の中にいると、どうしても目の前の仕事のことだけで会話をして「悩んでる・悩んでない」「キャリアを変えたほうがいい」といった話になりがちです。でも、相談に乗るってそういうことだけじゃない。仕事は人生の中の、大きいけれどあくまで一部でしかないですから。

木原
確かに、どうしても業務の話が中心になりがちですね。

西村
ラジオを通じて「あのマネジャーも人の親なんだな」「こういう葛藤があったんだな」といった人間的な側面に触れることで、人と人との距離が縮まる。 それがきっかけで、上司と部下が「あの人、ラジオでこんなこと言ってましたけど、先輩はどうなんですか?」と会話が生まれたり、ご家族の話になったり。そうやって、人と会社がうまくつながる「ハブ」になってくれたら一番いいですね。

星田
私も、ラジオでは仕事内容の話ってほとんど聞いたことがない気がします。その人がどういうものが好きで、どういう人付き合いをしていて、という話を聞くことが多いです。 だからこそ、全然違う業種の方とお話ししても盛り上がるんだと思います。ラジオの冒頭部分が会社の話だったとしても、最終的には絶対にその人の「人生の話」にたどり着くので。

最後に、以前から思っていたのですが、トップダウンで行う「Ignition Night」が「会社と社会のつながり」だとしたら、この「Ignition Radio」は「会社と人のつながり」を作る場所なんだと思います。今日、皆さんと話していて、それが確信に変わりました。

木原
「会社と人」をつなぐ、というのは非常にしっくりきますね。今後のIgnition Radioにも期待しています。本日はありがとうございました。


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www.brainpad.co.jp
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