DMPは夢のツール?ただの箱? 提供してわかった“夢”と“現実”

本ブログでは当社の社員がDMPの活用について解説します。

昨年頃からマーケティング領域で大流行し、バズワード化した“DMP (Data Management Platform)”なる言葉。

DMPの捉え方も人によってさまざまで、
「あんなのはただの箱だ!」
「なんでもできる夢のツール?」
とさまざまな声が聞こえてきます。

そして現在、検討・運用している方の中には、
「既にDMPを導入してみたけど、活用できている実感がない」
「導入を検討しているけれども、どういったポイントを押さえて活用していけばいいのかわからない」
といった方も多いと思います。

そこで今回は、弊社がさまざまなお客様のDMPとして、Webプラットフォーム/レコメンドエンジン「Rtoaster(アールトースター)」の導入・運用をお手伝いしている中で、分かってきた、“夢”“現実”を皆さんにお伝えしようと思います。

目次

  • そもそもDMPとは?
  • DMP活用その前に 
  • 夢を現実にするための2つのポイント “カスタマージャーニー”と“泥臭い運用”
  • まとめ

そもそもDMPとは?

DMPには、

  • プライベートDMP*1・・・主に自社データを利用するため、既存顧客が得意領域
     企業が持つ独自のデータ、例えば自社サイト内での行動情報・購買情報・
     会員登録時に収集したデモグラフィック属性などをベースに、
     自社のデータを統合し、マーケティング施策に活用するためのプラットフォーム
  • パブリックDMP*2・・・主に外部データを利用するため、新規・見込顧客が得意領域
     パブリックDMPの提供会社が収集するさまざまなデータを元に、
     興味・関心を推定したデモグラフィック属性を用いて、
     大量のオーディエンスデータをマーケティング施策に活用するためのプラットフォーム

の分類があり、これら双方の利用により、自社データと外部データを掛け合わせて施策に活用することが可能です。

プライベートDMP・パブリックDMP

DMPごとに特徴もさまざまですが、今回の記事では、DMP選定・活用の大前提として検討すべき点を主にお伝えします。

DMP活用その前に

~どうアクションしてほしいのか?誰に、何を、どうやって伝えるべきか?~

皆さんはこんな経験はありませんか?

うんざり

  • 毎週のように商品を買っている「Aサイト(ECサイト)」。自分はプレミアム会員で特典も多いのでいつも利用している。

  • なのに、Aサイトではない、ブログやニュースサイトに行くと、Aサイトの「初回購入者限定バナー」に追い回され続ける...

「自分はプレミアム会員のに、うっとうしい!」という声が聞こえてきそうです...

このようなコミュニケーションを行わないためには、 自社のマーケティングを統合し、「どうアクションしてほしいのか?」を明確化した上で、 「誰に、何を、どうやって見せるか?」を最適化することが重要となります。

そしてさらに重要なのは、 どのように“夢(=施策によって実現したいこと)”を描くかその“夢”に向かってPDCAを継続的に回していけるか ということです。

夢を現実にするための2つのポイント “カスタマージャーニー”と“泥臭い運用”

1. 夢に向かう道しるべ 「カスタマージャーニー(マップ)」

「カスタマージャーニーマップ」という言葉は皆さんも聞いたことがあるかと思います。

あえて、こちらの記事ではカスタマージャーニーの詳細には触れませんが、 簡単に言うと「顧客育成におけるプロセス図」のことです。

自社と関わる顧客に、それぞれどのようなアクションをとってもらいたいか。 そのためには誰に・何を・どのように伝えていくかを、顧客が今いるステップ毎に定義・分類し、把握することが必要です。

カスタマージャーニー簡易図

カスタマージャーニーマップを描いておくことで、例えば以下のようなプランニングが可能になります。

(1)会員登録をしたが、購入に至っていない人へ、メルマガをターゲティング配信し、再訪を促す
(2)サンプル購入はしてくれたが、本商品を購入していない人へ、サイト外で広告を打つ
(3)よくサイトに来る優良顧客には、あえて費用がかかる施策は実施せず、サイト内でのオファーを最適化する

これまではWeb・広告・メール等の各チャネルで分断されていた施策を、 1枚の地図に表すことで、顧客とのコミュニケーションをチャネル間で統一し、シナリオ化することが可能となります。

さらに、施策だけでなく、 社内外のステークホルダーに対して、自社のマーケティングの目指すべき姿と 実行の優先度を共有し、同じ方向を向いて、夢の実現に向けて走っていくための道しるべとして使うことができます。

※ステークホルダーによる、(本来は優先度の低い)思いつきの施策を排除しやすくなることも含まれます。

2. 夢に向かって進むための 「泥臭い運用」

カスタマージャーニーマップで夢に向かって何を実現すべきかを描いた上で、 いざ施策の実行をしてみると、改善のための知見が得られたり、思っていたものとは違う結果が得られたりと、 自社で行うべき次のアクションが自ずと導かれていくものです。

このときに必要になってくるのは、夢に一歩でも近づいていくために、 「実行した結果を正しく検証し」「次のアクションプランを立て」、「継続的にPDCAを回していく」ことです。

PDCA

他社の事例を見ればある程度の参考にはなるものの、 会社毎にビジネスモデルや、強み、弱み、制約条件や、ブランディング方法なども異なるため、

自社で独自の知見を蓄積し、
顧客と最適なコミュニケーションをとっていくには、
絶え間ない改善と、夢に向かって走っていく、泥臭い運用が必要なのです。

例えば改善と運用には以下のような3つの役割が重要です。

(1)コミュニケーション設計者

顧客とのコミュニケーション設計図を描く為に、まずはカスタマージャーニーマップの設計を行います。

次に、設計したカスタマージャーニーマップに沿ったステップで顧客を捉える為にセグメントを設計します。

よくある例としては、
「見込み顧客」、「新規顧客」「購入経験有顧客」「リピート顧客」「優良顧客」
などといったセグメントの切り分け方があります。

さらに、「どのステップの顧客に?」「どの顧客接点で?(Web/メール/広告)」「何を見せるのか?(クリエイティブ)」について、顧客接点ごとの特性にあったプランニングをするのが、コミュニケーション設計者の役割です。

お客様からよく伺うのは、「『Web/メール/広告』で担当部署が異なる為、統一した施策を行うことが組織的に難しい!」という声。

DMPを活用した施策を実施する場合、
コミュニケーション設計者は、Web/メール/広告を横串しでプランニングすることが非常に重要です。

(2)コミュニケーション運用者

実際にWebサイトへのオファー設定やメール配信ツールへのセグメント連携、広告配信設定などを行うのが、コミュニケーション運用者の役割です。

ここでポイントとなるのが、短期的な成果に着目しすぎないことです。

例えば、「刈り取り系の広告の評価を過大評価していないか?」、
または「一つのチャネルで成果が上がっていることだけを重視し全体最適をできていないのではないか?
(例:広告からの獲得は増加しているが、メールからの獲得が同じくらい減っていることに気づかない等)」
といったことにも着目することが重要です。

(3)システム設計・運用者

コミュニケーション設計者が立てた施策プランを実現するために、 Web・メール・広告など複数のチャネルを統合し、管理するためのシステム設計・運用設計を行うのが、システム設計・運用者の役割です。

社内の基幹・情報システムからプライベートDMPに対して、
どのようなデータを連携すべきか、施策の結果をシステムへ戻す場合、どのようにデータを返すか、
といった連携部分の設計や、それらを施策の結果に応じていかに柔軟に変更できるか、
現実的な運用に落し込むか、といったさまざまな観点から設計を行うことが重要です。

まとめ

DMPを利用した顧客とのコミュニケーションにおける観点は、
単純な購買アクションを起こすためのCTR・CVRといった施策単位だけの観点から、
カスタマージャーニーや継続的なPDCAを通じて、
顧客の購買行動を時系列で考え、LTVを最大化する観点へと変化しています。

短期間でいきなり全てをこなすのが難しい場合は、
まずは、自社が顧客とどうコミュニケーションをとるべきかを明確に意識し、
ある程度定義ができた段階で、他社に委託する、といった判断もできるかもしれません。


※最後に少しだけ宣伝を...

弊社はレコメンドエンジン搭載のプライベートDMP「Rtoaster」を 中心としたマーケティングツールの開発、提供を行っています。

今後、プライベートDMPの運用経験とノウハウを元に、 カスタマージャーニーの設計からツールの設定、実行、評価、改善まで、 顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)を最大化させる支援サービスを展開する予定です!

ツールだけでなく、ツールを活用するプロフェッショナル・サービスにもご期待ください!

ご興味のある方は是非お気軽にお問い合わせください。

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(文責:マーケティングプラットフォーム本部マーケティングサービス部)

*1:(例)弊社提供「Rtoaster」

*2:(例)Intimate Merger社提供「AudienceSearch」、モデューロ社提供「AudienceOne®」